廃棄物資源循環学会誌
Online ISSN : 2187-4808
Print ISSN : 1883-5864
ISSN-L : 1883-5864
21 巻, 2 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
巻頭言
特集:自動車リサイクルの進化
  • 上田 康治
    2010 年21 巻2 号 p. 81-86
    発行日: 2010年
    公開日: 2014/07/29
    ジャーナル フリー
    平成17(2005)年1月に施行されたわが国の自動車リサイクル法は,解体業者等の既存のインフラを利用しつつ,使用済自動車のASRやフロン類等の3品目の引取り,再資源化を自動車メーカーに義務づけ,その費用は自動車購入時にユーザーが負担する仕組みである。
    今般,同法が施行後5年を迎えるにあたり,中央環境審議会および産業構造審議会の合同会議にて,制度の評価・点検作業が行われた。本稿では,平成22(2010)年1月にとりまとめられた合同会議の報告書の概要を解説し,法のこれまでの成果と課題,今後の方向性について紹介する。
  • ――韓国の運用状況と中国の動向を中心に――
    劉 庭秀
    2010 年21 巻2 号 p. 87-95
    発行日: 2010年
    公開日: 2014/07/29
    ジャーナル フリー
    近年,世界各国では拡大生産者責任を原則にリサイクル制度を整備している。たとえば,日本は,2005年に自動車リサイクル法を施行し,韓国でも2009年から生産者責任を強く求める自動車リサイクル制度を導入した。特に韓国では逆有償現象が起これば,自動車メーカーが使用済み自動車の無償回収を行うこととなっており,エアバッグ,フロンガス,ASR (Automobile Shredder Residue) がリサイクル対象である日本に比べて,非常に厳しいシステムである。しかしながら,インフラ整備の遅れと既存のリサイクル現場における情報管理の困難により,スムーズに動き出しているとはいえない。
    広い意味で,日本と韓国の自動車リサイクル制度は,アジア諸国に様々な影響を与えた。たとえば,中国は,2010年に日本と韓国の制度を参考し,独自の自動車リサイクル制度を構築する予定である。既存の「自動車部品回復に関する技術的政策」は,自動車メーカー,解体業者,再資源化業者の活動を促すことが難しく,円滑に運用されていない状況である。また,中国と日本の間には,環境意識,自動車設計,廃棄物の減量,中古部品,再製造およびリサイクル技術のレベルに大きな差がある。さらに,地域間の様々な格差を埋めるためには,これらを考慮した政策づくりとインセンティブを与えることによって,使用済み自動車の再資源化を誘導し,促していくことが重要である。使用済み自動車の問題はアジアの差し迫った問題であり,アジアだけではなく,グローバルな視点で,パートナーシップと協力体制を構築していく必要がある。
  • 布施 正暁
    2010 年21 巻2 号 p. 96-102
    発行日: 2010年
    公開日: 2014/07/29
    ジャーナル フリー
    本稿は,中古車,中古部品,あるいは二次資源として国際的に取引されている使用済み自動車に注目する。多種多様な金属材料から構成される使用済み自動車は,極めて高い資源ポテンシャルを持つ人工鉱石と見なすことができる。リユースまたはリサイクル目的で国境を越えて取引される使用済み自動車の資源ポテンシャルを評価することは,各国の自動車リサイクルを検討する上でも重要である。本稿は,使用済み自動車貿易を通じて生じるグローバルな資源移動を概観するとともに,資源移動から見えてくる自動車リサイクルの将来像について考察する。
  • 酒井 伸一
    2010 年21 巻2 号 p. 103-110
    発行日: 2010年
    公開日: 2014/07/29
    ジャーナル フリー
    自動車破砕残渣 (ASR) の物理化学性状や自動車素材の資源性と有害性の視点から,自動車リサイクルのあり方を考察した。ASRに含有される鉛濃度は,日本では1990年前後から直近に至るまで,1,000~2,000mg/kgレベルで大きく変化していない。鉛使用量の削減に向けた産業界の自主的取り組みがはじまって,既に10年以上が経っており,削減効果の検証が求められる。ASRには,PCBや臭素系難燃剤成分も含有されるため,その適切な分解も必須である。欧州で導入された廃電子電気製品に対するRoHS制度やELV政令における重金属類規制は,アジア諸国への導入が図られつつあり,日本もこうした動きと協調するためにも類似の制度導入が望まれる。
  • ――EPRの実践と経過から見る課題整理と今後――
    米山 淳, 松本 津奈子
    2010 年21 巻2 号 p. 111-117
    発行日: 2010年
    公開日: 2014/07/29
    ジャーナル フリー
    自動車リサイクル法制定過程において,二輪車を自動車リサイクル法の対象とするか否かの議論があったが,四輪車との構造および車両登録制度の違いから,二輪車は独自のリサイクルシステムを構築することとなった。拡大生産者責任 (EPR) の概念を拠り所に業界自主取組として,国内二輪車製造業者4社を中心に輸入業者12社を加えた計16社が一つのシステムを作り上げた。2004年10月にシステムを稼働し,2011年10月からは全車両廃棄時無料引取を開始する。本稿では,システムが目指した“セーフティーネット”の実現に向けて生産者が引き受けた責任をEPRの3つの責任領域に重ねて紹介し,実績を踏まえた課題を整理する。EPRが環境配慮設計 (DfE) をどのように促すのか,処理再資源化費用価格内部化が本格的となる2011年10月以降にその成果が問われるが,開始後5年半の経験からは,リユースが旺盛で使用済み段階で生産者に戻らないことがDfEの効果に影響を与えると指摘する。
短報
  • 戸井 朗人
    2010 年21 巻2 号 p. 118-121
    発行日: 2010年
    公開日: 2014/07/29
    ジャーナル フリー
    3R (Reduce, Reuse, Recycle) 推進の目的としては,資源制約,埋立地の制約および地球温暖化問題への対応の三つをあげることができる。本稿においては,簡単なモデルに基づき,3Rの推進によりそれぞれの目的をどの程度達成することができるかを示しつつ,その中でも特にリサイクルによる地球温暖化対策としての効果について,現在リサイクルが行われている主要なマテリアルのいくつかを対象として推計を行った。その上で,3R推進により温暖化ガスのさらなる削減を実現するためにどのような対応が必要かについて考察を行った。
活動報告
書評
feedback
Top