廃棄物資源循環学会誌
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32 巻, 2 号
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巻頭言
特集:情報・センサ技術の活用による循環経済の推進
  • 松岡 浩史, 藤井 実
    2021 年32 巻2 号 p. 99-105
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2022/03/31
    ジャーナル フリー
    循環経済の推進と脱炭素社会の実現のためには,有限な資源を最大限に活用する必要があり,適材適所での利用を実現する,空間的,質的,経済的,時間的なマッチングが重要となる。そのためには産官学の連携による情報共有が不可欠であり,産官学連携の場として 2016 年に廃棄物処理・リサイクル IoT 導入促進協議会,2018 年に (一社) 廃棄物資源循環学会 情報技術活用研究部会が設立された。それぞれの活動内容と検討状況を紹介するとともに,廃棄物処理・リサイクル業界における,DX の必要性と今後のサーキュラー・エコノミー実現に向けた方向性について考察した。
  • 重松 賢行
    2021 年32 巻2 号 p. 106-111
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2022/03/31
    ジャーナル フリー
    環境省では,新型コロナウイルス感染症拡大を踏まえた持続可能で強靱な社会構築に向けた一つの要素として,2050 年カーボンニュートラルにも資する「脱炭素社会」の実現のほか,「循環経済への移行」を重要施策として掲げている。循環経済の実現に向けては,資源投入量の低減とライフサイクル全体での徹底的な資源循環が求められ,IoT をはじめとする情報技術がその実現に貢献すると注目されている。環境省においては,これまで脱炭素の観点も含めて,IT 活用による資源循環プロセスの効果検証を行なってきたほか,リユース品や有用金属等の有効活用に向けて関係者間での情報共有のための情報プラットフォーム構築に向けた考え方も取りまとめてきた。2021 (令和 3) 年度に環境省が実施する実証事業等を通じ,情報技術を活用し脱炭素にも資する循環経済の取り組みを継続する予定である。
  • 松本 亨, 藤山 淳史, 藤井 実, 吉田 登, 橋本 征二, 小野田 弘士
    2021 年32 巻2 号 p. 112-121
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2022/03/31
    ジャーナル フリー
    廃棄物・資源循環分野において,さらなる 3R の推進と資源効率の向上,労働力不足への対応とそのための労働安全の確保,労働環境の改善等が求められている。本稿では,(独) 環境再生保全機構環境研究総合推進費 (3-1905) において進めている研究を紹介する。静脈系サプライチェーンの最適マネジメントのために適用可能な ICT・AI の導入ポテンシャルを検討し,その効果を明らかにすることを目的とした研究である。①ICT・AI の活用による排出・処理事業者間インタラクション実現による資源循環の効率化および適正処理の推進,②産業廃棄物のエネルギー利用高度化を想定した需給マッチングの最適化,③産業廃棄物のサーマルリカバリープロセスへの ICT・AI 導入による施設の維持・管理の高度化,④情報通信技術の活用による廃棄物処理事業における生産性の向上と適正処理推進のための安全管理の高度化,以上 4 つのサブテーマを設定して進めている。
  • 馬場 研二, 白井 徹
    2021 年32 巻2 号 p. 122-130
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2022/03/31
    ジャーナル フリー
    収集運搬車両について事業利益の増加と収集車両 CO2 排出量の削減とを目指す,IT・AI 技術を包含する DX 技術の実践事例について紹介する。AI 駆動型の収集車両配車システムと,契約およびマニフェスト業務を効率化する B to B 一気通貫型の Web ポータルサイトとの定量的効果を,2014 年からの操業実績と直近 1 年間の業務改善に基づき説明する。資源循環と循環経済の概念を実現するための課題と対策について日本企業の弱点を考察して論じる。
  • 熊谷 豊
    2021 年32 巻2 号 p. 131-139
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2022/03/31
    ジャーナル フリー
    石坂産業 (株) は,異業種と連携して資源化施設の特殊性を活かし,省人・省エネに関する共同研究を行なっている。研究開始の種を撒いた段階から,成果である花が咲いたものまでさまざまである。本誌では,群馬県立産技術センターとの「建設解体現場で整地に使用する不溶化剤」と「破砕機の振動を利用する発電装置」,東急建設 (株) 技術研究所との「複層・段積みの最上層の対象物を自動選別するロボット」,足利大学飯野研究室との「大型集塵機の排風を利用した発電装置」,(一社) パブリックヘルス協議会・東京大学縄田研究室との「里山と健康」の共同研究の事例を紹介する。
  • 井関 康人
    2021 年32 巻2 号 p. 140-147
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2022/03/31
    ジャーナル フリー
    廃プラスチックは焼却処分すると二酸化炭素を排出するため,再生材として繰り返し利用することは資源効率の向上のみならず気候変動対策としても重要である。国が 2019 年 5 月に公表した “プラスチック資源循環戦略” では「2030 年までに,プラスチックの再生利用 (再生素材の利用) を倍増する」とされており,今後,投資やイノベーションの促進が必要不可欠となっている。一方で RoHS 指令や POPs 条約等の有害物質に対する規制強化が進んでおり,再生材利用においてもバージン素材と同様の対応が求められている。物性 (強度) と有害物の両面で再生材の品質を担保するためには,選別プロセスや品質管理において物質を直接的に検知するセンサ技術の活用が不可避となる。本稿では,三菱電機 (株) が推進する家電リサイクルプラスチックの自己循環リサイクルにおけるセンサ技術の活用について述べる。
  • 小嶋 浩史, 鈴木 康夫
    2021 年32 巻2 号 p. 148-154
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2022/03/31
    ジャーナル フリー
    一般廃棄物処理施設では,自治体がプラントメーカに対して,これまでの施設の建設に加えて,建設後 20 年程度にわたる運営事業も含めた DBO (Design Build Operation) 方式等で発注する案件が増加している。このため,プラントメーカは運営事業領域を少人数で,かつ安定・安心な施設運営の提供を目的として,さまざまな技術開発に取り組んでいる。当社はこの取り組みの一つとして,運転業務の中でも最も時間を要している廃棄物焼却炉の安定燃焼の維持に向けた監視操作業務を自動化する技術開発を進めてきた。そして,2020 年 7 月に業界で初となる焼却炉自動運転 AI システム「BRA-ING」を商品として発表し,当社が運営事業を行なっている施設に導入を拡大している。
     本稿では廃棄物焼却炉の自動運転技術開発の経緯を紹介するとともに,これまで本技術を導入し,実際の運転で活用している施設において,運転員の監視操作業務がなくとも安定な燃焼管理が可能となっている事例を紹介する。
  • 小野田 弘士
    2021 年32 巻2 号 p. 155-162
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2022/03/31
    ジャーナル フリー
    コロナショックにより,非接触型のごみ収集への転換が社会的な要請となっている。本稿では,ごみ収集の非接触化・自動化に向けた展望を,海外事例および筆者らの研究グループの取り組みを通じて述べている。具体的には,圧縮機能およびごみ量等のセンシング機能を有するスマートごみ箱,自動走行機能を有するモビリティを活用したごみ収集の自動化に向けた取組事例を紹介する。また,国内のスマートシティ等の取り組みにおいて,ごみ収集を含む静脈に関する取り組みが欠如していることを問題点として指摘している。脱炭素社会等を見据えた中長期的な視点でごみ収集の非接触化・自動化に関する取り組みを積み重ねていくことが重要である。
令和2年度廃棄物資源循環学会セミナー報告
廃棄物資源循環学会研究部会セミナー報告
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