廃棄物資源循環学会誌
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27 巻, 3 号
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巻頭言
特集:食品リサイクル特集 2 ―身近な食品廃棄物の発生抑制・リサイクルの促進に向けて―
  • 川野 豊
    2016 年 27 巻 3 号 p. 165-170
    発行日: 2016/05/31
    公開日: 2020/07/01
    ジャーナル フリー
    わが国においては,「食品ロス」は 642 万 ton と推計されており,食品関連事業者と家庭からそれぞれ同程度排出されている。
     食品ロスの削減に向けた取り組みとして,以下の取り組みがある。
    ・食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律 (以下,食品リサイクル法) に基づく新たな基本方針を策定し,食品廃棄物等の発生抑制を最優先とすることことし,関係者が連携して食品ロスを削減する。
    ・食品リサイクル法に基づき,31 業種について発生抑制の目標値を設定した。
    ・「食品ロス削減のための商慣習検討ワーキングチーム (WT) 」 が設置され,4 年間の討議を通じて,商慣習の見直しについて検討が行われた。
    ・食品ロス削減に関わる省庁が連携して,食品ロス削減国民運動を展開し,関係者の実践を促進した。
     大量の食品ロスを排出し続けることは,世界的にも大きな課題である。食品関連事業者,関係府省庁,地方自治体,そして消費者一人ひとりが協力して食品ロス削減に向けて取り組むことが重要である。
  • 和田 篤也
    2016 年 27 巻 3 号 p. 171-179
    発行日: 2016/05/31
    公開日: 2020/07/01
    ジャーナル フリー
    廃棄物系バイオマスの利活用を推進し,持続的に再生可能な資源であるバイオマスの総合的な活用を加速化することは,循環型社会の形成に寄与するものである。また,化石資源由来のエネルギーや製品をバイオマス由来のもので代替することにより,温室効果ガス (GHG) の一つである二酸化炭素 (CO2) の排出を削減し,地球温暖化の防止に貢献する。
     また,廃棄物系バイオマスの利活用を通じて,地域における資源循環システムあるいは自立・分散型のエネルギーシステムが構築されることにより,地域の産業の活性化につながることが期待される。
     これらのことから,環境省では,廃棄物の発生抑制および適正処理を前提としつつ,地域の特性に応じた廃棄物系バイオマスの適切な再生利用等を推進している。今後とも,地域にとって必要不可欠な廃棄物処理施設の整備をはじめ必要な支援に努めていく。
  • 山田 哲士, 渡邉 晋一郎
    2016 年 27 巻 3 号 p. 180-187
    発行日: 2016/05/31
    公開日: 2020/07/01
    ジャーナル フリー
    京都市では,京都大学と連携し,35 年間にもわたり 「家庭ごみ細組成調査」 を実施している。また,事業所ごみについても細組成調査を行っている。これらの調査結果によると,燃やすごみとして排出されているごみの約 4 割が厨芥類 (生ごみ) で,そのうち約 4 割が 「食品ロス」 であり,家庭,事業所のそれぞれから年間約 3 万 ton ずつ排出されていると推定される。京都市では,さまざまなごみの発生抑制の取り組みを行ってきているが,より一層,環境負荷の低減等を図るため,2015 (平成 27) 年 3 月に,ごみの減量等に関する条例を改正するとともに,これを具体化した新たなごみ処理基本計画を策定し,2R の取り組み (食品スーパー全店舗でのレジ袋有料化等) に加え,全国初となる食品ロスの削減目標を設定している。また,ごみの持つエネルギー回収の最大化を図るとともに,食品廃棄物の利用量を拡大するため,バイオガス化施設を併設したごみ焼却施設の建替え整備を進めている。
  • 菊池 昭二美
    2016 年 27 巻 3 号 p. 188-192
    発行日: 2016/05/31
    公開日: 2020/07/01
    ジャーナル フリー
    防府市クリーンセンターは,一般廃棄物を焼却処理するごみ焼却施設にメタン発酵処理するバイオガス化施設を併設している 「ごみ焼却・バイオガス化複合施設」 である。本施設では,混合収集されたごみを機械選別し,隣接施設から受け入れた汚泥と混合してメタン発酵を行い,得られたバイオガスを用いて高効率な発電を実現している。発酵槽から排出される発酵残渣は脱水処理し,固形分は焼却処理,排水は除害処理を経て希釈水と余剰分は下水放流する。DBO 方式を採用した本施設は 2014 年 4 月に供用開始し,特別目的会社 (SPC) である 「グリーンパーク防府」 が 20 年間の事業運営を行っている。
     約 2 年におよぶ運転で安定なメタン発酵処理を継続しているとともに,定期点検にて各施設ならびに独立過熱器の健全性を確認した。これまでの期間にて発酵残渣の含水率のばらつきにより,まれに燃焼が不安定となることがあったが,脱水設備の対策を講じ解消できる見込みを得た。
  • 佐々木 稔納
    2016 年 27 巻 3 号 p. 193-197
    発行日: 2016/05/31
    公開日: 2020/07/01
    ジャーナル フリー
    南丹市は,2015 年 10 月 30 日に,国が推進している 「バイオマス産業都市」 に選定され,地域のバイオマスを活用した産業創出と地域循環型のエネルギーの強化により,地域の特色を活かしたバイオマス産業を軸とした環境にやさしく災害に強いまち・むらづくりを目指すこととしている。当市には,家畜排泄物と誘致企業の食品工場の残渣をメタン発酵処理して発生するガスを電気と熱で利用する湿式のメタン発酵処理施設である「南丹市八木バイオエコロジーセンター (YBEC) 」 と,生ごみ,食品廃棄物,草木類等をメタン発酵処理して発生するガスを電気等に利用する乾式のメタン発酵施設である 「カンポリサイクルプラザ (CRP) 」 の異なった 2 つのバイオガス化技術を効率的に活用している。
     身近なバイオマス資源である食品廃棄物等の発生抑制およびリサイクルはとても重要な課題であり,さらに取り組みを進めていくことにより,資源循環による循環型社会の形成,低炭素化による地球温暖化の防止,地域資源としての活用による地方創生等に繫がるものと考え,引き続き推進していく。
  • 中村 一夫
    2016 年 27 巻 3 号 p. 198-208
    発行日: 2016/05/31
    公開日: 2020/07/01
    ジャーナル フリー
    食品廃棄物等の廃棄物系バイオマスの利活用は,低炭素社会や循環型社会の構築に向けて重要である。しかしながら,廃食用油等の一般廃棄物系バイオマスについては,薄く広く存在し,収集面でも困難が多いため,利活用が進んでいない状況である。このような状況の中で,「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」 (「食品リサイクル法」) の見直しで,食品ロスの削減や食品廃棄物のリサイクル促進等に向けた基本方針が示された。そこで,今後の各自治体での食品廃棄物,特に廃食用油等の廃棄物系バイオマスの利活用の促進に向けて,先進的な廃食用油の BDF 化事業の現状や第二世代の BDF 化技術等のバイオ燃料化技術開発の最近の動向を含めた取り組みを紹介する。
  • ――食品廃棄物とバイオマスプラスチックを中心に――
    酒井 伸一
    2016 年 27 巻 3 号 p. 209-217
    発行日: 2016/05/31
    公開日: 2020/07/01
    ジャーナル フリー
    食品廃棄物を含めた有機性廃棄物に対する発生抑制とリサイクルは,対策の 2 つの大きな柱である。食品廃棄物の発生抑制のライフサイクルベースでの環境負荷削減効果は非常に大きく,より一層の力を注ぐべき分野である。そのうえでも一定の廃棄を認めざるを得ないことも事実であり,こうした食品廃棄物に対するリサイクル方法として,バイオガス化やコンポスト利用にもっと注力していい。また,さまざまな製品素材を再生可能素材とすること,その結果として温室効果ガス (GHG) 発生を抑制することは,環境や資源的観点から重要な取り組みとなってきている。容器包装リサイクルに用いられる化石資源由来プラスチックを比較対象としたバイオマスプラスチックの利用と処理について,GHG 削減効果のライフサイクルベースのシナリオ分析結果で 14 ~ 20 % 削減できる例を紹介した。
平成27年度廃棄物資源循環学会セミナー報告
廃棄物アーカイブシリーズ/『ゴミ戦争』の記録
平成27年度廃棄物資源循環学会企画セミナー報告
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