医療情報学
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42 巻, 1 号
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原著-研究
  • 篠原 恵美子, 河添 悦昌, 柴田 大作, 嶋本 公徳, 関 倫久
    原稿種別: 原著-研究論文
    2022 年 42 巻 1 号 p. 3-15
    発行日: 2022/08/05
    公開日: 2023/08/07
    ジャーナル フリー

     診療録には所見など自由記載テキストにのみ記録される重要な情報が存在し,これを自動抽出する技術が求められている.実用的な技術開発の促進のためには,記載されている診療情報を名詞句といった文法的な形式によらず網羅するようなアノテーションが付いたコーパスが必要であるが,現在そのようなコーパスは存在しない.われわれは患者状態に関する網羅的なアノテーションを付与した症例報告コーパスを構築し公開した.本稿ではそのアノテーション基準の制定について報告する.症例報告へのアノテーションとアノテーション基準の修正を繰り返した結果,50種のエンティティタイプ,14種の属性,36種の関係からなるアノテーション基準が得られ,先行研究よりも詳細な情報が表現できるだけでなく,これまで表現できなかった事実性の時間的変化を捉えられるようになった.

原著-研究速報
  • 仁宮 洸太, 野川 駿, 髙橋 祥子, 大倉 政宏
    原稿種別: 原著-研究論文
    2022 年 42 巻 1 号 p. 17-25
    発行日: 2022/08/05
    公開日: 2023/08/07
    ジャーナル フリー

     希少難治性疾患は世界で7,000~8,000種類存在し,その95%で治療法が存在しない.希少難治性疾患の80%が遺伝性であるため,問題となる遺伝子とその規模に関する情報は創薬において重要とされる.Direct-to-consumer(DTC)の遺伝子解析サービスに集積されたデータを用いた研究が欧米を中心に行われていることを踏まえ,本研究では日本人集団を対象とした遺伝子解析サービスのデータを用い,複数の希少難治性疾患/遺伝性疾患関連遺伝子のアリル頻度を算出し,国内外の既報データと比較を行った.

     本研究では,従来は日本人では低頻度とされていたCFTRやGBA,BRCA1/2に注目した.いずれの遺伝子も一定頻度で検出され,欧米同様に存在するという近年の報告に矛盾しない結果が得られた.これより,日本においてもDTC遺伝子検査サービスのデータを用いた研究スキームは,希少難治性疾患領域で有効であり,一定程度妥当性が示唆された.

資料
  • 李 慧瑛, 下髙原 理恵
    原稿種別: 資料
    2022 年 42 巻 1 号 p. 27-37
    発行日: 2022/08/05
    公開日: 2023/08/07
    ジャーナル フリー

     書誌データベースであるCiNii Dissertationsには,約60万件の博士学位論文が収載されている.このデータベースを用いて看護に関連した博士学位論文2,315編を抽出し,テキストマイニングの手法で量的・質的に調査した.その結果,1944年から2021年まで78年間の日本における看護学の研究動向と特徴が明らかになった.看護に関する博士学位論文数は,1990年代後半から緩やかに上昇し,2015年に158件とピークに達していた.これには,1992年に制定された「看護師等の人材確保の促進に関する法律」に端を発する看護系大学院の加速度的な開設という政策的な背景が影響していると考えられる.研究テーマは,各年代に特徴的な動向や社会情勢を受けて変遷していた.また,テキストマイニング研究の発展のためには,学問分野ごとの辞書ツールの開発が望まれる.

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