医療情報学
Online ISSN : 2188-8469
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21 巻, 2 号
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原著
  • 木村 宏人, 平中 幸雄, 赤塚 孝雄
    2001 年 21 巻 2 号 p. 141-150
    発行日: 2001年
    公開日: 2017/08/21
    ジャーナル フリー

     World Wide Webの仕組みを用いた医療画像参照システムは,柔軟で実際的なシステムとなりつつある.ここでは,このシステムを数値モデルで表現し,シミュレーションによりシステム性能を解析し,推定する手法を示した.このとき,システム同時利用頻度の増大による画像取得時間の劣化を評価できるものとするために,非同期に起動される画像取得プロセスの同時並行的な動作と,システム資源であるハードディスクとネットワークが競合的に利用される動作に着目して,オブジェクト指向言語Javaを用いて記述した.数値シミュレーション結果は,システム負荷が極端に高くない場合には,ワークステーション台数32台で構成した実験システムにおける性能測定値とよく一致していた.ここで,システム性能の評価指標として実効データ転送速度を定義し,与えられたシステム機器とシステム運用条件下に,快適な利用環境維持のために許容されるワークステーションの台数構成を評価する手法を示した.さらに,平均5分または3分間隔で画像を参照する場合について,参照画像枚数と許容できるワークステーション台数の関係を求め,これらの関係がシステム設計の指標として有効であることを示した.

  • 岡田 昌史, 高田 彰, 櫻木 智江, 高橋 秀人, 加納 克己
    2001 年 21 巻 2 号 p. 151-159
    発行日: 2001年
    公開日: 2017/08/21
    ジャーナル フリー

     個人の生活習慣を質問票形式で入力し,その内容を評価して改善のためのアドバイスを表示するコンピュータシステムとして,櫻木らによる生活習慣評価システム(LES)がある.本研究では,公衆衛生分野におけるLESと同様の質問―評価―結果表示形式のシステムの生産性・保守性を高めるためのアプリケーションフレームワークを開発した.質問票と評価結果の表示内容の記述にはXMLを用い,Java言語を用いて実装した.ユーザインターフェース部分と回答データ表現部分,および評価部分を分離した設計を行い,各々独立して開発を進めることができる.LESを本フレームワークを用いて再実装し,評価を行った.評価部分で使われた70種のAPIのうちJava標準APIは3種のみであった.本フレームワークを利用することで,質問票や評価結果の表示内容の記述には情報技術の専門知識は必要ではなくなり,また評価部分の作成にも言語の標準APIに関する理解は不要となった.

  • 佐野 晃一, 松村 泰志, 桑田 成規, 揚 振君, 戸田 良幸, 武田 裕
    2001 年 21 巻 2 号 p. 161-171
    発行日: 2001年
    公開日: 2017/08/21
    ジャーナル フリー

     病院情報システムに蓄積された診療データを利用した疫学調査の利点,問題点を明らかにするために,糖尿病の実態調査を例として,大阪大学医学部附属病院のデータウェアハウスを利用した調査と,厚生省糖尿病実態調査の結果を比較した.その結果,一定以上の重症度の患者群におけるHbA1C値分布はほぼ一致すること,年齢分布は,大学病院の調査でやや若年側にシフトすること,疾患の男女比は,むしろ実態調査にバイアスがかかっていること,各疾患の合併率は,大学病院調査の方が実態をより正確に反映していること,疾患に対する治療の選択比率は,大学病院でより高度の管理が必要な治療の選択比率が高くなることが明らかとなった.また,病院データを用いて,HbA1C値の1年後の変化に対する重症度,年齢,治療内容の影響を調べた.病院データを利用した疫学調査は,population baseの調査と比較して,バイアスがかかる部分,より正確に実態が把握できる部分があること,患者の推移を調査する等の調査に有利であること,さらに,圧倒的に少ない労力と経費で実行できることより,有益な方法と考えられる.

研究速報
  • 石垣 恭子, 高見 美樹, 井上 仁郎, 水主 いづみ, 水流 聡子, 山本 和子, 忽那 龍雄
    2001 年 21 巻 2 号 p. 173-180
    発行日: 2001年
    公開日: 2017/08/21
    ジャーナル フリー

     佐賀医科大学看護学科は開設より4年間の学年進行が終了したことを受け,看護学科全体のカリキュラムの再編を行った.情報関連科目の新カリキュラムは,厚生省(現厚生労働省)と本学におけるカリキュラム改善事項を踏まえ,旧カリキュラムの評価を考慮し,作成された.本研究では,新カリキュラム開始から1年を経過した時点までの,旧・新カリキュラムの受講学生を対象とし,教育評価を目的に同一の調査票を用いて比較,調査を行った.結果,講義時間数が20時間以上減少したにもかかわらず,教育効果に大きな差は認められなかった.これは,リテラシー教育を入学時から早期実施することや,平成8年度から本稼働した学内LANの利用環境の向上,それに伴う教育方法を含めた,LANの積極的活用が影響を与えていると考えられた.

資料
  • 横山 淳一, 山本 勝, 永井 昌寛, 沼澤 勝美
    2001 年 21 巻 2 号 p. 181-188
    発行日: 2001年
    公開日: 2017/08/21
    ジャーナル フリー

     日本医師会は,地域医療サービスの実態把握,医療政策情報や医療情報等の迅速な情報交換に全郡市地区医師会事務局が参加する医師会総合情報ネットワークの構築を推進している.そのようななか,組織全体の視点で,資金,時間,労力等の情報化推進リソースを効果的かつ効率的に利用するために,全国の郡市地区医師会事務局の情報化推進状況を把握することが必要とされている.

     本研究では,平成10年11月の郡市地区医師会事務局の情報化進展状況を都道府県単位で評価を行った.また,その結果を平成12年7月における情報化進展状況と比較し,情報化が進んだ地域について考察を行った.その結果,各地域の情報化の進展状況には,それぞれの事務局の情報化に対する必要性および有効性の認識の相違,都道府県医師会の情報化支援等が影響していることが明確となった.

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