廃棄物資源循環学会誌
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27 巻, 4 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
巻頭言
特集:3R と資源効率
  • 小野 洋
    2016 年 27 巻 4 号 p. 247-251
    発行日: 2016/08/31
    公開日: 2020/06/02
    ジャーナル フリー
    2016 年 5 月 15 ~ 16 日に富山市において,7 年ぶりに G7 環境大臣会合が開催された。同会議には,わが国のほか,イタリア,カナダ,米国,ドイツ,EU から環境担当大臣等が出席し,最終日に採択したコミュニケには,G7 各国が協調して資源循環や 3R に野心的に取り組んでいく枠組みを定めた 「富山物質循環フレームワーク」 の採択が盛り込まれた。1980 年から世界の資源消費が倍増,それに伴う廃棄物量や環境負荷も増大する中,この結果を踏まえ,わが国をはじめ,G7 は循環型社会の実現に向けて率先して取り組んでいくことになる。会議では,UNEP 国際資源パネルや OECD から G7 に対する提言もなされた。
  • 梅田 英幸
    2016 年 27 巻 4 号 p. 252-259
    発行日: 2016/08/31
    公開日: 2020/06/02
    ジャーナル フリー
    近年,資源効率についての世界的な議論が活発化している。欧州委員会では 2015 年 12 月に,資源効率向上のための主要な政策パッケージである 「循環経済パッケージ」 を公表した。また,G7 においても資源効率は主要なアジェンダの一つとなってきている。2015 年のエルマウサミットにおいては,ベストプラクティス共有のための 「資源効率のための G7 アライアンス」 設立が合意された。また,わが国が議長国を務めた伊勢志摩サミットプロセスにおいても,「富山物質循環フレームワーク」 が採用されるなどの進展があった。
     こうした国際的な潮流を踏まえ,わが国の資源循環政策はどうあるべきか。そこには守りの観点のみならず,攻めの観点も求められる。わが国の強みを活かしていくための資源循環政策の今後のあり方について検討する。
  • 森口 祐一
    2016 年 27 巻 4 号 p. 260-268
    発行日: 2016/08/31
    公開日: 2020/06/02
    ジャーナル フリー
    2015 年のエルマウ・サミット首脳宣言からの招請に応え,UNEP 国際資源パネル (IRP) は資源効率性に関する評価報告書を 2016 年 5 月の富山環境大臣会合に報告した。本稿ではまず,そこに至る背景として,3R,資源効率性などの主要概念をとりまく国際的活動の進展と日本の関与の経緯について概説する。国際資源パネルは自然資源の持続可能な管理に関する科学的アセスメントの提供のために 2007 年に設立され,20 編の評価報告書を出版してきた。G7 へ報告した資源効率性評価報告書政策決定者向け要約では,持続可能な開発目標や気候変動目標にも触れた 5 つのキーメッセージを発出した。結論では,資源効率性に関する国内および国際目標を採択し,その進捗をモニタリングすべきことにも言及している。資源効率性の向上に関するベスト・プラクティスに関する章では,部門横断的・資源横断的に,サプライチェーン全体を視野に入れたアプローチに取り組むことの重要性などを指摘している。
  • 安井 至
    2016 年 27 巻 4 号 p. 269-274
    発行日: 2016/08/31
    公開日: 2020/06/02
    ジャーナル フリー
    気候変動枠組条約の COP21 が開催され,パリ協定が合意された。しかし,気候変動,特に,地球温暖化によって起きるグリーンランド氷床の融解を原因とする 7 m にもおよぶ海面上昇を回避するために必要とされる 「 2 ℃ 目標」 の実現は,各国が提出した自主的な対応では難しい。
     パリ協定のもう一つのキーワードは,Net Zero Emission であって,今世紀後半のどこかで,二酸化炭素の排出量をゼロにしなければならないことも記述されている。これは,産業革命以後の化石燃料の活用を,根底から見直さなければならないことを意味している。となれば,利用可能なエネルギー源は,再生可能エネルギーと原子力,CCS (炭素隔離貯蔵) を設置した化石燃料起源の水素だけになるだろう。
     このようなエネルギーという産業の根幹が変わる時代の「循環」は,現状での動脈側の存在を前提とせず,動脈産業と静脈産業を一体化する対応策を見出すという発想によって,真の解が得られるであろう。
  • 中村 崇
    2016 年 27 巻 4 号 p. 275-284
    発行日: 2016/08/31
    公開日: 2020/06/02
    ジャーナル フリー
    循環経済 (Circular Economy) の実現を主に材料技術の観点から概観した。循環経済は,素材のリサイクルだけではなく,当然,わが国の 3R (リデュース,リユース,リサイクル) を進めることと大きな意味で違いはない。優先順位もわが国の 3R と同じである。そのためにエコデザインの奨励がなされている。したがって,必要な技術は多様にわたる。本解説では,必要技術の大きな枠組みを示し,その後比較的大量に生産されている素材,プラスチック,鉄,アルミニウム,銅等の非鉄金属,ガラス等のリサイクルの状況,技術を紹介した。
     プラスチックは,本質的に材料技術として再生材を多く利用したコンパウンドを作成する技術が求められている。金属も再溶解のみなので,一次資源から製造したレベルと同様な性能が得られるように前処理をすることが望まれる。特にアルミニウムとガラスは,溶融後の精製が困難であることから,物理選別技術が特に重要である。また,循環使用がいかに環境インパクトを低下することができるのかを評価する技術開発も必要である。
  • ――伝えること,つなげること――
    枝廣 淳子
    2016 年 27 巻 4 号 p. 285-289
    発行日: 2016/08/31
    公開日: 2020/06/02
    ジャーナル フリー
    私たちの暮らしは地球の限りある資源に支えられており,私たちの暮らしを持続可能にするためには,サーキュラー・エコノミー (Circular Economy : 以下,CE とする) の考え方が不可欠であることはいうまでもない。しかし,CE については,日本には数多くの優れた技術や取り組みがあるにもかかわらず,ほとんど知られていないのが現状だ。また個々の取り組みは独立して行われる傾向があり,これも普及を妨げる原因となっている。CE の取り組みを普及させるためには,技術開発だけではなく,「伝える」こと,「つなげる」 ことの役割を見直す必要がある。
     こうした問題意識から,本稿では,(1) CE の取組事例について,専門家以外のより広いステークホルダーに伝えることで,地方創生等日本の中心的課題の実践にこの考え方が取り入れられる可能性と,(2) 取り組みの間につながりを作り出し,システムとして機能させる意義について,米国オレゴン州ポートランドの 「持続可能な生産と消費」 の取り組みを事例として論じる。
  • 酒井 伸一
    2016 年 27 巻 4 号 p. 290-299
    発行日: 2016/08/31
    公開日: 2020/06/02
    ジャーナル フリー
    廃棄物の 3R と資源の有効利用を考えるにあたって,再生可能資源の利用原則と廃棄物の発生抑制を中心に論じた。再生可能資源の利用においては,その利用速度は再生速度を上回ってはならないこと,廃棄物の排出速度は排出先の生態系の自然の同化能力を下回ることが提案されており,極めて重要である。そして,長期的には枯渇性資源の利用を抑制しつつ,再生可能資源が循環する姿を目指すべきである。その際,無駄な廃棄物の発生を抑制したフロー量で社会を維持することを念頭においた社会を設計していかねばならない。廃棄物の発生抑制の重要性はよく認識されているところであるが,最近,その中でも食品廃棄物の発生抑制の話題がよく取りあげられるようになってきた。世界で 13 億 ton の食品廃棄物が発生するとされており,少なくともその数割は抑制が可能であるとの研究報告がなされるところとなってきた。この無駄な食品廃棄物が背負っている温室効果ガス (GHG) 量も大きく,回避可能な食品 1 ton あたりおよそ 1 ton の GHG 量の削減が期待できる。
廃棄物アーカイブシリーズ/『ゴミ戦争』の記録
平成28年度廃棄物資源循環学会・春の研究発表会報告
会議報告
支部特集/支部だより
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