廃棄物資源循環学会誌
Online ISSN : 2187-4808
Print ISSN : 1883-5864
ISSN-L : 1883-5864
23 巻, 6 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
追悼
巻頭言
特集:震災廃棄物のリサイクル―リサイクルシステム・技術研究部会特集―
  • 吉岡 敏明, 宮城 英徳
    2012 年23 巻6 号 p. 421-428
    発行日: 2012/12/29
    公開日: 2020/12/02
    ジャーナル フリー
    2011 年 3 月 11 日,東日本大震災によって発生した災害廃棄物は,地震動により生じた災害廃棄物もさることながら,津波により生じた災害廃棄物が圧倒的に多く,これに津波堆積物も加わり,過去にあった災害廃棄物処理の観点のみからの対応では困難になった。宮城県では,2011 年 3 月に 「災害廃棄物処理の基本方針」 を策定し,処理にあたっての基本的方針を示したのを皮切りに,災害廃棄物処理指針や宮城県災害廃棄物処理実行計画等により,災害廃棄物については分別・破砕等の処理により可能な限り再資源化を図る計画や,その時々の災害廃棄物の推計量を発表してきた。これまでどのように災害廃棄物処理等に取り組んできて,このような状況下になっているのか,また,今後どのようにしてがれきを処理していくのか,震災直後から現在までの被災現場での状況を再確認しつつ,災害廃棄物処理の現状と課題を中心にして,今後の方向性について述べる。
  • 久田 真, 皆川 浩
    2012 年23 巻6 号 p. 429-436
    発行日: 2012/12/29
    公開日: 2020/12/02
    ジャーナル フリー
    東日本大震災という諸々の難局にわが国が直面してからまもなく 2 年が経過しようとしている。この間に,震災の復旧・復興に関する数多くの議論がなされたが,それらの議論は未だに収束していないように見受けられる部分も多々ある。
    震災廃棄物の処理に関しては,先の関東大震災,阪神大震災と比較しても遅々として進んでいない状況がマスコミを賑わしている。復旧・復興の第一段階であるがれきの処理は,2015 年 3 月までに完了させなければならないという極めて過酷な状況があるのも実情であり,このような状況を鑑みると,震災廃棄物の処分は,わが国の喫緊の課題の一つであることに違いはない。
    本稿は,東日本大震災から今日まで経過し,震災廃棄物の処理や有効活用 (リサイクル) に関する技術の現状と課題についてまとめたものである。
  • 三枝 増之
    2012 年23 巻6 号 p. 437-442
    発行日: 2012/12/29
    公開日: 2020/12/02
    ジャーナル フリー
    地震や台風による被害で,大量の震災廃棄物が発生する。これを迅速かつ適正に処理することが重要である。そのためには前処理として廃棄物を分別または破砕処理しなければならない。ここでは前処理としての破砕・選別設備について,東日本大震災と阪神淡路大震災を例に紹介する。
  • 青山 和史
    2012 年23 巻6 号 p. 443-452
    発行日: 2012/12/29
    公開日: 2020/12/02
    ジャーナル フリー
    2011 年 3 月 11 日に発生した東日本大震災により,これまでに経験したことのない大量の災害廃棄物が発生した。特に今回の震災では津波による被害が甚大で,災害廃棄物に加え,わが国初めてともいえる津波堆積物も処理する必要がある。鹿島建設 (株) など 9 社で構成する特定共同企業体は,東日本大震災により石巻ブロック (宮城県石巻市,東松島市,女川町) において発生した約 312 万 ton の災害廃棄物,約 29 万 m3 の津波堆積物の処理業務を受託した。石巻市内の二次仮置き場に中間処理施設を整備し,現在災害廃棄物等の破砕・選別・洗浄・焼却処理を行っている。2012 年 5 月から処理を順次開始し,9 月からほぼ全施設が本格稼動を開始した。本稿では,石巻ブロックにおける災害廃棄物処理の現状と,処理が進むにつれて見えてきた課題について報告する。
  • 遠藤 吉宣
    2012 年23 巻6 号 p. 453-459
    発行日: 2012/12/29
    公開日: 2020/12/02
    ジャーナル フリー
    2011 年 3 月 11 日に発生した東日本大震災により,宮城県亘理町に発生した災害廃棄物は 53 万 6 千 ton,津波堆積物は 50 万 m3 に及んだ。震災発生から 3 年以内に処理事業を終えることが国の方針となっているため,2014 年 3 月末までに廃棄物処理業務を終えなければならない。さらに,処理において徹底したリサイクル,ならびに最終処分量の減容化が求められている。本報文では実施設計から処理実施に至る段階で改善した災害廃棄物の選別処理設備と処理フローの概要,および成果について述べる。
  • 宮越 靖宏
    2012 年23 巻6 号 p. 460-467
    発行日: 2012/12/29
    公開日: 2020/12/02
    ジャーナル フリー
    東日本大震災から 1 年 7 箇月が経過した被災地では,各地で震災廃棄物の処理が進められている。都市ごみ焼却プラントメーカである当社は,現地の被災状況も未だ明らかになっていない震災発生直後から仮設焼却炉による処理計画に着手した。処理計画や実際の処理を進める中で明らかになったことは,津波の影響により複雑化した震災廃棄物を適正に処理するには,焼却処理と同等もしくはそれ以上に破砕・選別等の前処理のプロセスが重要であるということである。また,逼迫する埋立処分場の現状に鑑み,リサイクルの最大化が求められたこともこれまでの災害廃棄物処理とは一線を画すことになっている。本稿では,宮城東部ブロックを例に,震災廃棄物の焼却処理における課題と対策,現在の稼動状況,さらには現在計画中の焼却灰の再生処理について報告する。
  • ――“復興ボード”の生産と活用の支援――
    関野 登
    2012 年23 巻6 号 p. 468-475
    発行日: 2012/12/29
    公開日: 2020/12/02
    ジャーナル フリー
    岩手県沿岸の震災木くずのうち,燃料やパーティクルボード (PB) の原料にリサイクルしやすい 「柱材・角材」 は約 24 万 ton 発生した。この 24 万 ton のうち 2012 年 8 月末までに処理できたのは約 3 万 ton である。セメント焼成燃料,ボイラー燃料,そしてボード原料がその内訳であり,3 万 ton の約 1/5 が“復興ボード”へとマテリアルリサイクルされた。本稿では,岩手県の震災木くずのリサイクル事例 (PB 原料および燃料利用) として,震災直後から始めた岩手大学と岩手県立大学を中心とする“復興ボード”の生産・活用の支援の経緯と体制,“復興ボード”の生産状況および活用状況を紹介するとともに,今後の本格的な活用に向けた展望を述べる。
行政報告
  • 渡邊 厚夫
    2012 年23 巻6 号 p. 476-482
    発行日: 2012/12/29
    公開日: 2020/12/02
    ジャーナル フリー
    レアメタルは自動車や IT 製品等の製造に必要不可欠な素材であり,わが国の産業競争力の要である。他方でその希少性や偏在性,生産国の輸出政策や政情等により,供給リスクや価格が乱高下するリスクを常に抱えている。こうした事情を踏まえて,今後レアメタルを含む使用済製品の排出量が大幅に増加することを見据え,現段階から使用済製品の回収量確保やリサイクルの効率性の向上といった諸課題への対応策を講じることにより,リサイクルによる資源確保を着実に進めていくことが必要である。このため,2011 年 11 月より,産業構造審議会と中央環境審議会の合同会合を開催し,レアメタルを含む主要製品全般を横断的に対象としてレアメタルのリサイクルに係る課題と対応策について検討を行い,2012 年 9 月に中間取りまとめを提示したところである。本稿では,同取りまとめの内容について紹介する。
支部特集
書評
feedback
Top