廃棄物資源循環学会誌
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20 巻, 6 号
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巻頭言
特集:持続可能な廃棄物最終処分場のあり方―埋立研究部会特集―
  • 松藤 康司
    2009 年 20 巻 6 号 p. 271-
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/12/18
    ジャーナル フリー
  • 松藤 敏彦, 吉田 英樹
    2009 年 20 巻 6 号 p. 272-277
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/12/18
    ジャーナル フリー
    本稿は,持続可能な廃棄物最終処分場をめぐる,埋立処分部会の検討を総論としてまとめたものである。まず,持続可能な廃棄物処理とはどのようなものになるか,その中で最終処分場の持続可能性の概念を提案した。そして,どのような埋立処分を目指すべきか,安全性の考え方,跡地利用の必要性を述べ,埋立物・方法・施設構造・立地の4つの視点を含めた設計概念を提案した。さらに,安定化レベルの定義と設計管理の関係,リスク最小化の方法について述べた。次に,本特集で紹介されている様々な取り組みを,その背景と必要性とともに要約した。
  • 東條 安匡
    2009 年 20 巻 6 号 p. 278-282
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/12/18
    ジャーナル フリー
    埋立地に投入された廃棄物中の元素は,最終的に埋立ガス,浸出水,埋立層内のいずれかに分配されることになる。既往の研究によると,20年程度の期間では層内に残存する率が圧倒的に多く,1000年程度の予測でも消失してゆく傾向は緩慢であることが示されている。このことはたとえ放出が管理不要なレベル以下に収まっても,内部には多くの元素が残存し続けることを含意する。最終的な安定化に至る長い過程で,こうした層内残存物が何も問題を引き起こさないことを証明することが,埋立地の本質的な安全を保障するために必要であろう。これまで埋立地内の物質挙動予測を目的に作成されてきたモデルは,多くが反応の活発な時期での分解やガス生成を対象とするものである。長期の予測,特に有害物の挙動予測においては,主要な層内残存成分である分子量の大きい有機物の生成や腐植の生成を如何にして再現するかが課題となる。
  • ――埋め立てが終了した処分場での調査事例を通して――
    吉田 英樹
    2009 年 20 巻 6 号 p. 283-286
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/12/18
    ジャーナル フリー
    埋立地において,埋立地ガスの組成と温度は,内部での好気性・嫌気性微生物反応を反映する指標であり,安定化インデックスとして重要である。埋め立てが終了した処分場で,打ち込み型ガス抜き管を設置した後の埋立ガス組成と温度の測定事例について紹介した。一部のガス抜き管で好気性微生物反応の活発化による炭酸ガスの増加・温度上昇が起こっていることや,全体として嫌気性微生物反応が支配的であることを示すとともに,打ち込み型のガス抜き管では安定化促進の効果が限定的であることを示した。現在,多くの研究者によって行われている化学的・生物学的好気性反応導入による安定化促進事例についても紹介した。最後に温度の鉛直方向の分布や時間的変化を示し,安定化のインデックスとしての温度の重要性について示した。
  • ――環告13号溶出試験の役割と課題――
    肴倉 宏史, 宮脇 健太郎
    2009 年 20 巻 6 号 p. 287-291
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/12/18
    ジャーナル フリー
    廃棄物最終処分場は,周辺環境に甚大な影響を及ぼさぬよう,十分な管理が行われねばならない。埋立廃棄物の性状については,有害物質の溶出性の観点から個々の廃棄物の最終処分の可否を判定するために,昭和48 (1973) 年環境庁告示第13号「産業廃棄物に含まれる金属等の検定方法」(環告13号) が用いられている。本稿は環告13号の役割と課題について,最近の知見や情報を踏まえながらまとめたものである。廃棄物埋立地の環境安全性を担保するために,溶出試験による廃棄物の検査はこれからも必須であるが,循環型社会構築を目指し廃棄物有効利用を積極的に図る最近の動勢から,土壌や循環資源との境界とその往来があり得ることを意識した共通の考え方を構築しなければならない。
  • 山田 正人
    2009 年 20 巻 6 号 p. 292-296
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/12/18
    ジャーナル フリー
    日本と世界の都市ごみと建設廃棄物に対する埋立物の質制御技術について概観した。都市ごみからの有機物低減技術として,日本の焼却技術に対して,欧州では機械選別と生物処理を組み合わせたMBT (Mechanical Biological Treatment) の導入が進められている。また,アジアの都市ごみ処理における中間処理では,焼却主体と焼却・生物処理併用の2つの流れがある。建設混合廃棄物の破砕選別処理は,埋立物から有機物を取り除くだけではなく,再生利用される資源を分離している。ふるい選別残さの質制御が技術的課題であり,技術がもたらす費用対効果を考慮する必要がある。地域の事情にあわせた可変性と経済性を高めることが,日本の中間処理技術の普遍化に必要である。
  • ――都市ごみの焼却処理と焼却残渣の再資源化――
    島岡 隆行, 中山 裕文
    2009 年 20 巻 6 号 p. 297-303
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/12/18
    ジャーナル フリー
    人間活動の代謝産物として発生する一般廃棄物の処理責務が課せられている市町村においても,低炭素型,循環型の処理システムの構築が求められている。本研究では,現在のわが国における一般廃棄物処理の現状を俯瞰し,その課題を抽出するとともに,新たな技術としてRecyclable Landfill System (以下,RLシステム) を提案した。RLシステムとは,廃棄物埋立地の埋立空間を焼却残渣セメント原料化のための脱塩施設として繰り返し利用することが可能な持続型環境技術 (Sustainable Environmental Technology) を取り入れたシステムであり,循環型社会のみならず,低炭素型社会にも貢献する技術である。
  • 渡辺 洋一
    2009 年 20 巻 6 号 p. 304-307
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/12/18
    ジャーナル フリー
    廃棄物の不適正な埋設あるいは堆積によって周辺環境に支障を生じる危険性の高い事例について,その危険性の修復方法を実例を交えて解説した。周辺環境に支障を生じる危険性の高い事例として,廃棄物の崩落,硫化水素ガス・メタンガスの発生,有害金属化合物含有廃棄物の埋設について取り上げた。これらの事例について,①調査,②対策立案,③作業時の安全対策および環境保全対策,④事後モニタリングと環境保全対策の概要について述べた。対策に有効な手法として廃棄物層内部の硫化水素ガス発生抑制対策,有害金属含有廃棄物埋設による汚染範囲の決定手法などを紹介した。
  • ――国際的な可能性――
    立藤 綾子, 平田 修
    2009 年 20 巻 6 号 p. 308-313
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/12/18
    ジャーナル フリー
    日本では一般廃棄物の最終処分場の多くにおいて準好気性埋立構造が採用され,焼却や破砕選別処理などの中間処理の発展によって,最終処分場の不要論が飛び交う昨今でも従前として最終処分場の主要な構造となっている。これは,本構造が浸出水の汚濁負荷の削減や廃棄物層の早期安定化等の最終処分場の維持管理の主目的である環境リスクの低減において,嫌気性構造よりも優位であるばかりでなく,建設および維持管理が比較的簡便であるためと考えられる。海外における本構造の適用は実施国に決定権があるため,実施国の政策決定者に浸出水浄化機能やメタン削減効果などの環境リスクの低減効果を理解してもらうことも重要であり,これまで本構造を採用した国々における水質およびガス質などの科学的データの蓄積を,実施国の研究機関と連携して行う必要がある。近い将来,準好気性埋立構造がコベネフィット (Co-benefit) CDM技術の一つとして国際的に評価されるための方向性と課題について報告する。
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