廃棄物資源循環学会誌
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34 巻, 6 号
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巻頭言
特集:カーボンニュートラル社会を支えるセメント・コンクリートの動向
  • 野口 貴文
    2023 年 34 巻 6 号 p. 381-390
    発行日: 2023/11/30
    公開日: 2024/02/08
    ジャーナル 認証あり

    2050年カーボンニュートラルに向けて,セメント・コンクリートの炭酸塩化による大気中・排ガス中の CO2 (二酸化炭素) の吸収固定効果に対する期待が高まっており,国内外でさまざまな研究開発・実用化が進められている。本解説では,建設業界およびセメント・コンクリート業界における CO2 排出の推移,カーボンニュートラル化に向けた方策の概要,コンクリートのライフサイクルの各段階における低炭素化・脱炭素化に向けた各種技術の概要,および人造炭酸カルシウム製混和材・骨材の開発,CO2 と反応して硬化する結合材を用いたコンクリートの開発,炭酸カルシウムコンクリートの開発等,セメント・コンクリートにかかわる CCUS (Carbon Capture, Utilization and Storage) の最先端技術の開発動向について紹介するとともに,コンクリートがカーボンニュートラル建設材料となるための要件を示す。

  • 坂井 吾郎, 五十嵐 数馬, 小島 正朗
    2023 年 34 巻 6 号 p. 391-400
    発行日: 2023/11/30
    公開日: 2024/02/08
    ジャーナル 認証あり

    鹿島建設 (株),デンカ (株),(株) 竹中工務店を幹事会社とし,44企業,11研究機関の全55団体からなるコンソーシアムが提案した,『革新的カーボンネガティブ (CN) コンクリートの材料・施工技術及び品質評価技術の開発』が,(国研) 新エネルギー・産業技術総合開発機構 (NEDO) のグリーンイノベーション基金事業に採択された。コンクリート産業に係るすべての分野の会社が連携し,これまで各社が研究開発,社会実装してきた二酸化炭素 (CO2)の削減・固定に資する環境配慮型コンクリートに関するさまざまな技術を融合させて,日本のコンクリートを変える意気込みで事業を推進している。本稿では,2030年までの長期にわたって開発を行う同事業において組成したコンソーシアムの体制,ならびに同開発の概要とこれまでの成果,そして今後の展望について述べる。

  • 坂本 守
    2023 年 34 巻 6 号 p. 401-406
    発行日: 2023/11/30
    公開日: 2024/02/08
    ジャーナル 認証あり

    (国研)新エネルギー・産業技術総合開発機構 (NEDO) のグリーンイノベーション基金事業にて開発に取り組んでいる「Carbon Pool コンクリート」は,コンクリート系廃棄物を資源循環して使用する新たなカーボンニュートラルコンクリートである。コンクリート塊は年間 3,690万 t ,残コンクリート (残コン)・戻りコンクリート (戻りコン) は 225万 m3 発生しており,セメント水和物を多量に含むことから二酸化炭素 (CO2) の固定には有利な材料である。それぞれの材料には水分とともに CO2 ガス供給によって,ほぼ目標どおりの固定量を達成する見込みである。今後,さらに効率的な固定方法やコンクリートへの固定方法を検討していく予定であるが,単純に使用材料の固定量だけでなく,その処理方式,使用する CO2 の状態,処理プラントの適地選定等を LCA の観点から十分に評価して進める必要がある。

  • 山本 武志
    2023 年 34 巻 6 号 p. 407-412
    発行日: 2023/11/30
    公開日: 2024/02/08
    ジャーナル 認証あり

    セメント・コンクリート分野においても各種の二酸化炭素 (CO2) 固定技術が開発途上にある。それに合わせて CO2 固定量評価技術も多くの機関で検討され,JIS 化の段階にある。本稿では,示差熱−熱重量同時分析,湿式分析,全有機炭素計による分析,そしてクーロメーター法の概要とそれらの適用事例の提示,そして課題を示した。現状何れの CO2 固定量評価技術も一定の信頼性を担保した状態で定量することができるが,今後さらに多くの種類の CO2 固定材料およびコンクリートが開発されると考えられるため,試験方法の見直し等を含めたさらなる研究開発が必要である。

  • 小山 明男
    2023 年 34 巻 6 号 p. 413-421
    発行日: 2023/11/30
    公開日: 2024/02/08
    ジャーナル 認証あり

    年間 100~200万 m3 が発生している残コンクリートの再資源化方法の一つに,粒状化再生骨材をコンクリートに用いる方法がある。RRCS ((一社)生コン・残コンソリューション技術研究会) では,全国の生コンクリート工場42工場において,粒状化再生骨材の普及を目指し,粒状化再生骨材に関する全国共通試験を実施した。その結果,粒状化再生骨材の物理的性質は,再生骨材 L 相当の規格値をほぼ満足することが確認できた。また,普通骨材を粒状化再生骨材に置換して製造したコンクリートは,粒状化再生細骨材の置換率が 30 % まで,粒状再生粗骨材の置換率が 100 % までであれば,圧縮強度の低下は小さいことがわかった。さらに,粒状化再生骨材の普及にあたっては,技術的な面だけでなく,粒状化するための施設や粒状化再生骨材コンクリートの製造施設およびその利用先等が課題であり,RRCS で提案している残コンクリートステーション構想について紹介する。

  • 北垣 亮馬
    2023 年 34 巻 6 号 p. 422-427
    発行日: 2023/11/30
    公開日: 2024/02/08
    ジャーナル 認証あり

    建設工事現場で発生する「残コン・戻りコン」とは,発注された生コンクリート量が,必要量よりも多かったため,施工後に残余した生コンクリートのことを指す。生コンクリートの発注量が,必要量に対して不足すると,施工スケジュールに多大な影響を及ぼすため,その量に大小はあっても,完全にゼロにすることは難しいとされている。このため,コンクリート流通におけるサスティナビリティ,特に廃棄物の再資源化の視点から,解決するべき課題となっている。その再利用方法は,各社でさまざまな角度から検討されているが,そのうち一般的な方法の一つと考えられるのが,残コン・戻りコンを利用して,コンクリートブロックを作ることである。本稿では,これまでに発表してきた基礎調査を踏まえ,今後,残コン・戻りコンを高度利用するために必要な要因を解説する。

  • 飯塚 淳
    2023 年 34 巻 6 号 p. 428-431
    発行日: 2023/11/30
    公開日: 2024/02/08
    ジャーナル 認証あり

    アフリカ共和国において地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム (SATREPS) にて実施している Carbon Removal and Environmental Remediation (CRER) プロジェクトの内容について紹介する。CRER プロジェクトは2021年度から5年間の実施予定で,南アフリカ共和国のセメント産業を主要なターゲットとし,二酸化炭素 (CO2) の炭酸塩鉱物化技術,副産物を利用した環境浄化技術に関する技術開発を行なっている。SATREPS プロジェクトでは,相手国や若手の人材育成や技術の社会実装についても大きな目的の一つとなっている。本稿では,現地での活動の様子やプロジェクトから得られた学術的な成果について紹介する。

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