廃棄物資源循環学会誌
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32 巻, 3 号
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巻頭言
特集:地域循環共生圏と資源循環
  • 松田 尚之
    2021 年 32 巻 3 号 p. 181-188
    発行日: 2021/05/31
    公開日: 2022/05/31
    ジャーナル フリー
    環境省は 「地域循環共生圏」 の創造を進めている。地域循環共生圏は第五次環境基本計画 (2018 年閣議決定) で示された,持続可能な自立・分散型社会の考え方である。地域循環共生圏とは,それぞれの地域が自分たちの足元にある地域資源を活用し,環境・経済・社会を良くしていくビジネスや事業といった形で社会の仕組みに組み込むとともに,たとえば都市と農村のように地域の個性を活かして地域同士で支え合うネットワークを形成していくものである。本稿は,地域循環共生圏の基本的な考え方,協働 (パートナーシップ) やバックキャスティングといった SDGs の考え方を踏まえたアプローチ,環境省が各地で進める地域循環共生圏を創造する取り組み,地域循環共生圏の創造に関連した環境省の施策の紹介を通じて,地域循環共生圏に関する政策を概観するものである。
  • 福井 和樹
    2021 年 32 巻 3 号 p. 189-194
    発行日: 2021/05/31
    公開日: 2022/05/31
    ジャーナル フリー
    地域資源の一つである再生可能エネルギーの利用促進等を通じた脱炭素社会の構築に向けた小田原市の取り組みを紹介した。取組内容としては,地産電力の供給体制を段階的に構築し,将来的な再生可能エネルギーの大量導入を可能にするため,蓄電池等を組み合わせた面的なエネルギーマネジメントの高度化に向けて取り組んでいる。また,清掃工場から排出される二酸化炭素を分離・回収してメタンを生成するまでを,商用化規模で実証し,技術を確立するための事業にも協力している。
     取り組みのアプローチとしては,一貫して公民の連携を重視し,自立的かつスピード感をもち,地域外の先進技術と地域内企業の連携を拡大している。
     エネルギーの地産地消が地域内経済循環を改善するのみならず,地域貢献活動への資金循環につながる仕組みを構築している。また,エネルギーマネジメントが地域交通,レジリエンスの強化につながるなど,地域循環共生圏の構築に貢献している。
  • 山崎 清, 佐原 あきほ
    2021 年 32 巻 3 号 p. 195-203
    発行日: 2021/05/31
    公開日: 2022/05/31
    ジャーナル フリー
    カーボンニュートラル実現に向けて,わが国の社会・産業・経済が脱炭素化に大きくシフトしていく中で,地域の環境・経済・社会の統合的向上を実現するために地域循環共生圏の構築が提案されており,その地域経済構造が地域経済循環構造である。この構造は地方創生で提唱された構造であり,地域の資本,雇用,原材料を活用する地域企業による再生可能エネルギー事業を起爆剤として,地域の社会的課題をビジネスで解決する地域 SDGs ビジネスを展開していくことも可能になり,地域の温暖化対策に加え,地域の経済的自立と社会的課題を同時解決することが可能になる。そして,これらはこれまでの火力,原子力等の装置型産業としての発電事業とは大きく異なる地域経済政策である。本稿では地域の再生可能エネルギー事業,地域新電力,ヘルスケア事業等を統合的に展開する事例についても紹介する。
  • ――佐賀市の取り組み――
    川原田 格, 前田 修二, 江島 英文
    2021 年 32 巻 3 号 p. 204-213
    発行日: 2021/05/31
    公開日: 2022/05/31
    ジャーナル フリー
    佐賀市は 2014 (平成 26) 年にバイオマス産業都市に認定された。その構想で目指す将来像として 「廃棄物であったものが,エネルギーや資源として価値を生み出しながら循環するまち」 を掲げ,佐賀市下水浄化センターでは消化ガスからの発電,汚泥から肥料製造,処理水の窒素量を調整した排出,発酵バイオガスからの二酸化炭素の分離回収,佐賀市清掃工場では焼却時の余熱利用,蒸気タービンでの発電,廃食用油からの燃料精製,排ガスから二酸化炭素の分離回収を行なっている。それぞれの施設から排出される廃棄物を資源として捉えることで 「佐賀市まるごと資源循環」 を行い,無理なく自然な形で経済と環境が両立する循環社会を目指している。
  • 堀井 雄介
    2021 年 32 巻 3 号 p. 214-220
    発行日: 2021/05/31
    公開日: 2022/05/31
    ジャーナル フリー
    熱の面的利用を可能とすることで地域全体での CO2 排出量の低減を目指して,化学蓄熱による熱輸送技術開発を進めている。材料では反応速度の向上,蓄熱反応温度の低減を目的に添加剤の探索,配合比率の検討,および成形体として実装したときにシステムとマッチした形状とその耐久性の評価を進めている。反応システムでは実証評価の結果として各目標に対する評価を実施し,課題となる反応速度目標の達成に向けた反応条件を検討した。
  • 浅利 美鈴, 矢野 順也, 平井 康宏, 酒井 伸一
    2021 年 32 巻 3 号 p. 221-233
    発行日: 2021/05/31
    公開日: 2022/05/31
    ジャーナル フリー
    資源循環分野からの地域循環共生圏展開を構想するにあたって,エコタウン事業や地域循環圏の過去の研究を振り返り,今後の展開を展望した。2020 年代から本格化する地域循環共生圏では,ゼロカーボンシティをめざした計画や目標,その実現シナリオとの統合計画が求められる。資源循環分野からの地域循環共生圏モデル実現には,地域の循環資源を活用できる活動主体や技術要素といった構成要素を整理し,構成要素が実現可能となる地域の活動を考える,その性能を表す指標 (地域の温室効果ガス排出量や地域経済生産額など) で効果を測るというシステムとなる。農林水産連携モデルは日本の多くの地域で核となるが,そのなかでもメタン発酵や堆肥化は核となるプロセスであり,脱炭素化をめざすなかで地域展開の位置づけが期待される。先行地域におけるバイオマス資源循環は,各地での今後の展開の参考となるが,検討が始まっている京都地域の取り組みを紹介した。
環境省・廃棄物資源循環学会共催シンポジウム報告
令和3年度廃棄物資源循環学会セミナー報告
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