医療情報学
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特集 厚生労働科学研究成果報告書 第2回
  • 一般社団法人日本医療情報学会 教育委員会, 津久間 秀彦, 鶴田 陽和, 奥原 義保
    2018 年 38 巻 3 号 p. 169-202
    発行日: 2018/08/30
    公開日: 2019/09/12
    ジャーナル フリー

    はじめに

     本ガイドは,日本医療情報学会関連の学術集会の抄録と詳細抄録,ならびに医療情報学誌へ投稿する論文を書くためのガイドである.ガイドは「基礎研究編*」と「システム開発研究編**」があるが,本ガイドは後者である.

     日本の医療情報学が進歩していくためには,ある施設の経験とそこから得られた知見がまず整理され,次にそれが共有されることにより,さらに有用な知見が生み出されるという循環が必要である.そのためには,各施設のシステム開発成果を研究論文の形で公開することが重要な意味を持つ.なぜなら,開発成果が研究論文として出版されるためには,その内容が科学的な態度から整理され,少なくともその分野の専門家であれば理解可能な形で記述されていることが条件だからである.また,研究論文であれば必要な人からアクセスが可能になり,知見の共有が実現するからでもある.

     ところで,どのような分野であれ研究論文では,

     ① 新規性:これまでに世界中で誰も同じことを実施していないこと

     ② 客観性:事実と正確な論理に基づいて新たな知見を実証していること

     ③ 再現性:同一条件下であれば第三者が同じ結果を得られること

    の3つが最低限必要とされることが多い.生命,特に人を対象とした研究の場合も,これらの条件を満たすことは容易ではないが,それでもランダム化比較試験など,困難をカバーするためのさまざまな研究方法や統計学的手法が開発されている.それに対して,システム開発は研究そのものではなく実務の支援が主目的であることが多く,これらの3つの必要条件を満たしつつ論文を作成することは容易ではない.したがって,システム開発成果の報告に際してはそのための特有のノウハウを理解して,開発段階から研究報告を視野に入れた計画的な作業が必要である.システム導入作業が落ち着いた頃に初めて「研究論文」作成を意識するようでは手遅れなのである.このあたりに基礎研究編とは別に本ガイドを作成した理由がある.

     本ガイドは,

      第1部 論文の書き方の基本

      第2部 論文の構成方法と発表手順

      第3部 チェックリスト

    の3部からなる.第2部では初学者を意識して,論文・詳細抄録を執筆する際の注意事項と成果発表の戦略について詳解した.まず第1部をお読みいただいた後,第2部が不要と思われるベテラン諸氏は,直接第3部に進んでいただいても構わない.ただし,第3部でも適宜第2部に触れているので,必要に応じて第2部の該当箇所を参照していただきたい.なお,システム開発でなくても,現場の業務に深く関わる研究であれば本ガイドの内容が参考になる可能性があるのでご一読いただきたい.

     この解説が質の高い抄録や論文の作成,ひいては日本の医療情報学の発展に少しでも役に立てばというのが筆者らの願いである.

    *「基礎研究編」は右記URLで公開中:http://jami.jp/document/

    **「システム開発研究編」(この記事)のWeb版(カラー)も上記URLで公開中

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