廃棄物資源循環学会誌
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33 巻, 2 号
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巻頭言
特集:脱炭素・循環経済を支える廃棄物および再生可能資源の輸送
  • 村崎 充弘, 髙橋 理紗子, 太田垣 貴啓, 野口 良彦, 眞鍋 和俊
    2022 年 33 巻 2 号 p. 105-114
    発行日: 2022/03/31
    公開日: 2023/04/01
    ジャーナル フリー
    市区町村等が実施する一般廃棄物収集運搬業務においては,担い手不足の対策,および 「2050 年カーボンニュートラル」 の実現を目指すための作業の効率化,脱炭素が求められることから,IoT • AI,センシング技術等の活用が揚げられている。デジタルタコグラフ等の ICT を活用して,都市的地域,農村的地域およびこれらの中間的地域にて調査対象とした自治体で一般廃棄物収集運搬業務の実態を把握するために,収集運搬作業の走行データを収集した。収集した走行データを使用して,作業の効率化および二酸化炭素排出量削減の手法を検討し,作業時間および二酸化炭素排出量の削減を見込める新たなルートを選定した。現行の収集運搬ルートと新たなルートを実際に走行することで,効率化・脱炭素の効果があることを検証した。検証結果を踏まえ,多種多様な地域の特性に対応したモデルを構築し,汎用的な効率化・脱炭素の手法を提案した。
  • 原 嘉章, 井上 護
    2022 年 33 巻 2 号 p. 115-123
    発行日: 2022/03/31
    公開日: 2023/04/01
    ジャーナル フリー
    廃棄物の中継輸送システムは,広域処理を考えるうえでの重要な要素技術の一つである。また,廃棄物の広域処理計画にあたっては,収集地域,焼却施設や最終処分場等の配置関係から中継施設の必要性を検討することが求められる。
     本稿では,わが国における廃棄物の中継輸送システムの現状分析を行うとともに,広域処理における中継輸送システムの導入事例を紹介する。
     中継輸送システムの導入においては,廃棄物の中継量と中継輸送距離が重要なファクターになる。わが国における導入実績の現状分析では,現在,中継施設は 50 施設が稼働している。稼働中の 50 施設のうち 37 施設 (74 %) がおおむね中継量 20~300 ton/日,輸送距離は 10~50 km と幅広い領域で運用されている。また,その中継方式は,コンパクタ • コンテナ方式が輸送効率に優位性があると評価され,主流となっている。
  • 池田 桂太朗, 北井 俊樹
    2022 年 33 巻 2 号 p. 124-135
    発行日: 2022/03/31
    公開日: 2023/04/01
    ジャーナル フリー
    (株) グーンは神奈川県横浜市の金沢工業団地に本社を構える産業廃棄物処理業者である。当社は 「木くず」「廃プラスチック」 をメインに取り扱い,これらの廃棄物を原料として主に燃料を製造 ・販売している。代表である藤枝は,「廃棄物処理 • リサイクル=物流」 という考え方から,物流の最適化に取り組み,創業当初より船舶を利用した廃棄物由来燃料の海上輸送等も行なっている。
     廃棄物由来の燃料は,その販売価格が石油,石炭価格と比較されるため安価にならざるをえず,物流コストの削減が製品販売上の大きな課題となる。また,地方自治体における廃棄物処理においても,限られた財源,限られた時間の中で効率的に廃棄物を収集,運搬することは市民生活をまもるためにも大きな意味を占める。
     このような背景から,本稿では廃棄物の収集運搬における輸送方法を検討する際の資料として活用できるよう,中継施設の重要性,効率的な大規模輸送等について,横浜市,川崎市,当社の事例を紹介し,取りまとめる。
  • 藤井 実
    2022 年 33 巻 2 号 p. 136-143
    発行日: 2022/03/31
    公開日: 2023/04/01
    ジャーナル フリー
    気候変動の緩和のため,カーボンニュートラルを社会のあらゆるセクターで実現することが重要な課題となっている。しかし,化学や製紙等の素材産業のカーボンニュートラル達成の難易度は高い。一方,廃棄物セクターにおいてもカーボンニュートラルな仕組みに移行するとともに,経費削減が課題となっている。そこで,両者の課題を同時に解決する対策を提案する。リサイクル困難な可燃廃棄物の中でも,特に現在は各自治体において焼却 • 発電利用されている廃棄物を,石油化学コンビナートのように,集中して熱需要がある場所に集積し,熱供給のための燃料として効率的に活用できる可能性がある。廃棄物輸送のエネルギー密度はある程度高いため,輸送することで得らえる CO2 排出削減効果や経済的メリットを考えると,長距離輸送も十分に合理的であることが期待される。環境と経済の両面で相乗効果をもたらす仕組みとして導入され,定着することを期待したい。
  • 有水 賢吾
    2022 年 33 巻 2 号 p. 144-150
    発行日: 2022/03/31
    公開日: 2023/04/01
    ジャーナル フリー
    2050 年のカーボンニュートラルの達成に向けて,CO2 の吸収源として森林が注目されている。しかしながら,日本の森林は半数が 50 年生以上の高齢級林であり収穫に適した時期を過ぎつつある。現在の森林を伐らずに維持することは将来的な森林での炭素吸収速度の漸減につながると予想される。したがって,今後森林を CO2 吸収源として持続的に維持するためには高齢級の森林の利用に加えて再造林を含めた森林の循環的な利用により森林の若返りを図り,さらに木材利用量を増やすことが重要である。また,今後人手不足が懸念される林業において森林を循環的に利用するためには,より安全で,より効率よく作業を行う必要がある。本稿では,森林の循環的な利用のために必要となる木材の伐採および搬出作業について,近年の自動化や新たな機械の開発の動向について示す。
  • 市川 貴之
    2022 年 33 巻 2 号 p. 151-157
    発行日: 2022/03/31
    公開日: 2023/04/01
    ジャーナル フリー
    アンモニアは世界で最も汎用的な化学品として知られ,そのほとんどが窒素肥料として利用されている。アンモニアは,水素や天然ガスに比べて現実的な低温下で液化し,常温においても 10 気圧程度の昇圧で液化する。このため,水素や天然ガスと比較して輸送 • 貯蔵を簡便に行える。このアンモニアは,空気中から集められた窒素ガスと,化石燃料から作られた水素を用いてハーバーボッシュ法により合成されているが,その価値はおおむね水素の製造コストで決まる。再生可能エネルギー (再エネ) の主力電源化時代の到来により,再エネ価格の低下とともに,調整力の担保を目的として,低コスト水素の製造が可能になれば,燃焼しても二酸化炭素を排出しないため,アンモニアが優れたエネルギーキャリアとして活躍することが期待されている。本稿では,エネルギーキャリアとしてのアンモニアの実力を概観するとともに,アンモニアから簡便に水素を取り出す技術等についても紹介したい。
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