廃棄物資源循環学会誌
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20 巻, 4 号
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巻頭言
特集:廃棄物関連CDM事業
  • 小圷 一久, 水野 勇史
    2009 年 20 巻 4 号 p. 149-157
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/12/18
    ジャーナル フリー
    クリーン開発メカニズム (Clean Development Mechanism:CDM) は,国連気候変動枠組条約下の京都議定書において市場メカニズムを活用した温室効果ガスを削減する仕組みとして導入された。本稿では,CDMプロジェクトが国連に登録されてクレジット (Certified Emission Reduction:CER) が発行されるまでの仕組みを概観し,これまでに国連に登録されたプロジェクトの種類や傾向,CERの発行量,国別分布等について,データを通して現状を報告する。また日本政府や企業等民間におけるCDMへの取り組みや活用事例について紹介するとともに,実施上の課題と今後についてまとめる。
  • 和田 篤也
    2009 年 20 巻 4 号 p. 158-164
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/12/18
    ジャーナル フリー
    気候変動問題については,2007年12月の気候変動枠組条約第13回締約国会合 (COP13,バリ会合) から2008年7月の北海道洞爺湖サミットに至る過程で国際・国内問題として大きく取り上げられ,現在,2009年末のCOP15 (コペンハーゲン) で合意を目指している「2013年以降の次期枠組み」について精力的な国際交渉が展開されている。交渉においては先進国と途上国の間の隔たりは大きく,その進展は芳しくない状況にあるといわざるを得ない。特に途上国の次期枠組みへの参加問題がその大きな要因となっており,このような中,途上国にとっても温暖化対策に取り組むインセンティブがあるとして注目されている「コベネフィット・アプローチ」について,これまでの経緯や日本としての具体的な取り組み,さらには今後の方向性について紹介する。
  • ――現状と課題――
    河井 紘輔, 山田 正人
    2009 年 20 巻 4 号 p. 165-170
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/12/18
    ジャーナル フリー
    廃棄物処理分野におけるCDM事業活動では,当初予測していたよりも大幅に下回るクレジットしか認証されない事態が頻発している。本稿では特に廃棄物処理分野において主要なCDM事業活動である埋立地ガス回収のCDM事業活動に焦点を当て,クレジット (CER;Certified Emission Redution,認証排出削減量) の発行状況やベースライン排出量の推計モデル式を紹介し,CER発行率の低迷の要因について考察した。埋立地ガス回収のCDM事業活動のCER発行率を整理すると中央値は26.7%であった。また,メタン排出量推計モデル式の選択によるCER発行率への影響は小さいが,パラメータの設定による影響が大きいと考えられた。CDM事業活動における温室効果ガス排出量の推計においては,信頼性が不明で限定的なデータやIPCC等のデフォルトパラメータに依拠せざるを得ないことが多い。現場の実情を反映した十分な検討を経ずにこれらを用いることにより,現実とはかけ離れた排出量を推計することにつながっていると思われる。
  • 栗田 弘幸
    2009 年 20 巻 4 号 p. 171-176
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/12/18
    ジャーナル フリー
    清水建設が環境ビジョンの一施策として推進しているCDM/JIプロジェクトであるコーカサス,中東,中央アジア,東南アジア地域での埋立処分場メタンガス回収プロジェクトを紹介する。現在,3案件の国連登録を完了し,3案件を国連登録中である。
  • 椿 雅俊, 植野 修一, 辻 芳伸
    2009 年 20 巻 4 号 p. 177-182
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/12/18
    ジャーナル フリー
    準好気性埋立プロジェクトは,マレーシア国内で埋立完了後の廃棄物最終処分場 (以下処分場とする) において,通気設備を増設することにより,処分場から排出される温室効果ガスの削減および処分場環境の早期改善を図ることである。本プロジェクトは,嫌気的状態にある廃棄物処分場に,鋼管ケーシング工法によって通気設備を設置することで,処分場を準好気的状態に改善する。これにより,処分場から排出されるメタンガスの量を抑制する。本プロジェクトを実施することによって,廃棄物処分場からのメタンガスや硫化水素ガスなどのガス発生量が削減でき,環境への負担が軽減できる。処分場において,爆発の危険性や有毒ガス発生の危険性がなくなる。浸出水の排水が改善されるため,準好気的な領域が拡大し,廃棄物の分解が促進されるとともに,浸出水の周辺環境への影響が軽減され,廃棄物処分場の安全閉鎖が早期に実現できる。
  • 宇高 史昭
    2009 年 20 巻 4 号 p. 183-186
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/12/18
    ジャーナル フリー
    京都市において実施されている廃食用油を活用したバイオディーゼル燃料化事業の経験を基に検討された国際環境協力の取り組みより,気候変動対策と地域の環境問題等の改善 (コベネフィット) を同時に実現する可能性が明らかとなっている。また,カーボン・オフセット等の取り組みとの連携により,市民・企業等も巻き込んだ新たな気候変動対策に展開することも検討されている。
  • 吉田 充夫, 森 尚樹
    2009 年 20 巻 4 号 p. 187-196
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/12/18
    ジャーナル フリー
    JICAが実施する開発途上国廃棄物分野の気候変動緩和策に対する支援協力は,大きく4つに分けられる。すなわち,(1)埋立地の温室効果ガス排出削減支援,(2)中間処理による温室効果ガス発生ポテンシャル抑制支援,(3)廃棄物処理システム全体としての温室効果ガス排出抑制支援,(4)社会全体の廃棄物削減と低炭素化支援,である。CDM事業は主として(1)と(2)において実施されるが,開発途上国の持続可能な開発との両立を目指すとき(3)と(4)が必要となる。CDM事業を孤立的に実施するのではなく,途上国の包括的な廃棄物管理課題対処能力向上 (キャパシティ・ディベロップメント) という課題の中に位置づけることが必要である。
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