日本胸部疾患学会雑誌
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30 巻, 12 号
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  • 花本 澄夫, 大杉 隆史, 露口 泉夫, 川幡 誠一, 木村 謙太郎
    1992 年 30 巻 12 号 p. 2051-2060
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    肺機能検査21項目に関して, 18~83歳の喫煙者を含む健康な男女172名を対象に, 男女別に年齢, 身長, 体重に関する指数形式及び線形形式に表した正常値予測式を作成した. V25, V50, PEF, FVC, VC, TLC, DLCO, DL/VA, FEV1.0, FEV1.0%など加齢と共に低下するものに対しては指数形式が優れており, 特にV25に関して, 高齢者まで適用出来る予測式は, 今回得られた指数形式の予測式のみであった. 肺内ガス不均等分布の指標とされるPMI, LCI, IDI, Pulmonary N2, Clearance Delay, ΔN2に関する正常値予測式は過去に報告がなく, 今回が初めてである. いずれも加齢と共に増加の傾向が見られ, ΔN2以外は女性が男性より高値を示した. これらの正常範囲および男女差に関しては, 諸家の報告で一定しておらず, 今後も検討が必要と思われる.
  • 橋木 尚子, 田島 洋, 溝口 勲, 岩井 和郎
    1992 年 30 巻 12 号 p. 2061-2068
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    特発性間質性肺線維症の発症要因の一つとして吸入粉塵中の無機元素による肺障害の可能性を疑い, 特発性間質性肺線維症群と対照群との肺門縦隔リンパ節中のK, Ti, Cr, Ni, Cu, Ca, Mn, Fe, Zn, Se, Pb, As, AL, Siの含有量を測定し, 両群間での値の比較検討を行った. さらに, 肺線維症例をX線学的に定型例, 非定型例とに分類し各元素の含有量を比較検討した. その結果, 今回の検索対象で, 主に外来性元素であるNiの含有量が肺線維症群で対照群に比較して有意に高値であった. X線上のいわゆる肺線維症定型例と非定型例との比較では, 各元素含有量に有意の差は認められなかった.
  • 梅木 茂宣
    1992 年 30 巻 12 号 p. 2069-2074
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    下気道感染・肺炎例における感染時と抗生剤治療後の好中球NADPH酸化酵素活性と対照群の同酵素活性を測定した. 成人例では, 対照群に比較して気道感染時に本酵素活性が有意に上昇し, 治療後に有意に低下した. 高齢者対照群の本酵素活性は成人対照群に比較して有意に高く, 気道感染時に本酵素活性の有意な上昇を認めなかったが, 治療後の本酵素活性は著明に低下した. 成人例および高齢者群の気道感染例でそれぞれ有意な好中球増多, CRP値の上昇を認め, 成人例でより高い傾向を示した. しかし, 治療後は両群とも著明に低下した. 抗生剤の in vitro の検討では, イミペネム, セフタジジム, セフォペラゾンは治療域濃度では本酵素活性を抑制しなかった. 以上より, 高齢者の感染防御能低下が考えられ, 抗生剤は生体内からの除菌と生体内の細胞環境を正常化する biological action などにより好中球NADPH酸化酵素活性を正常化している可能性が示唆された.
  • 迎 寛, 崎戸 修, 織田 裕繁, 千住 玲子, 福島 喜代康, 平谷 一人, 門田 淳一, 小森 清和, 河野 茂, 原 耕平
    1992 年 30 巻 12 号 p. 2075-2081
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    びまん性汎細気管支炎 (DPB) では血清中の糖鎖抗原性腫瘍マーカーが有意に高値であることが知られている. 今回我々はDPB患者24例について, 気管支肺胞洗浄液 (BALF) 中の糖鎖抗原性腫瘍マーカー (SLX, CA19-9) を測定し, その意義について検討した. DPB症例では, 健常人, サルコイドーシス症例と比較し, BALF上清中のSLXおよびCA19-9値は有意に高値を示した. 開胸肺生検により組織学的にDPBと診断された症例について, SLXおよびCA19-9の局在を免疫組織学的に検討したところ, 両者ともに細気管支上皮と気道内腔の滲出物が染色された. これらの結果より, DPB症例では肺局所で糖鎖抗原が異常に増加しており, このことが血清中糖鎖抗原が高値を示す原因となっている可能性が示唆された. また, エリスロマイシン (EM) 治療前後でのBALF中の糖鎖抗原の変化を比較したが, EM投与後のBALF中のSLXやCA19-9値は低下の傾向がみられた.
  • 佐々木 巌, 和泉 徹, 八田 善弘, 倉科 桂司, 大塚 健蔵, 伊藤 武善, 赤柴 恒人, 馬場 真澄, 堀江 孝至
    1992 年 30 巻 12 号 p. 2082-2088
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    骨髄移植 (BMT) 患者の移植後肺機能と運動耐容能の変化を検討した. 対象は10例でBMT後経時的に血液ガス分析, 一般肺機能検査, 多段階トレッドミル運動負荷試験を施行した. BMT後約1年の検査で, 最大酸素摂取量 (VO2max) は低値にとどまり, 運動耐容能の低下が認められた. そこでVO2maxと心肺機能諸検査値との関連を検討したところ, O2-pulse max との間にr=0.955 (p<0.001) の強い正相関を, 以下%VC, VE/VO2max, ΔSaO2/VO2/kgの順に有意相関を認め, VO2maxの低下が肺のガス交換と心機能の異常に基づくと考えられた. さらにBMT後の経時的な運動負荷試験で, 動脈血酸素飽和度 (SaO2) の低下を示さない時期の6症例を, 同年齢正常対照群と同一運動負荷量において比較したところ, VO2/kgとO2-pulse/m2が有意に低値を示し, 運動時の一回心拍出量の増加不良が考慮され, BMT患者の運動耐容能の低下の背景に, 心機能の低下があると推察された.
  • 肺胞構築崩壊の指標として
    田村 厚久, 松原 修, 赤川 志のぶ, 永井 英明, 倉島 篤行, 吉村 信行, 市岡 正彦, 春日 孟
    1992 年 30 巻 12 号 p. 2089-2097
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    びまん性間質性肺疾患において肺胞基底膜の 7S collagen の動態が病態や予後と関連があるのか否かを検討するために, 123例の各種肺疾患の血清 7S collagen を測定した. びまん性肺疾患では健常人より 7S collagen 値が有意に高く, さらに特発性間質性肺炎や膠原病肺は肺気腫やびまん性汎細気管支炎より 7S collagen 値が有意に高かった. 特発性間質性肺炎では活動型は非活動型より 7S collagen 値が有意に高く, また 7S collagen 値が cut off 値以上の群は以下の群よりも有意に予後が悪かった. 肺感染症症例のうち成人呼吸促迫症候群合併例は非合併例より 7S collagen 値が有意に高かった. 7S collagen 値が cut off 値以上の症例の剖検肺組織ではびまん性肺胞障害やびまん性肺出血を認め, 免疫組織化学的には肺胞基底膜の 7S collagen の断裂, 消失を認めた. 以上より血清 7S collagen 値は肺胞構築崩壊の指標となり得ると考えられ, びまん性間質性肺疾患の活動性の評価に有用である.
  • 浅野 浩一郎, 山口 佳寿博, 河合 章, 森 正明, 高杉 知明, 梅田 啓, 川城 丈夫, 横山 哲朗
    1992 年 30 巻 12 号 p. 2098-2104
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    急性低酸素症における臓器レベルの代償機構を検討するため, 麻酔犬に室内気または13%酸素を吸入させ各種血行動態指標および動脈血, 混合静脈血, 頸, 冠, 肝, 腎静脈血の血液ガス諸量を測定した. これらの測定諸量を用いて室内気ならびに低濃度酸素吸入下における生体全体ならびに主要臓器の酸素利用・輸送に関する諸指標を解析した. 低濃度酸素吸入時には生体全体の酸素供給量が減少したが, 酸素摂取率の増加により酸素消費量は有意な変化を示さなかった. 臓器レベルでは低酸素吸入時に酸素摂取率が肝・門脈系臓器で室内気吸入時の1.5倍に, 腎臓で2倍に増加したが, 心臓, 脳では有意な変化を認めなかった. 一方低酸素吸入時の臓器血流量は肝・門脈系で34%減少したのに対し心臓, 脳では各々11%, 22%増加した. 腎血流量には有意な変化を認めなかった. 以上の結果より急性低酸素症時には肝・門脈系, 腎臓の腹部各臓器はその酸素摂取率を増加させることによって, 脳, 心臓は血流量の増加によって臓器レベルの好気性代謝を維持することが示唆された.
  • 池田 賢次, 月野 光博, 中島 明雄
    1992 年 30 巻 12 号 p. 2105-2111
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    気管支喘息急性発作に対する塩酸プロカテロールエロゾル (PRC) 頻回吸入の臨床効果と安全性を検討した. 重積発作にて入院加療した成人慢性気管支喘息患者を55歳未満の若年者群 (平均39.7歳: n=11) と55歳以上の高齢者群 (平均63.6歳: n=9) の2群に区分し比較検討した. 全例ハイドロコーチゾン4mg/kg/4hの静脈内投与に加え, PRC30μgをジェット式ミニネブライザーにて1時間毎約15分間吸入. ホルター心電計を用い第1, 4, 7病日の不整脈, 平均心拍数, 平均血圧を記録した. 第1病日の平均PRC総吸入量は, 若年者群496.4±62.61μg, 高齢者群490.0±36.73μgであった (p=NS). PRC吸入による発作の迅速な改善に伴い, 平均心拍数, 血圧の低下を認めた (p<0.05). 約500μgと大量PRCを吸入したにも拘らず両群共に重篤な不整脈を認めなかった. PRC頻回吸入はステロイド投与と併用する限りに於いては, 年齢に拘らず急性発作に有効であり重篤な不整脈を認めず安全と結論した.
  • 坪井 永保, 成井 浩司, 中谷 龍王, 中森 祥隆, 中田 紘一郎, 武藤 良和, 杉 裕子
    1992 年 30 巻 12 号 p. 2112-2117
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    骨髄異形成症候群 (以下MDS) 患者に発症したレジオネラ肺炎の1治癒例を報告する. 症例は40歳, 男性で高熱, 咳嗽を主訴に入院した. 左中下肺野末梢の浸潤影が急速に拡大し, それに伴い血液ガス所見も悪化した. 当初 Cefmenoxime, Piperacillin, Minocycline による治療を行ったが奏効せず, レジオネラ肺炎を疑い Rifampicin を開始した. しかし陰影拡大するため, 抗真菌剤, ST合剤も加えた. その後徐々に病状改善したが, 入院4日目の喀痰より Legionella pneumophila が入院10日目に分離され本症と確診した. 以後 Rifampicin 内服と混合感染予防の目的で Cefmenoxime を併用して良好に経過した. 本症例はMDSに対しステロイド剤が投与されており, compromised host に発症したレジオネラ肺炎である. 肺炎治癒後, 結核性胸膜炎, ニューモチスティスカリニ肺炎を発症し, それぞれ抗結核薬, ST合剤にて治癒した. しかし, その後急性肝炎から肝不全となり入院121日目に死亡した.
  • 斉藤 雄二, 坂東 啄磨, 金森 一紀, 三船 順一郎, 佐々木 文彦, 石崎 武志, 宮保 進
    1992 年 30 巻 12 号 p. 2118-2122
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は70歳女性. 気管支喘息重積発作状態にて入院した. 入院時CRP高値および胸部単純X線像にて左舌区の浸潤影を認めた. 入院後, 人工呼吸管理, メチルプレドニゾロンおよびアミノフィリン750mg/24hrの持続点滴を行ったが, 8時間後より痙攣発作を生じた. その際の頭部CTには異常所見認めなかったが, テオフィリン濃度は69.9μg/mlと異常高値を示し, テオフィリン中毒によるものと考えられた. その後症状安定期に行ったテオフィリンクリアランスの検討の結果, 気管支喘息重積発作時におけるテオフィリンクリアランスの低下が認められた. その主な原因として気道感染による発熱および肝酵素代謝能の低下が考えられた. 本症例は気管支喘息重積発作時にテオフィリンクリアランスの低下により重篤なテオフィリン中毒を生じた稀な例と思われた.
  • 吉田 ナガミ, 勝呂 元, 小原 富士男, 秋山 義彦, 加藤 秀継, 馬島 徹, 山口 道也, 堀江 孝至, 川端 美則, Naomi H ...
    1992 年 30 巻 12 号 p. 2123-2127
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は53歳, 男性. 検診にて胸部X線上異常影を指摘され精査目的にて入院した. 症状及び胸部理学所見に異常はみられず, 胸部X線上, 左上区に腫瘤状の異常影がみられた. 気管支鏡検査では左上区入口部に白苔を認め, 気管支粘膜の生検では好酸球の浸潤と, 白苔より細長く節のあるアスペルギルスの菌体を多数認めた. 検査では末梢血中好酸球増多, 血清IgE値の上昇を認め, アスペルギルス沈降抗体は陽性であった. 気道過敏性検査でその亢進を認めたが気管支喘息発作の既往はなかった. 気管支造影では中心性気管支拡張がみられアレルギー性気管支肺アスペルギルス症 (ABPA) と診断した. Rosenberg の診断基準ではABPAは, 喘息の先行が含まれているが本症例ではその既往がなく, 喘息を伴わないABPAの一症例を報告する.
  • 藤田 浩之, 毛利 博, 府川 仁哉, 池田 大忠, 鈴木 俊介, 大久保 隆男, 中谷 行雄
    1992 年 30 巻 12 号 p. 2128-2133
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は59歳男性, 和歌山県出身. 頚部リンパ節腫脹, 発熱, 食欲不振にて近医を受診し, 肝左葉から膵頭部におよぶ腫瘤と左肺野に多発性の結節状陰影を指摘され, 精査加療目的で入院した. 頚部リンパ節生検にてガフキー5号を認め, リンパ節結核と診断した. しかし, その組織像は典型的な結核組織像とは異なり, 無反応性壊死性病巣を呈していた. また, 異型リンパ球を伴う白血球増多, 成人T細胞性白血病 (以下ATL) ウイルス抗体陽性よりくすぶり型ATLと診断した. 抗結核剤にて良好に経過したが, 治療後ATLは急性転化し, 治療の効果なく呼吸不全で死亡した. 剖検肺には間質に線維化を認め, ATL細胞の浸潤とサイトメガロウイルス感染の関与が考えられた. ATLの肺病変についての報告は近年多いが, 結核症との合併についての報告は少ない. 免疫能低下時の結核症感染病態および結核症とATL急性転化との関係について, 本例は示唆に富む症例と思われ報告した.
  • 田口 浩之, 高岡 和夫, 南須原 康行, 川上 義和
    1992 年 30 巻 12 号 p. 2134-2138
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    成人T細胞白血病 (adult T-cell leukemia: ATL) に合併する慢性気道病変を3症例経験した. 症例1は細気管支炎の治療観察中に, 抗HTLV-1抗体陽性と判明した. 胸部X線上, 肺の透過性の亢進と粒状影を認め, 呼吸機能にて混合性障害と低酸素血症を示した. 病理学的には細気管支周囲のリンパ球の浸潤を認めた. 臨床的および病理学的にびまん性汎細気管支炎 (DPB) と診断された. くすぶり型ATLを合併していたことからHABAの細気管支型と考えられた. 他の2症例は持続する気道感染症状を主訴とする慢性気道病変を有し, くすぶり型あるいは慢性ATL正を合併していた. いずれの症例もHTLV-1ウイルスが関連する肺病変と考えられた. 以上の3症例は臨床上あるいは病理形態上の病態が若干異なっていた. 尚, 当院における細気管支炎12症例中3例が抗HTLV-1抗体陽性であった.
  • 宍戸 道弘, 市木 拓, 戸田 和史, 矢野 守, 大朏 祐治
    1992 年 30 巻 12 号 p. 2139-2145
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は64歳女性, 咳と呼吸困難で入院した. PaO2 40Torr, 胸部X線写真で両側全肺野に間質性陰影を認めた. 免疫, 血清, 細菌学的に特異的な陽性所見なく, 一方膠原病を示唆する所見もなく, 特発性間質性肺炎と診断した. メチルプレドニゾロン1gr 3日間のパルスに続いてプレドニゾロン40mgとアザチオプリン75mgの併用投与を開始し5週目にはPaO2, 肺機能, 胸部X線写真の著明な改善を認めた. 残存する陰影を開胸肺生検で検討した所, 病理組織学的に Usual interstitial pneumonia (UIP) との所見を得た. 免疫抑制剤を漸減した3ヵ月後再燃を見たが, 再度同じパルス投与後, 前と同量の免疫抑制剤を投与し, 再燃が緩解した. その後はステロイドのみをごく緩徐に減量し, 再燃6ヵ月後の外来時のデータでは%DLCO 72.4%, %VC 108%, PaO2 80Torrに回復している. このアザチオプリンを併用した療法はUIPの急性期, 再燃時に救命的に使用されたが, その有用性が示唆された.
  • 藤澤 伸光, 加藤 収, 山口 常子, 河島 通博, 中田 晴雄, 末岡 尚子, 青木 洋介, 黒木 茂高, 中原 快明, 山田 穂積
    1992 年 30 巻 12 号 p. 2146-2150
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は29歳, 男性. 突然の胸痛・呼吸困難, 39度台の発熱にて発症し, 胸部X線写真上, 両肺野に著明な間質影と左上肺野の空洞病変および心拡大がみられたが, 縦隔リンパ節の腫大は認めなかった.腹部CT上, 肝脾腫とその内部に小さな低吸収領域が多数存在していた. 心電図では多源性心室性期外収縮と心室性頻拍を認め, 心臓カテーテル検査では左心室瘤を認めた. 経気管支肺生検・肝生検にてサルコイドーシスと診断し, プレドニゾロンおよびメキシレチンの投与を開始した. 臨床症状ならびに胸部X線写真上の改善を認めたが, 経過中に血小板減少が増悪し, 本症との関連が示唆された.
  • 梶浦 恭, 前田 均, 西村 善博, 八幡 知之, 高月 清宣, 中村 博文, 横山 光宏
    1992 年 30 巻 12 号 p. 2151-2157
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は34歳女性. 第二子出産を機に発症した原発性肺胞低換気症候群で, 低酸素及び高炭酸ガス換気応答の異常, 睡眠時中枢性無呼吸を認めた. 睡眠時無呼吸はテオフィリン製剤, プレゲステロン製剤投与で十分な改善が得られなかったが, 夜間低流量酸素吸入により著明な改善を認めたことから, 低酸素性換気抑制 (hypoxic ventilatory depression: HVD) の存在が示唆された. さらに, 陰圧式人工呼吸器の間欠使用を併用したところ, 血液ガス及びADLの改善を認めた. 原発性肺胞低換気症候群に対する夜間低流量酸素吸入, 陰圧式呼吸器の間欠使用の臨床的有用性を認め, 今後の臨床応用に期待が持たれたため報告した.
  • 臼井 裕, 木村 雄二
    1992 年 30 巻 12 号 p. 2158-2162
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    生検鉗子により摘除し得た気管支微小平滑筋腫の1例を経験した. 症例は42歳男性喫煙者で感冒様症状と夜間の乾性咳嗽が持続したため来院, 胸部X線写真では異常を認めなかった. 咳嗽の原因検索目的で気管支鏡検査を施行したところ, 右B7入口部に発生した2×2mmの腫瘤を認めた. 本邦における気管・気管支平滑筋腫は66例報告されており, これらを文献的に検討し, 加えて報告した. 本疾患の男女比は2:3で, 中年層に発症頻度が高い傾向がみられた. 症例の大部分が, 病変部末梢の閉塞性肺炎及び無気肺に因る呼吸器症状や胸部X線上の異常所見を有していたが, 無症状発見例が10%に, 胸部X線無所見症例が30%に認められた. 症例長径10mm未満の微小例は, 本例を含めても7例と少数であったが, この内3例は, 血痰のみを症状とするX線無所見症例であり, 本症の発見における気管支鏡検査の有用性が示唆された.
  • 吉富 淳, 佐藤 篤彦, 田村 亨治, 須田 隆文, 志知 泉, 中野 豊, 岩田 政敏, 早川 啓史, 千田 金吾, 中村 真一
    1992 年 30 巻 12 号 p. 2163-2167
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は47歳女性, 主訴は乾性咳嗽, 咽喉頭部不快感. 胸部X線上, 両側肺野にびまん性の線状網状影と散在性の小結節影を認めた. 動脈血ガス分析や呼吸機能はほぼ正常であったが末梢血, BALにて好酸球増多を認めた. 経気管肺支生検の結果は好酸球性肺炎を示唆するものであったが, 小結節影の存在から血管炎を否定できず, 開胸肺生検を施行した. その結果, 画像上小結節影に相当する肺組織変化として, 斑状の好酸球や巣核球の肺胞腔内への滲出像を認めた. 一方, その他の部位では肺胞隔壁の肥厚は軽度であり, 好酸球を主体とした炎症細胞の浸潤が気管支壁, 胸膜, 小葉間隔壁に著明であった. X線上認められた線状網状影と小結節影はこれらの組織所見を反映すると思われた.
  • 家接 健一, 清水 淳三, 小田 誠, 村上 真也, 林 義信, 常塚 宣男, 宇野 雄祐, 渡辺 洋宇
    1992 年 30 巻 12 号 p. 2168-2171
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    家族内発症が認められた肺動静脈瘻の2例を経験した. 症例1は, 54歳, 女性. 37歳時より胸部X線写真で異常陰影を指摘されていた. 肺動脈造影にて両側の肺動静脈瘻と確定診断された. 症例2は, 25歳, 男性. 症例1の長男である. 学童期より胸部X線写真で異常陰影を指摘されており, 母親の手術を契機に手術を希望した. 母子とも繰り返す鼻出血があり Rendu-Osler-Weber 病を合併していた. 症例1, 2ともに瘻摘出術が可能で, 肺機能が可及的に温存されたため術後の経過も良好で元気に社会復帰している.
  • 1992 年 30 巻 12 号 p. 2172-2178
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
  • 1992 年 30 巻 12 号 p. 2179-2181
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
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