医療情報学
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36 巻, 4 号
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追悼
原著-研究論文
  • 島井 良重, 武田 理宏, 真鍋 史朗, 寺本 圭, 三原 直樹, 松村 泰志
    2016 年 36 巻 4 号 p. 157-165
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/11/13
    ジャーナル フリー

     間質性肺炎は,重篤な薬剤副作用の1つであり,CTにより診断され,単純X線,KL-6,SP-Dが診断補助に用いられる.CT,単純X線レポートのフリーテキストデータ,および,KL-6,SP-Dの数値データを解析することにより,間質性肺炎の特定が可能かを検証し,さらに,投薬と間質性肺炎発症のタイミングから,薬剤性間質性肺炎を検出する方法を考案した.対象薬剤の投与前,中,後の各フェイズにおいて,CTが施行されていれば,そのレポートにより判定し,CTが施行されていない場合は,単純X線レポート,KL-6,SP-Dの結果を判定に用いた.本法を用いてアミオダロンによる薬剤性間質性肺炎の検出を試みた.アミオダロンによる間質性肺炎の判定が確定1例,強い疑い15例の症例が検出され,発症率は3.9%であった.本法により,電子カルテデータから薬剤性間質性肺炎の発生を検出できた.

原著-技術論文
  • 山ノ内 祥訓, 廣瀬 隼, 宇宿 功市郎
    2016 年 36 巻 4 号 p. 167-179
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/11/13
    ジャーナル フリー

     病院情報システムの業務用端末は限られた予算の中で調達するため効率的な配置を求められる.本研究では各端末におけるアクセスログデータをもとに,実態に沿った端末の利用状況を明らかにし,効率的な業務端末配置の実現が可能か検討を行った.当院の病院情報システムは,業務用端末1,541台(デスクトップ975台,ノート566台)であり,これらから2015年3月~6月に電子カルテおよび部門システムに記録されているアクセスログデータを収集し統合することにより端末の稼働状況並びにアプリケーション利用状況を分析した.その結果,端末の電源投入時間,各システムの利用時間とその利用機能を明らかにすることができ,その内容を病院情報システム定例会へ提示し検討を行うことで4台の移設ができた.今後は仮想デスクトップ環境への切り替えといった代替手段も含めて,継続して端末の再配置を進める予定である.また,システム更新時の端末調達および配置に役立てることも考えている.

資料
  • 津久間 秀彦, 石田 博, 浜野 英明
    2016 年 36 巻 4 号 p. 181-195
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/11/13
    ジャーナル フリー

     診療情報の電子化と診療参加型臨床実習の推進に伴い,臨床実習での診療情報管理に新たな課題が生じている.本研究では,国立大学病院における医学科臨床実習支援システムの機能・運用の現状と課題を明らかにするために,「診療参加型臨床実習の実施状況/診療情報管理に関する教育体制/ルールの遵守方法/診療情報の保護と教育利用/臨床実習支援システムの機能・運用」等に関するアンケートを実施した.回答期間を2014年1月24日~4月11日として,42国立大学医学部附属病院のうち33病院から回答を得た(回答率79%).回答結果の分析から,診療参加型における診療情報管理の理念と,現在の運用との間に乖離がある大学病院が多いことが明らかとなった.病院情報システムにおける臨床実習支援システムの今後のあり方について全国規模で議論されるべきである.

  • 加賀田 聡子, 柏木 公一, 篠田 和紀, 横山 淳一
    2016 年 36 巻 4 号 p. 197-208
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/11/13
    ジャーナル フリー

     「訪問看護記録」等に関する同一の訪問看護業務支援システムを導入した東海地方の訪問看護ステーション16ヵ所で訪問看護業務に従事する看護師84名を対象に,訪問看護業務支援システム導入による書類作成時間の変化と記録や帳票類に関する効率化の認識について検討するため,訪問看護業務支援システム導入前と導入後に自記式質問紙調査を実施した.その結果,全看護師の1日の書類作成時間(分)の平均(中央値)は,導入前88.0(60.0)分,導入後71.4(60.0)分となり有意な変化が認められた(p=0.02,導入後の変化量-16.6(-5.0)分).記録や帳票類に関する業務負担感と効率化の業務全般に関する認識については,書類の保管スペースの確保に関する認識が高く,全体の業務の効率化に関する認識が低かった.訪問看護業務支援システム導入により書類作成時間が短縮し,間接業務の効率化に繋がったと考えられる.しかしながら,業務が効率化したと認識する傾向が低く,システムトラブルを最小限に抑えた工夫と訪問看護師のニーズに沿った現場で利用しやすいシステムの検討が求められる.

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