小形電池に着目し,その化学性状および使用・廃棄実態,小型家電製品からの取り外しの実態を把握し,回収・リサイクル検討に向けた基礎的知見を得ることを目的とした。そのために,小形電池の化学性状把握を試みると同時に,小型家電製品中の電池保有や廃棄時の電池取り外しに関する消費者アンケートを行い,これらの結果より,国内における小形電池に含まれる金属量を推定した。
その結果,小形電池にはレアメタルを含むさまざまな物質が含まれることが確認された。また,消費者アンケート調査の結果,小型家電製品および小形電池の保有状況および個数が明らかになったと同時に,廃棄時,7 割以上は小形電池を取り外していないこと,小形二次電池の回収・リサイクルに関する法律やシステムの認知度は 3 ~ 4 割であることなどが明らかになった。また,家庭で保有されている小形電池に含まれる金属量を推定すると,たとえばLiは 516 ton,Co は 3,900 ton,Ni は 4,700 ton,Cd は 1,600 ton となり,Li, Co, Ni は年間国内需要量の1 ~ 4 割,Cd も同程度にあたり,回収・リサイクルの意義が確認された。
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