医療情報学
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25 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
研究速報
  • 本多 正幸, 山野辺 裕二, 中山 良幸, 須藤 広明, 梁瀬 和夫
    2005 年 25 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 2005年
    公開日: 2016/03/15
    ジャーナル フリー
     いくつかの地域で病院間連携や病診連携などの地域医療連携システムが構築されてきたが,これまでの方法では,事前に共通データ形式が設定され,地域医療連携システムに参加する医療機関において,個別にこの共通データ形式への変換が必要であり,そのためかなりの労力や経費がかかっていた.その大きな理由の一つは,複数の医療機関を共有させるデータベース(DB)を構築する場合,あらかじめ決められた形式にそれぞれの医療機関がデータ変換を施す必要があった点にあると思われる.本報告では,自動的にXMLデータを変換することを目指して,各医療機関からのデータを受け取るデータベースシステム側にて,XMLスキーマを解析する手法を検討する.具体的には,各医療機関から各機関独自のデータ構造やデータ形式を保持したままでXMLデータを抽出し,これらの複数の医療機関からのXMLデータにおけるスキーマを解析することにより,共通XMLスキーマを構成し,さらにこの共通スキーマをベースとしてDBを構築する方法である.この方法により,地域医療連携システムへの参加機関の経費は半減し,かつ新規病院も参入しやすくなる.本報告では,提案方法の概念を説明し,具体的アプローチに触れるとともに,そのメリットについても言及する.
  • 小笠原 克彦, 村松 宰, 櫻井 恒太郎
    2005 年 25 巻 1 号 p. 7-13
    発行日: 2005年
    公開日: 2016/03/15
    ジャーナル フリー
     北海道大学では,医学科5年生,看護学科2年生,診療放射線技術学科2年生を対象に,学生の情報関連能力を知るため,医療情報学関連講義の初回に以下の調査を7年間継続的に行ってきた:(1)「Byte」「オーダリング」などの医療情報関連用語の理解度,(2)学生が占有できるパソコンの比率や電子メールの活用状態などの情報機器利用度.今回,この7年間の調査結果について学科間の違いおよび学科毎の経年傾向について集計・分析した.その結果,医療情報関連用語の受講前理解度は学科により異なっていた.その原因として医療情報学を学習する以前のカリキュラムの影響と考えられた.学生のパソコン所有は,1999年から2001年にかけて急速にパソコンが普及し,医学科で9割,看護学科・診療放射線技術学科では7~8割の学生が専用のパソコンを所有していた.電子メールの利用も同様の傾向であった.
技術ノート
  • 八幡 勝也, 津上 正晃, 古賀 道恵, 波田 哲朗, 原田 浩喜
    2005 年 25 巻 1 号 p. 15-20
    発行日: 2005年
    公開日: 2016/03/15
    ジャーナル フリー
     インターネットではweb logによる手軽なwebコミュニケーションが広がりつつある.特に携帯電話から画像を送って登録できるmobile web log(mobile blog)が注目を集めている.しかし,医療で使用するにはセキュリティの問題があるので,mobile blogに簡便なセキュリティ機能を追加し,在宅診療で利用してみた.
     今回のmoblie web logは,携帯電話やPCからメールを送るだけで複数スタッフがwebで参照できる形に自動的に保存し通知する.携帯電話によるコミュニケーションを多用する在宅介護において便利なツールとなる可能性があると考えられる.
  • 高野 香子, 花田 英輔
    2005 年 25 巻 1 号 p. 21-27
    発行日: 2005年
    公開日: 2016/03/15
    ジャーナル フリー
     患者情報の管理,検査・診療の予約を行う医療情報システムにはコンピュータが用いられ,看護師はベットサイドでの情報入力を業務として行う場合もある.そのような情報化時代が来ているにもかかわらず,看護学校の情報処理教育では,ネットワークの仕組みやデータの重要性を軽視し,個人レベルでのコンピュータ管理を取り上げる機会は少ない.学生が個々に専用端末を使用することにより,情報通信機器の操作や仕組みを習得し,電子機器と情報の取扱いを学ぶ意識を向上でき,またデータ管理の重要性を自覚するためにも適当であると考える.そこで我々は,看護学校向けに携帯端末による学習支援システムを開発し,使用感などを確認する実験を2カ月行った.また看護学校において,コンピュータ使用に関する意識調査を行った.実験と調査の結果,習慣としてコンピュータの基礎やネットワーク技術関連知識の学習を繰り返すことにより,機器に対する知識を習得可能であることが実証された.
  • 小宮山 恭弘, 水野 成人, 花阪 智, 角田 文明, 井桁 嘉一, 杉山 隆司, 三邊 達也, 安藤 章悟
    2005 年 25 巻 1 号 p. 29-35
    発行日: 2005年
    公開日: 2016/03/15
    ジャーナル フリー
     超音波検査は,放射線に比べ,レポートを含むファイリングシステムの導入が遅れている.主な要因として放射線とのワークフローの違いと入力支援ツールが未成熟であることが挙げられる.超音波でのシステム化を推進するにあたり,超音波メーカーの協力を得て,装置内に音声認識ツールを導入し,検査中に所見入力を行うワークフローの変換の試みを行った.腹部,循環器,レポート作成に有用であった.超音波ではワークフローから見直すチャンスが残されており,システム化の基本である発生源入力から考えても,検査中の所見入力は,超音波の特徴であるリアルタイム性に最も適合したワークフローである.迅速な所見入力は,検査の作業効率を上げ,検査枠増加や予約待ち期間短縮を可能にする.システム化推進の際には,増収効果が得られることが望ましい.超音波リアルタイム所見入力はワークフローに注目した新しい検査スタイルとして有用性が高いと考えられた.
  • 山野辺 裕二, 本多 正幸
    2005 年 25 巻 1 号 p. 37-41
    発行日: 2005年
    公開日: 2016/03/15
    ジャーナル フリー
     病院では,電話やナースコールなどで情報システムを利用する業務が中断することが多い.ところが端末は共用であることから,作業中画面をそのままにして離席することは許されず,中断前の時点に復するための無駄な作業が発生する.リモート端末の仕組みを用いて,中断時の画面を保存し後に再開する方法について検討した.
     現在稼働中の病院情報システムでリモートデスクトップ環境を利用可能とし,オーダリングシステム上において,業務の中断・再開に要する時間を比較した.
     リモート環境で端末を利用することにより,オーダリングシステムの操作中の画面のままでセッションをいったん閉じ,再開することが可能になった.従来端末において業務を中断・復旧することと比較して大幅な作業時間の短縮が確認できた.また中断したセッションは別の端末からでも再開できることを確認した.
     従来のシステムをそのままリモート利用しているため,現状では種々の問題もあるが,今後の病院システムには導入すべき技術と考えられた.
  • 小西 央郎, 津久間 秀彦, 石川 澄
    2005 年 25 巻 1 号 p. 43-49
    発行日: 2005年
    公開日: 2016/03/15
    ジャーナル フリー
     背景:保険診療における処置の算定は,処置料,薬剤料,特定保険医療材料料に掲げる所定点数の合算によって算定される.このうち薬剤料,特定保険医療材料料は,物品請求が関与するため,システム化が容易であるが,処置料は,実体のない“行為”に対する請求であり,システム化が困難であった.従来当院では,処置伝票による処置請求が行われていたが,ユーザーは診療記録との二重入力を余儀なくされたため,しばしば請求漏れが存在した.そこで新生児集中治療病棟の経過表の電子化にあたって,経過表の診療記録から処置行為を検索・抽出,処置請求情報を生成するシステム構築を目的とした.方法:基本設計は,1)診療記録マスタの各項目に医事コード欄を追加,2)保険請求が可能な項目にのみ医事コードを付与,他は空欄とする,3)診療記録(経過表)の入力完了後,処置請求欄に医事コードがある項目を抽出し処置請求を作成,とした.システムの評価は,2003年度1月に新生児集中治療病棟に入院した患者12名の電子化抽出による処置請求と目視抽出による手書き処置伝票との保険請求額を比較した.結果:システムによる処置保険請求13,493±12,653点,伝票による処置保険請求6,893± 6,075点であった(平均±標準偏差).考察:本システムは処置料の算定に有効であった.しかし医事システムのコード体系との整合性が困難,マスタ管理が煩雑,複雑な処置の保険請求に完全対応できない(例:心拍モニターが3時間以上・未満で保険点数が異なる)などの課題が残された.
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