廃棄物資源循環学会誌
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30 巻, 1 号
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年頭所感
特集:放射性物質汚染からの環境回復と復興―汚染廃棄物・除去土壌への対処の現状と今後の課題―
  • 山田 浩司
    2019 年30 巻1 号 p. 3-10
    発行日: 2019/02/28
    公開日: 2020/02/06
    ジャーナル フリー
    東京電力福島第一原子力発電所の事故によって大量の放射性物質が環境中に放出された。その環境汚染の対処のため面的除染を実施し,帰還困難区域を除き,2018 年 3 月に 8 県 100 市町村のすべてで面的除染が完了した。福島県内においては,除染に伴い生じる土壌や廃棄物の量が膨大であることから,これらを最終処分するまでの間,安全に集中的に管理・保管する施設として,技術的検討を踏まえて,中間貯蔵施設の整備を進めている。また,これらの土壌等は中間貯蔵開始後 30 年以内に県外に最終処分することとなっており,県外最終処分に向けて,可能な限り対象となる量を低減するため,土壌の減容,再生利用の技術開発に関する取り組みを進めている。加えて,福島県の復興創生に向けた未来志向の取り組みを進めている。
  • 松田 和久
    2019 年30 巻1 号 p. 11-20
    発行日: 2019/02/28
    公開日: 2020/02/06
    ジャーナル フリー
    中間貯蔵・環境安全事業株式会社 (JESCO) は,法に基づき,2014 (平成 26) 年 12 月から,環境省の委託を受けて,中間貯蔵事業に取り組んできた。本稿では,調査研究・技術開発に触れながら,JESCO における中間貯蔵事業の取り組みおよび今後の展開を示す。
  • 細見 正明
    2019 年30 巻1 号 p. 21-30
    発行日: 2019/02/28
    公開日: 2020/02/06
    ジャーナル フリー
    除去土壌等の減容・再生利用に係る技術開発戦略の策定や再生利用を促進するために必要な事項を検討するために,中間貯蔵除去土壌等の減容・再生利用技術開発戦略検討会が設置された。本検討会では,除去土壌等の減容化および再生利用に関する技術開発戦略が議論されている。本報告では,この戦略の基本的な考え方を紹介するとともに,中間目標と達成するための取組内容および中間評価を示す。今後取り組むべき技術開発は,実規模で実績のある既存技術の除去土壌等への適用可能性の検討を急ぐ必要があると考えている。
  • 倉持 秀敏
    2019 年30 巻1 号 p. 31-38
    発行日: 2019/02/28
    公開日: 2020/02/06
    ジャーナル フリー
    中間貯蔵施設において熱的減容化施設の建設が始まり,施設のある自治体で発生した除染廃棄物等は焼却またはガス化溶融される。また同時に,除染特別地域内の仮設焼却施設から搬入される焼却残渣は灰溶融される。本稿では,中間貯蔵施設で使われる,除染廃棄物等の焼却およびガス化溶融に関する技術的な現状,特に,放射性セシウムの挙動を紹介するとともに,一般廃棄物の処理における挙動との違いについても議論する。また,焼却等残渣の溶融についても,これまで報告されている技術的な知見を紹介する。さらに,中間貯蔵施設においてこれらの熱的減容化処理の安定運転に向けた課題と展開を述べ,溶融処理後に排出される高濃縮汚染物に対する高度減容化の可能性と展開にも言及する。
  • 遠藤 和人
    2019 年30 巻1 号 p. 39-48
    発行日: 2019/02/28
    公開日: 2020/02/06
    ジャーナル フリー
    特定一般廃棄物や特定産業廃棄物 (事故由来放射性セシウムが 8,000 Bq/kg 以下) は,入念的措置が加えられて既に多くの最終処分場で埋立処分されている。また,福島県内の特定廃棄物 (8,000 Bq/kg を超える指定廃棄物と対策地域内廃棄物) は,減容化施設やセメント固型化処理施設や特定廃棄物埋立処分施設が整備され,処理・処分が進められている。本論では,これら放射性物質汚染廃棄物の埋立処分の現状,処分場内の放射性セシウム溶出挙動,埋立処分方法やセメント固型化方法の科学的根拠について紹介する。事故後に実施された政策対応研究の記録の一つとしてここに記した。
  • 保高 徹生
    2019 年30 巻1 号 p. 49-55
    発行日: 2019/02/28
    公開日: 2020/02/06
    ジャーナル フリー
    中間貯蔵施設に搬入される除去土壌量は約 1,335 万 m3 と推定されており,膨大な量に上る。環境省は,これらの除去土壌について,中間貯蔵開始 30 年後の 2045 年までに福島県外での最終処分を完了させる計画である。また,同時に県外最終処分量の低減を目的として,低濃度の除去土壌等に対して用途を限定した再生利用を検討している。
     これらの県外最終処分,限定再生利用に関しては,環境安全性等の技術的事項だけでなく,国民的な議論やステークホルダー間の合意が重要となる。本稿では,まず再生利用,県外最終処分の認知状況として環境省の WEB 調査結果およびコミュニケーションに関係する現在の取り組みを紹介する。さらに,限定再生利用,県外最終処分を実施する上で極めて重要となる 「ステークホルダー間の合意」 に関して,必要と考えられる事項と今後の課題について述べる。
第29回研究発表会報告
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