【目的】 腹腔鏡下胆嚢摘出術 (以下, LC) 後の吐き気・嘔吐に対する術前デキサメサゾン投与の有用性を検証する.
【方法】 2006年1月から2007年8月までに56例のLC患者を術前デキサメサゾン (8mg) 投与群とプラセボ生食群に無作為化した. そのうち5例が除外症例となり, 残る51例について分析した. 術後の吐き気・嘔吐, 制吐剤使用量を記録した.
【結果】 デキサメサゾン投与による明らかな副作用は認めなかった. デキサメサゾン群では25例中4例 (16%), プラセボ群では26例中11例 (42%) (
p=0.039) に吐き気を認め, デキサメサゾン群25例中1例 (4%) とプラセボ群26例中6例 (23%) (
p=0.116) に嘔吐を認めた. 平均嘔吐回数はデキサメサゾン群では0.04±0.20回, プラセボ群では0.65±1.41回であった (
p=0.021). 平均制吐剤 (塩酸メトクロプラミド10mg) 使用回数はデキサメサゾン群では0.20±0.49回, プラセボ群では0.54±0.84回であった (
p=0.045).
【結論】術前デキサメサゾン投与はLC患者に安全に使用可能であり, 術後の吐き気・嘔吐を軽減させる可能性が示唆された.
抄録全体を表示