廃棄物資源循環学会誌
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29 巻, 3 号
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巻頭言
特集:情報技術による資源循環・廃棄物処理の新展開
  • 小岩 真之, 大沼 康宏, 谷山 敬一, 髙林 祐也, 切川 卓也
    2018 年29 巻3 号 p. 188-194
    発行日: 2018/05/31
    公開日: 2019/05/31
    ジャーナル フリー
    情報技術の革新は,わが国の循環型社会の状況を大きく変えていく可能性をもつ。ライフサイクルの各段階で効率化や最適化が図られることにより,資源投入量や廃棄物発生量等を削減しながら生産性を大幅に向上させる可能性を有している他,廃棄物の適正処理,不法投棄の撲滅,リサイクルの高度化等を大幅に促進する可能性もある。
     第 1 次から第 3 次までの産業革命が大量生産・大量消費型の社会を実現・発展させてきたのに対し,第 4 次産業革命は,大量生産・大量消費型の社会そのものを変革する可能性を有しており,現在,審議中の第四次循環型社会形成推進基本計画案でも,そのことが明記されている。
     本稿では,2R (リデュース,リユース),リサイクル,適正処理 (一般廃棄物,産業廃棄物),災害時の廃棄物処理の各分野において情報技術の革新がもたらす可能性や現時点の施策等について,それぞれ個別に記載した。
  • 橋本 征二
    2018 年29 巻3 号 p. 195-201
    発行日: 2018/05/31
    公開日: 2019/05/31
    ジャーナル フリー
    本稿では,情報技術の活用が求められる背景を整理するとともに,3R の推進・資源効率の向上と労働力不足・労働環境改善へ対応を対象として,現在考えうる情報技術の活用例についての概説を試みた。3R の推進・資源効率の向上については,(1) 製品の使用回避,(2) 製品の共有,(3) 製品のリユース,(4) 製品の長期活用,(5) 製品の使用ロス削減,(6) 製品の省資源化,(7) 容器包装の省資源化,(8) 生産工程の省資源化,(9) 再生資源の活用の 9 つのアプローチに分け,これに,(10) ごみの分別と (11) 労働力不足・労働環境改善への対応を加えた計 11 の項目別に活用例を紹介した。しかしながら,アイデア出しはまだまだ途に着いたばかりであり,本稿で紹介した活用例以外にもさまざまな可能性と新たなビジネスチャンスが秘められていると考えられる。
  • 藤井 実
    2018 年29 巻3 号 p. 202-208
    発行日: 2018/05/31
    公開日: 2019/05/31
    ジャーナル フリー
    気候変動を緩和するため,可燃性廃棄物からのエネルギー回収の高度化が求められている。また,少子高齢化等による労働人口の減少により,廃棄物分野においても,作業の効率化や省力化が求められている。このような課題に対応する上で,情報技術の活用が効果的なソリューションとなることが期待される。エネルギー回収の高度化には,産業施設との連携が有効である。廃棄物から製造する再生燃料を工場で化石燃料の代わりに用いることや,焼却炉で製造する蒸気を近隣の工場に供給することで,焼却発電の 2 倍程度の燃料消費削減が期待される。いずれの場合も,需給バランス調整が重要であるが,情報技術を活用することで容易になると考えられる。廃棄物の収集プロセスや,処理プロセスの作業の効率化や軽減にも,情報技術とロボット技術の組み合わせによって,大きな改善が期待できると考えられる。
  • ――プラットフォーム構築について――
    土井 麻記子, 中石 一弘, 小野田 弘士
    2018 年29 巻3 号 p. 209-214
    発行日: 2018/05/31
    公開日: 2019/05/31
    ジャーナル フリー
    廃棄物処理・リサイクル IoT 導入促進協議会の低炭素化ワーキンググループ (WG) では,施設間における情報共有に着目し,2017 (平成29) 年度より,IoT 技術を活用した資源循環実態データプラットフォーム (PF) の構築を提案している。WG では,競争的資金の活用による低炭素化に向けた実証事業の企画・立案を行い,案件を形成する。また,低炭素化 WG 内にサブ WG を組成し,低炭素化 WG そのものは実証案件形成のゆりかごとしての機能を有する。このほか,資源循環実態データ PF を検討する低炭素化 WG 内に横断的なタスクフォースを形成し,既存事例・ニーズ調査,マニフェストに関する調査,システム概念構築等の有用情報の収集と検証を行うなどにより,PF 構築に繋げていく。
  • 吉識 宗佳
    2018 年29 巻3 号 p. 215-222
    発行日: 2018/05/31
    公開日: 2019/05/31
    ジャーナル フリー
    リサイクルビジネスでは,人口減少等の社会経済動向を受けて,今後効率化と付加価値創造の両面で生産性向上が必要となる。IoT,ビッグデータ,AI,ロボット等のテクノロジーは,生産性を向上させ成長を実現する有力なツールである。現在,廃棄物処理・リサイクル IoT 導入促進協議会の場等で,産官学連携による IoT 活用の検討が進められている。本稿では,リサイクルビジネス事業者の課題と関連業界での活用の先行事例に基づき,これらテクノロジーの活用分野と普及に向けた課題,IoT 活用研究の可能性について論じた。
  • 花田 和己
    2018 年29 巻3 号 p. 223-227
    発行日: 2018/05/31
    公開日: 2019/05/31
    ジャーナル フリー
    リコーグループでは長年主力事業 (製品) であるコピー機/複合機のリユース・リサイクル活動を積極的に行っている。この活動を効果的,高効率に展開するため,IoT 技術を駆使し,製品導入時点からの稼働状況を把握したり,メンテナンス履歴等のデータ収集と管理を行っている。これらのデータを活用し,使用済み機器の回収状況予測,回収機の診断,効率的な保管管理等に展開することで再生製品の安定生産と供給を実現している。本報告では,データの活用事例とその効果について順を追ってご紹介する。
  • 竹田 航哉, 山本 浩, 青木 勇, 富岡 修一, 橋本 隆史, 川端 馨
    2018 年29 巻3 号 p. 228-236
    発行日: 2018/05/31
    公開日: 2019/05/31
    ジャーナル フリー
    ごみ処理技術の分野においては,1990 年代から 2000 年にかけてインターネットを利用した遠隔監視システムや人工知能 (AI) による制御技術を適用してきており,運用を通じて継続的な改良等を行いながら発展してきた。しかし,最近の第 4 次産業革命ともいわれる情報通信技術 (ICT) の進展により,運転監視技術の高度化や,監視システムで蓄積したビッグデータを AI 技術の活用により解析し,燃焼制御や運転支援,維持管理の最適化等に展開している事例が出てきており,新たな付加価値の創造の潮流となる気配がある。  そこで本稿では,(一社) 廃棄物資源循環学会主催のセミナーで報告した ICT,AI 技術の活用事例を中心に,プラントメーカ各社の最新の取組状況ならびに技術概要について紹介する。
  • ――東日本大震災の復旧・復興支援におけるICTの活用事例――
    大塚 義一
    2018 年29 巻3 号 p. 237-245
    発行日: 2018/05/31
    公開日: 2019/05/31
    ジャーナル フリー
    東日本大震災から 7 年が経過するなか,“首都圏直下地震” や “南海トラフ地震” といった大規模災害の発生が危惧されている。大規模災害では被害範囲が広大で建物の倒壊・破損度合いが高くなるため,都道府県や市町村といった多数の行政区域で膨大・多種多様な災害廃棄物が短期間で発生する。また,大規模災害時の災害廃棄物処理は,被災地の迅速な復旧・復興へ向けた初期段階での重要な災害対応といえる。災害廃棄物処理事業を円滑に遂行するためには,処理体制の指導・助言・広域的な協力体制の確保,被害情報収集体制の確保,市町村・関係省庁・民間事業者団体との連絡調整等が求められる。本特集では,東日本大震災での約 3 年間にわたる建設業としての災害廃棄物処理をはじめ,復旧・復興事業へクラウドを用いた ICT の適用事例を紹介する。適用事例では,機能要件として必要な複数のシステムを一元的に集約・管理する統合管理システムについても述べる。
廃棄物アーカイブシリーズ/『ゴミ戦争』の記録
平成29年度廃棄物資源循環学会セミナー報告
支部特集/支部だより
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