紹介状,正式には診療情報提供書は地域医療連携を推進する上できわめて重要な文書であるが,これまでは,患者自身が相手先医療機関へ手渡しするのが基本であった.しかし,手渡しでは患者自身の情報の伝達が遅くなる,紹介状自体を紛失してしまう可能性もある,などの問題がある.
そこで,紹介状を電子化し電子メールでやり取りすることで,情報の質と量の画期的な改善が図れるだけでなく迅速な対応により患者が来院するまでに事前準備できるなど多くの効果が期待できる.その他に画像診断支援の機能を持たせることも考えている.紹介状は患者の重要な個人情報そのものであり,セキュリティについて十分に考慮する必要がある.そこで,我々は紹介状のコンテンツをXML変換し,さらに暗号化して電子メールに添付してやり取りすることを提案する.そうすることによって他者からの盗聴や改ざんの脅威から防げる.現在仮想的な診療所によるシミュレーション実験を終え,実際に静岡県三島市の診療所間で試行した.その結果,患者情報入力やセキュリティ操作などが医師にかなりの負担となっていることが判明した.今後さらにシステムの改良・改善を検討している.
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