南海トラフ地震は今後30年以内に80%の確率で発生するといわれている巨大地震である.この地震では医療機関も大きな被害を受けることがわかっており,われわれはこれまで医療機関の被災予測とそれに基づいたDMAT派遣計画の立案を行ってきた1,2).医療および介護療養施設の入床者は患者搬送や避難に特別な配慮が必要となるが,これまで療養病床についての分析や避難,搬送対策は行われてこなかった.今回われわれは療養施設における被災予測を作成した.被災が予想される医療,介護施設の病床数の約20%を療養病床が占めることが明らかとなった.被災率の少ない自治体では近隣への移送が可能と考えられるが,被災すると予測される病床が40%を越えると予測される県が8つに及んでおり,これら甚大な被害を受ける地域では遠距離への移送を行う必要があることが分かった.療養病床は制度の変更に伴い再編成が進んでいるが,引き続き療養施設の動向を把握し,避難対策を立案しておく必要があると考える.
OECD,WHO,国連等の国際機関は,保健医療分野における政策立案に資する国際統計報告として様々な保健医療指標の迅速な提供を各国に求めている.2015年に日本がOECDに提出した保健医療指標の数は35加盟国中最低で,改善が望まれる.
本研究は日本の保健医療指標の提出項目数の増加を目的として,既存の公的統計やレセプト情報・特定健診等情報データベースを活用して未報告の保健医療指標の推計を行う.さらに,今回の推計から得られたわが国における手術および画像検査の実施状況について考察する.最後に,保健医療指標推計にレセプト情報・特定健診等情報データベースを利用する際の課題について述べる.
本研究では,ICTツールを活用し縦断的に病室内での患者と看護師の接触時間を調査した.対象者はA病院に入院する患者40名とした.「当日の接触時間」,「翌日の接触時間」,「接触時間の変化量」の3つの変数について分析を行い,それぞれの変数の特徴と関係性を明らかにすることを研究目的とした.分析は記述統計量を算出し,単変量の回帰分析によって変数間の関係性を分析した.結果として,「接触時間の変化量」の分布が正規分布を示し一般線形モデルにおける目的変数に適していることが示唆された.回帰分析では,「翌日の接触時間」を「当日の接触時間」によって予測する単変量のロジスティック回帰分析でオッズ比が1.05であった.また,「接触時間の変化量」を「当日の接触時間」によって予測する単回帰分析で説明率が30%であった.結果より,当日の接触時間が翌日の接触時間や接触時間の変化量を予測する上での重要な要素であることが示唆された.
医薬品には,目的別に様々なコード体系が存在し,医療機関ではその利用目的によって異なるコードを使用する必要があるため,一つのシステムの中で複数のコードを関連付けて管理する必要が生じている.その際,どのような場面でどのコードを使用するべきか,また各コードの関係について理解しておくことは,医療情報システムにおける医薬品情報の標準化を推進する上でも,また複数のコードを現場で効率的に管理しつづけていく上でも大変重要である.
そこで,本論文では,主な医薬品コード体系と相互関係について現状を調査し,考察すると共に,複数の医薬品コードを効率的かつ効果的に管理し運用していくための医薬品コード関連マスターのあり方としてGS1バーコードを基準とした新しい対応マスター「GS1基準医薬品コード統合共通マスター」[G-DUSマスター(ジーダスマスター)]を提案し,その活用について解説する.