廃棄物由来の固体回収物燃料 (Solid Recovered Fuel: SRF) は,廃棄物最終処分の削減のみならず,安価かつ安定的に大きな発熱量が得られ,石炭等の化石燃料を代替できるため,循環経済や脱炭素に資する有用な燃料資源として,国境を越えて使用されている。
一方,SRF は,さまざまな性状を有するものがあり,燃料としての品質や製品安全性を規定する国際ルールの作成が急務となり,2015年に ISO において,SRF の国際標準化の専門委員会 (TC300) が設置された。原料廃棄物の受け入れから顧客拠点への製品搬入まで,SRF の製造・保管をカバーすべく,規格の開発が進められ,現在まで15の規格が交付されている。
わが国は,古紙と廃プラスチックの組成制御で発熱量を制御できる,高品位な RPF (Refuse Paper and Plastic densified Fuel) の JIS 規格を保有しており,RPF を対象に含めた規格の成立と JIS 規格の考え方の各国への共有等,TC300 において重要な役割を果たしてきた。
本論文では,これら SRF の国際標準化の活動概要について報告する。
抄録全体を表示