廃棄物資源循環学会誌
Online ISSN : 2187-4808
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ISSN-L : 1883-5864
31 巻, 6 号
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巻頭言
特集:COVID-19 で変わったこと,変わらなかったこと,そしてこれからのこと
  • 名倉 良雄, 神谷 洋一
    2020 年 31 巻 6 号 p. 399-405
    発行日: 2020/11/30
    公開日: 2021/11/30
    ジャーナル フリー
    廃棄物処理は国民生活を維持し経済を支える必要不可欠な社会インフラであり,新型コロナウイルスの感染拡大下においても安定的に廃棄物を処理することが求められている。引きつづき,新型コロナウイルス感染症の感染拡大に留意しつつ,関係主体それぞれが感染拡大対策に継続的に取り組んでいくことが重要である。環境省では,新型コロナウイルス感染症に係る情報の収集,調査,整理等を進め,有用な知識をわかりやすい形で,地方公共団体,廃棄物処理業者,排出者等の関係主体に発信し,普及啓発を図るなど,今後も新型コロナウイルス感染症に係る廃棄物の適正な処理の確保および廃棄物処理体制の維持が図られるよう努めていく。
  • 山本 紀子
    2020 年 31 巻 6 号 p. 406-411
    発行日: 2020/11/30
    公開日: 2021/11/30
    ジャーナル フリー
    新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) は,2020 年 2 月 1 日,政令によって指定感染症に定められた。国内初の COVID-19 専門病院となった当院から排出される廃棄物のうち,治療,検査等に使用されたものは,すべて感染性廃棄物として処理されなければならない。感染性廃棄物の大半を占めるものは使用後の個人防護具 (PPE) である。また汚染区域に一度搬入したものは基本的には搬出できないため,単回使用物品の導入が必要不可欠であった。PPEと単回使用物品によって,当院の感染性廃棄物の量は激増したため,廃棄物は可能な限りまとめて小さくするなどの工夫が必要となった。汚染区域から清潔区域へ感染性廃棄物を搬出する際,梱包容器そのものを介して感染症が拡がらないようにするため,容器を清拭消毒できる素材のものに変更した。当院において,2020 年 9 月現在,院内感染は発生していない。また,2020 年 7 月 27 日には外来診療を再開している。
  • 村岡 良介
    2020 年 31 巻 6 号 p. 412-419
    発行日: 2020/11/30
    公開日: 2021/11/30
    ジャーナル フリー
    私たちの清潔で快適な生活環境は,日々散在して排出される一般廃棄物の収集運搬システムが社会実装化され,継続して機能しているからこそ確保されているのである。何らかの事由でその機能が停止すると,廃棄物が放置状態になり,その状態が続いて拡大すると公衆衛生が悪化し,生活環境に支障を来すこととなり,国民の健康に影響を及ぼす可能性がある。新型コロナウイルスが蔓延し,誰でもが感染し,感染を広げる可能性がある中で,ウイルスに接触するリスクに不安を覚えながら一般廃棄物を収集運搬する従事者は,その事業の継続のために正しい知識を得て,適切に行動する必要がある。
     本稿では,改めて廃棄物を集めて運ぶことの意義とともに,適切な行動となる留意事項をまとめたガイドラインを紹介し,新型コロナウイルス禍における一般廃棄物の収集運搬事業の継続について考察する。
  • 早川 健一
    2020 年 31 巻 6 号 p. 420-426
    発行日: 2020/11/30
    公開日: 2021/11/30
    ジャーナル フリー
    神戸環境クリエート(株) は定格 80 ton/日の焼却施設を有し,主に医療系廃棄物や廃プラスチックを焼却している。感染性廃棄物は,プラスチック製容器等で密閉した状態で搬入・保管し,容器密閉状態のまま焼却している。廃棄物処理業は医療インフラの一つであり,COVID-19 による緊急事態宣言中も,当社では出勤者も業務量もほとんど減らさなかった。しかし出張・面会禁止措置で新規案件等の打ち合わせは多くが中断となった。感染性廃棄物の搬入量は,緊急事態宣言中も例年同様でほとんど減らなかった。感染性廃棄物以外の産業廃棄物についても同様で,COVID-19 による影響は感じられなかった。感染性廃棄物は,適正に梱包されていれば,廃棄物処理の際の感染リスクは十分低い。しかし現実には,この梱包が適正ではない (血液の漏洩,注射針の飛び出し,詰め込み過剰) 事例がある。排出した廃棄物の搬出先・処理先にも『人間が居る』ことを忘れないでいただきたい。
  • 渡辺 信久
    2020 年 31 巻 6 号 p. 427-431
    発行日: 2020/11/30
    公開日: 2021/11/30
    ジャーナル フリー
    コロナ禍が市町村のプラスチック事情に与える影響について論じた。ごみ減量のために始めたプラスチックごみの分別収集・選別・リサイクルは,国民のリサイクルマナーを高めたものの,材料リサイクルが進まなかった。加えて,コロナ禍での税収減少で,現況の「分別収集後の選別」が持続困難に陥ることが予測され,市町村に変化が求められることになる。改善する手立ての一案として,市町村が運営する「資源物を持ち寄る拠点回収」を提案した。持ち寄り,そこで集められた資源物を見ることは,資源物の望ましい性状を市民が学ぶことにつながり,低コストで高品位な資源物を得る推進力になる。資源物性状の知識が高まれば,民業収集の資源物品位も向上する。市町村による拠点運営は,それ自体が,社会福祉にもつながり,いま市町村が求められている施策である。一方,衛生目的使用物等,すべてのプラスチックを資源とすることは不可能で,焼却 (可能な限りのエネルギー回収を伴って) する経路も必要である。
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