本研究は慢性歯周炎患者の歯周ポケットに対し,スケーリング・ルートプレーニング(SRP)単独治療とSRPとCO
2レーザーの併用治療を行い,その効果について比較検討するために行われた。全身的に健常であり,5mm以上の歯周ポケットが2ヶ所以上存在する中等度慢性歯周炎患者15名を被検者とし,各被検者で実験歯・対照歯を1歯ずつ計30歯,実験群 ; SRP+CO
2レーザー照射,対照群 ; SRP単独の2群に分けて臨床試験を行った。臨床パラメーターはベースラインおよび術後2,4,12週の時点でPlI, GI, PPD, CALおよびBOP について測定。また,
P. gingivalisと歯肉溝滲出液 (GCF) 中のIL-1β 量測定のために歯肉縁下プラークとGCFのサンプリングも行った。実験群,対照群ともにGI, BOPおよびPPDとGCF量,
P. g量においてベースラインと各測定時点の間で統計学的に有意な減少が認められたが,群間での比較では有意な差は認められなかった。今回の結果から,慢性歯周炎患者の歯周ポケットに対しSRPとCO
2レーザーの併用治療およびSRP単独治療を行った場合,両者ともに臨床パラメーターと歯肉縁下細菌叢について統計学的に有意な改善が見られた。しかし,SRPとCO
2レーザーの併用療法において今回行ったCO
2レーザーの歯肉辺縁に対する照射法では,SRP単独治療と比較して大きな利点は認められなかった。
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