本研究の目的は,ベテラン看護師と新人看護師の電子カルテからの情報収集の時間,範囲,量の違いを明らかにし,新たな評価手法を提案することである.研究対象者は模擬患者について電子カルテから日勤勤務前の情報収集を行った.情報収集の様子は視線計測機を用いて録画を行い,情報収集の時間,範囲を明らかにした.情報収集終了後,研究対象者へインタビューを行い,最終的に把握した患者情報の量を明らかにした.結果,「看護記録」の平均注視時間がベテラン群より新人群が長く,両群の有意差を認めた.情報収集の範囲は,ベテラン群は必要だと考える情報を選択し,新人群より多く画面を切り替えて注視していたが,新人群は1つの内容を集中的に,時間をかけて情報収集を行っていた.情報収集の量は,「薬物療法」に関する内容は両群とも多かったが,「今後の予測」に関する内容はベテラン群が新人群より平均値が高く,両群の有意差を認めた.
医療用医薬品の調剤包装単位にはGS1 DataBar(以下,バーコードとする)が表示されている.特に,PTPシートに表示されたバーコードを用いることで,処方に対し正しい医薬品かを確認することが可能である.一方,薬剤部門からの払い出し時にPTPシートを切り取るケースもあるため,医療現場からは複数のバーコード表示が望まれている.そこで今回,内服薬のPTPシートの大きさなどの情報と表示されるバーコードの大きさを調査した.調査対象の688品目ではすべての医薬品にバーコードが表示されていた.10錠シートでは,バーコードがシートに1個表示されているものは410品目,1錠に1つずつバーコードが表示されているものは27品目であった.1錠に1つ表示されているバーコードの大きさは業界が推奨するものより小さかった.さらに,10錠シートでは推奨の表示を行うためには,約半数の品目でPTPシートの大きさを大きくしないと表示できないことが判明した.現状では,1錠に1個のバーコード表示は困難である.世界の医薬品のバーコード表示の動向を踏まえ,今後の表示ガイドラインの見直し等も必要と考える.