日本歯周病学会会誌
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49 巻, 2 号
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巻頭言
総説
原著
  • 鈴木 崇夫, 望月 悟, 山本 祥子, 宮下 元, 山本 松男
    原稿種別: 原著
    2007 年 49 巻 2 号 p. 120-129
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/09
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,音波歯ブラシのプラーク除去効果の検討を目的に行なった。また,音波歯ブラシ使用に関する指導用教材(自家作製DVD)視聴による音波歯ブラシの効果に対する影響についても併せて検討した。被験者は,昭和大学歯学部学生28名(男性14名,女性14名,平均年齢24.1±1.8歳)とし,ブラッシング前後のPlaque Control Record(PCR)およびプラーク除去量を手用歯ブラシ群と音波歯ブラシ群間で比較した。その結果,実験開始後1,2週間では音波歯ブラシ群と手用歯ブラシ群との間で有意な差は認められなかったものの,5ヶ月後の測定では,音波歯ブラシ群は手用歯ブラシ群に比較して有意なPCR減少率とプラーク除去率(p<0.05)を示した。しかし,音波歯ブラシ指導用教材によるプラーク除去効果に対する影響は認められなかった。以上の結果から,音波歯ブラシを使って高いプラーク除去効果を得るためには,一定期間の使用による習熟が必要であることが示唆された。
  • 渡辺 覚, 村田 雅史, 永森 太一, 山口 敏和, 吉江 弘正
    原稿種別: 原著
    2007 年 49 巻 2 号 p. 130-138
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/09
    ジャーナル フリー
    本研究は慢性歯周炎患者の歯周ポケットに対し,スケーリング・ルートプレーニング(SRP)単独治療とSRPとCO2レーザーの併用治療を行い,その効果について比較検討するために行われた。全身的に健常であり,5mm以上の歯周ポケットが2ヶ所以上存在する中等度慢性歯周炎患者15名を被検者とし,各被検者で実験歯・対照歯を1歯ずつ計30歯,実験群 ; SRP+CO2レーザー照射,対照群 ; SRP単独の2群に分けて臨床試験を行った。臨床パラメーターはベースラインおよび術後2,4,12週の時点でPlI, GI, PPD, CALおよびBOP について測定。また, P. gingivalisと歯肉溝滲出液 (GCF) 中のIL-1β 量測定のために歯肉縁下プラークとGCFのサンプリングも行った。実験群,対照群ともにGI, BOPおよびPPDとGCF量,P. g量においてベースラインと各測定時点の間で統計学的に有意な減少が認められたが,群間での比較では有意な差は認められなかった。今回の結果から,慢性歯周炎患者の歯周ポケットに対しSRPとCO2レーザーの併用治療およびSRP単独治療を行った場合,両者ともに臨床パラメーターと歯肉縁下細菌叢について統計学的に有意な改善が見られた。しかし,SRPとCO2レーザーの併用療法において今回行ったCO2レーザーの歯肉辺縁に対する照射法では,SRP単独治療と比較して大きな利点は認められなかった。
  • 掛川 文子
    原稿種別: 原著
    2007 年 49 巻 2 号 p. 139-150
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/09
    ジャーナル フリー
    セメント質の保存は歯周組織再生に有利に働くことが知られている。その理由としてセメント質中の分化増殖因子が関連していると考えられる。そこで本研究ではBMP-2とTGF-β1に注目し,それらの検出と量を測定し象牙質と比較した。大臼歯を0.5mmに輪切りにして,0.1N HClで脱灰した。その後,セメント質と象牙質を顕微鏡下で分離し,4M 塩酸グアニジン溶液にて抽出物を得た。ALP活性はヒト歯根膜細胞とC2C12細胞で検出し,セメント質と象牙質を比較した。TGF-β1 とBMP-2はそれらに特異的に反応するルシフェラーゼレポーター遺伝子にて検出した。また,BMP-2とTGF-β1には相互作用があることから,Noggin(BMP-2 阻害剤)またはSB431542 (TGF-β1 阻害剤)を用いた。各抽出物中の活性型BMP-2と活性型TGF-β1の含有量はリコンビナントBMP-2とTGF-β1のALP活性から算出した。その結果,セメント質中のTGF-β1量は35.8pg,BMP-2量は193pgであり,BMP-2のTGF-β1に対する比率は5.39であった。象牙質中のTGF-β1量は58.6pg,BMP-2量は241pgであり,BMP-2のTGF-β1に対する比率は4.11であった。これらの結果はBMP-2の比率が高いセメント質の方が象牙質より骨芽細胞群に有利に働く可能性があると思われる。
症例報告
  • 久保田 浩三, 横田 誠
    原稿種別: 症例報告 -専門医最優秀ポスター賞受賞-
    2007 年 49 巻 2 号 p. 151-161
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/09
    ジャーナル フリー
    広汎型侵襲性歯周炎は,歯周炎を除き全身的に健康ではあるが,急速な歯周組織破壊,家族内発現を認めることを特徴とする歯周炎である。本報では,広汎型侵襲性歯周炎と診断された患者に対して,歯周外科,歯周再生療法,歯移植および歯科矯正治療を含めた包括的な治療を行った。患者は21歳の女性で,下顎前歯部の動揺,歯肉の発赤腫脹を主訴に来院した。臨床診査およびX線診査によって,高度なアタッチメントロスと歯槽骨の吸収が多くの部位で認められた。家族歴として,父方叔父が壮年の早い時期から総義歯であったこと,母方従兄弟が患者と同年代で同様な症状を示していた。歯周基本治療終了後臼歯部において歯周外科を行った,その際上顎右側第一大臼歯は抜歯し,同側第三大臼歯を移植した,また上下顎左側臼歯部においてはエナメルマトリックスデリバティブ(EMD)を応用した。その後上顎に歯科矯正治療を行い最終補綴処置を行った。その結果,歯周組織の良好な改善が認められた。術後4年間のメインテナンスを行っているが経過は良好である。
調査・報告
  • 鈴木 丈一郎, 中島 啓介, 國松 和司, 高柴 正悟, 原 宜興, 和泉 雄一, 横田 誠, 鴨井 久一, 小田 茂, 福田 光男, 川浪 ...
    原稿種別: 調査・報告
    2007 年 49 巻 2 号 p. 162-174
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/09
    ジャーナル フリー
    臨床歯学では,知識だけでなく技能および患者対応を含めた総合的な習得が求められている。そこで今回,今後の歯周病学実習の内容を検討するために各大学の歯周病学実習で行っているOSCEや臨床実地試験問題の実態を把握することを目的とし,全国29歯学部・歯科大学から,臨床前の歯周病学の臨床基礎実習内容と実習運営の現状に関してアンケート調査を行った。調査対象者は,歯周病学を担当する日本歯周病学会理事29名で,歯周病学実習の実態把握のための無記名式の質問票を,平成15年12月に郵送し,平成16年3月10日までに回収を行った。その結果,29校のうち,4年次に実習を開始するところが最も多く,次いで5年次に開始していた。実習の回数は,2回~23回まで幅広い分布を示していた。また,1回の実習時間は,90分から360分の間に分布しており,総実習時間の平均は34.5時間であった。実習の内容としては,過半数の大学が実施しているのは,歯周診査,ペリオチャート・レントゲン診断,ブラッシング指導,スケーリング,歯周外科,咬合調整,暫間固定であった。OSCE形式の課題としては,ブラッシング指導が最も多く,次いで,スケーリング・ルートプレーニングであった。最近の傾向としては,歯周病の病状説明かブラッシング指導に重点が置かれている。OSCEにおける歯周病学の課題は,今後の歯周病学教育の方向性を示すものであり,非常に重要性が高いと考えられる。
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