医療情報学
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27 巻, 6 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
研究速報
  • 石橋 信江, 石垣 恭子, 佐々木 滋人, 原 由行, 水流 聡子
    2007 年27 巻6 号 p. 479-482
    発行日: 2007年
    公開日: 2015/05/08
    ジャーナル フリー
     IT化が進んできた医療分野の中でも,看護情報システムの開発は遅れがちである.その大きな要因として,看護用語が標準化されていないことが挙げられる.現在,各施設では,その施設独自の看護用語が使用されており,標準看護用語を使用するには,現在使用している看護用語と標準看護用語をマッチングさせるという作業が必要となる.しかし,その作業は,施設側にもベンダ側にも大きな負担である.そこで今回は,既存のデータベースを活かしながら,システム上において,看護師が容易に標準看護用語への変換,検索ができるマッチングツールを構築し,実装試験および評価を実施した.
     その結果,マッチングツールを使用した場合に一致した項目は28項目中26項目で,手作業の場合は27項目であった.作業時間は,マッチングツールを使用した場合が1~2分で,手作業の場合が約60分であった.臨床現場で実際に使用するには,問題点の改善と更なる検証が必要である.
技術ノート
  • 周藤 安造, 佐々木 仁, 川井 隆章
    2007 年27 巻6 号 p. 483-489
    発行日: 2007年
    公開日: 2015/05/08
    ジャーナル フリー
     紹介状,正式には診療情報提供書は地域医療連携を推進する上できわめて重要な文書であるが,これまでは,患者自身が相手先医療機関へ手渡しするのが基本であった.しかし,手渡しでは患者自身の情報の伝達が遅くなる,紹介状自体を紛失してしまう可能性もある,などの問題がある.
     そこで,紹介状を電子化し電子メールでやり取りすることで,情報の質と量の画期的な改善が図れるだけでなく迅速な対応により患者が来院するまでに事前準備できるなど多くの効果が期待できる.その他に画像診断支援の機能を持たせることも考えている.紹介状は患者の重要な個人情報そのものであり,セキュリティについて十分に考慮する必要がある.そこで,我々は紹介状のコンテンツをXML変換し,さらに暗号化して電子メールに添付してやり取りすることを提案する.そうすることによって他者からの盗聴や改ざんの脅威から防げる.現在仮想的な診療所によるシミュレーション実験を終え,実際に静岡県三島市の診療所間で試行した.その結果,患者情報入力やセキュリティ操作などが医師にかなりの負担となっていることが判明した.今後さらにシステムの改良・改善を検討している.
  • Tomokazu Setoyama
    2007 年27 巻6 号 p. 491-499
    発行日: 2007年
    公開日: 2015/05/08
    ジャーナル フリー
     Data saved in hospital information systems (HISs) must be utilized for the management of hospitals. Income data calculated using the diagnosis procedure combination (DPC) payment system could make it easier to analyze the income of a hospital. Our purpose is to develop analysis procedures for the simple visualization of hospitals’ market shares. A patient share map is also drawn to enable the simple visualization of hospitals’ share of patients. Furthermore, as a marketing technique, we adopted the product portfolio management (PPM) matrix. Based on the concept of the matrix, we drew the “patient” portfolio management matrix. We found that the situation of hospitals in the patient market could be easily estimated using our analysis procedures.
資料
  • 夏目 美貴子, 太田 勝正
    2007 年27 巻6 号 p. 501-510
    発行日: 2007年
    公開日: 2015/05/08
    ジャーナル フリー
     本研究は,看護師に情報提供をする際に,患者がどのように自分の情報をコントロールしているかの現状とそれに関連する要因を明らかにすることを目的とする.2自治体の8病院の患者204名に対して自記式質問紙調査を行った.その結果,受け持ち看護師に対する情報の提供においては,全般的に抵抗感が小さく,できるだけ詳細な内容の情報を提供している患者がほとんどであることが示された.入院期間や性別などの患者属性,および病院が所在する地域などによる有意差はほとんど見い出されなかった.特性的自己効力感尺度との関係においては,ほとんどの項目について関連がみられず,日本語版HLCのF(家族)という因子について,家族の健康状態,排泄の状態などの項目で関連がみられる程度であった.患者の自己情報コントロール権に関する意識は,次第に高くなっていくことが予測され,その実情を感度良く測定できる尺度を開発するための基礎となる情報が得られた.
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