気候変動枠組条約の COP21 が開催され,パリ協定が合意された。しかし,気候変動,特に,地球温暖化によって起きるグリーンランド氷床の融解を原因とする 7 m にもおよぶ海面上昇を回避するために必要とされる 「 2 ℃ 目標」 の実現は,各国が提出した自主的な対応では難しい。
パリ協定のもう一つのキーワードは,Net Zero Emission であって,今世紀後半のどこかで,二酸化炭素の排出量をゼロにしなければならないことも記述されている。これは,産業革命以後の化石燃料の活用を,根底から見直さなければならないことを意味している。となれば,利用可能なエネルギー源は,再生可能エネルギーと原子力,CCS (炭素隔離貯蔵) を設置した化石燃料起源の水素だけになるだろう。
このようなエネルギーという産業の根幹が変わる時代の「循環」は,現状での動脈側の存在を前提とせず,動脈産業と静脈産業を一体化する対応策を見出すという発想によって,真の解が得られるであろう。
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