廃棄物資源循環学会誌
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28 巻, 6 号
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巻頭言
特集:SDGs 時代の循環型社会の指標と目標
  • ――国内外の活動への参画経験から――
    森口 祐一
    2017 年 28 巻 6 号 p. 399-402
    発行日: 2017/11/30
    公開日: 2019/06/27
    ジャーナル フリー
  • ――環境政策および廃棄物政策に主眼をおいて――
    瀬川 恵子
    2017 年 28 巻 6 号 p. 403-411
    発行日: 2017/11/30
    公開日: 2019/06/27
    ジャーナル フリー
    SDGs の実施に関する日本政府全体の体制と指針の内容を紹介するとともに,わが国における環境政策・廃棄物政策における SDGs の実施の状況について概説した。わが国においては,2017 年 9 月現在,SDGs に照らして環境基本計画および循環型社会形成推進基本計画の 2 つの計画の改訂が進められている。また,SDGs 実施のための施策の事例として,ターゲット 12.3 に掲げられた食品廃棄物削減のための取り組みについて概説した。また,SDGs の複数目標の統合的実現・向上の事例として,廃棄物処理における温暖化対策についてもわが国の取り組みについて概説した。さらに,率先して SDGs の実施に取り組む企業等の事例を共有する場として環境省が行うステークホルダーズ・ミーティングにおける食品ロスに関する取り組みの情報交換についても紹介した。
  • 蟹江 憲史
    2017 年 28 巻 6 号 p. 412-419
    発行日: 2017/11/30
    公開日: 2019/06/27
    ジャーナル フリー
    持続可能な開発目標 (Sustainable Development Goals:SDGs) の採択から 2 年余りが経って 232 のグローバル指標が決定したことで,目標,ターゲット,指標の三層構造が確立した。SDGs は法的枠組みではなく,目標とその進捗を測る指標によるシンプルな構造からなる新たなグローバル・ガバナンス手法であり,進捗測定は重要な柱である。その方法は,将来の行動強化を視野に入れながら,指標に基づいて進捗を測る国連事務総長の SDGs 進捗報告書の他,「グローバル持続可能な開発報告書 (Global Sustainable Development Report:GSDR)」によるものがある。SDGs は環境,経済,社会の諸側面を包括的に行うがゆえに,多様な測定方法が可能となり,何を測定の目的とするのかにより指標も大きく変わってくる。SDGs は各ステークホルダーに独自の指標設定を推奨していることから今後,自律分散的な SDGs の性質を踏まえ,企業や自治体といった行為主体ごとに,比較可能かつ,次の政策や行動を導くような指標体系を設計していく必要がある。2030 年へ向けた変革を導くカギは指標を策定するプロセスそのものにあるといってよい。
  • 粟生木 千佳
    2017 年 28 巻 6 号 p. 420-430
    発行日: 2017/11/30
    公開日: 2019/06/27
    ジャーナル フリー
    本稿では,欧州における資源効率性・循環経済に関する指標や目標に関して包括的な理解を深めるため,議論の経緯や現在の検討状況,欧州各国の資源生産性指標の目標設定状況等を整理し,政策背景や指標体系の特徴等を分析した。
     EU における指標と目標は,2005 年天然資源の持続可能な利用に関する戦略から,2011 年資源効率的な欧州・同ロードマップ,2014/2015 年循環経済政策まで継続的に議論されている。最新政策の循環経済行動計画では,循環経済のためのモニタリング枠組みの開発が提案され,その後資源効率性スコアボードと原材料スコアボードに基づき,生産・消費,廃棄物管理,二次原材料,経済・競争力等の 4 分野 10 指標からなる指標体系案が示された。また,RMC 算出・循環利用率の実験的算出といった循環経済促進のための新たな指標動向がみられる。資源生産性指標の目標設定は,国個別の事例は存在するが,EU 総体での結論は出ていない。
  • 谷川 寛樹, 醍醐 市朗, 小口 正弘, 奥岡 桂次郎, 高木 重定
    2017 年 28 巻 6 号 p. 431-437
    発行日: 2017/11/30
    公開日: 2019/06/27
    ジャーナル フリー
    フロー型社会から脱却し,ストック型社会を目指すためには,社会の物質代謝,つまり,物質フローと物質ストックを把握する必要がある。環境省により推計されているわが国の物質フローは,主に投入と産出,蓄積純増,再利用から成り立っており,表裏一体となるべき物質ストックの全体像については触れられていない。本稿では,ストック型社会の構築に資する物質ストック・フロー分析を通じて,物質ストックの区分を示し,わが国の物質フローと物質ストックの状況を定量化し,さらに 3 つの物質ストック指標について検討を行った。その結果,1990 年と 2010 年を比較すると,総物質投入量は 6 割程度に減少している一方,物質ストックは 1.7 倍に増加していることが明らかとなった。さらに,物質ストックに関する 3 指標を例示したが,ストック型社会構築までの道のりを端的に示す必要があり,あるべきストック型社会像と合わせて,今後も引き続き検討を行う必要がある。
  • 松本 亨
    2017 年 28 巻 6 号 p. 438-447
    発行日: 2017/11/30
    公開日: 2019/06/27
    ジャーナル フリー
    まず,国や自治体の循環型社会形成推進基本計画,さらに国から公開されているガイドラインや手引きにおいて,地域循環圏の評価がどのように扱われているか検証した。次に,地域循環圏の評価手法開発を行った研究のレビューを行い,物質の収支バランス,低炭素化,事業採算性,生態系サービスによる評価事例を紹介した。また,地域循環圏の一形態とされるエコタウンを対象とした研究では,CO2 削減効果や立地自治体の域内循環率,調達と供給の物質移動距離が採用されていること,さらに指標の経時変化の要因分析が実施されていることを示した上で,地域循環圏にかかわる個別事業の効果を中長期に評価するためには必要な視点であると指摘した。環境面以外の副次的効果に着目した評価もあり,分別への住民の参加意識,施設の住民受容性,地域福祉力等が採用されている例を示した。最後に,今後の地域循環圏の評価指標・手法のあり方として,要件とともに実行可能性の面から考察した。
  • 佐藤 多加子
    2017 年 28 巻 6 号 p. 448-454
    発行日: 2017/11/30
    公開日: 2019/06/27
    ジャーナル フリー
    気候変動対策や資源生産性の向上等の地球環境保全は,リコーグループが事業活動を通じて大きな貢献ができる分野である。われわれは,環境保全と事業成長を同時実現する「環境経営」の考え方を 1998 年に確立し,その実践のために社会全体の目標を認識し,自社の長期・中期・短期目標を設定,具体的な施策を展開している。本稿では資源循環にフォーカスし,指標,目標設定と目標達成のための具体的な取組事例について紹介する。
  • 田原 聖隆
    2017 年 28 巻 6 号 p. 455-462
    発行日: 2017/11/30
    公開日: 2019/06/27
    ジャーナル フリー
    持続可能な開発目標 (SDGs) への対応や循環型社会形成が求められる中,達成度を評価する手法が必要となる。そこで評価手法となりうる環境効率指標,およびその基盤となる積み上げ法のデータベースである IDEA の作成方法や特徴を述べるとともに,産業連関分析法の特徴等を紹介した。加えて,われわれが提案した環境効率指標とそれを用いた企業評価手法を示し,2005 年のわが国の産業の環境効率指標 (CO2 効率指標) の算出も行い,産業の特徴を定量的に示した。今後の SDGs や循環型社会形成の達成度の指標として活用され,新たな指標開発の一助になればと考える。
  • 橋本 征二
    2017 年 28 巻 6 号 p. 463-473
    発行日: 2017/11/30
    公開日: 2019/06/27
    ジャーナル フリー
    本稿では,循環基本計画における指標体系の課題を整理してこれに対応した指標体系を提案するとともに,現在検討されている次期循環基本計画の指針を例に,提案する指標体系を当てはめた次期計画の指標案について議論した。現行体系上の大きな課題として,①政策と指標の関連づけや,②「物質フロー指標」と「取組指標」の関連づけ等を指摘し,これに対応するため,ⓐライフサイクルの段階,ⓑ指標の種類,ⓒ政策の項目という 3 軸からなる指標体系を提案した。この体系を当てはめた次期計画の指標案では,その他の課題を含め具体的な対応例を示した。新たに設定したⓒ政策の項目は,今後次期計画の議論が進むにつれ変化すると考えられるが,指標体系としては政策と指標の関連づけが非常に重要である。今回検討した政策のより詳細な項目ごとに指標を設定することも考えられる。
廃棄物アーカイブシリーズ/『ゴミ戦争』の記録
平成29年度廃棄物資源循環学会企画セミナー報告
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