日本食品微生物学会雑誌
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22 巻, 1 号
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  • 八柳 潤, 齊藤 志保子, 今野 貴之, 原田 誠三郎, 鈴木 紀行
    2005 年 22 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 2005/04/30
    公開日: 2011/02/25
    ジャーナル フリー
    2000年と2001年に秋田県本荘市の子吉川の河川水と河川底泥, 2001年にイワガキにおけるtdh陽性腸炎ビブリオの分布実態と消長について調査し, 当該地域の医療機関における腸炎ビブリオ散発下痢症患者の発生動向との関連について検討した結果, 以下の知見を得た.
    1.腸炎ビブリオ散発下痢症発生数は2000年から2003年にかけて減少し, その減少はO3: K6感染者の減少に起因することが示された.
    2.tdhを標的としたPCR法, 免疫磁気ビーズ法, および増菌培養液の我妻培地による直接分離培養法を併用することにより, 河川環境検体, および市販イワガキから各種血清型のtdh陽性腸炎ビブリオを分離することに成功した.その結果, 散発下痢症の発生時期とイワガキの市販時期がおよそ一致し, かつ, その期間に購入したイワガキの一部が実際にO3: K6 (tdh+) 汚染を受けていること, および散発下痢症の発生がみられる時期に採取した河川環境検体から実際にtdh陽性腸炎ビブリオが分離されることが初めて示された.
    3.イワガキがこの地域における腸炎ビブリオ下痢症の原因食品の一つとなっている可能性が示唆された.しかし, tdh陽性腸炎ビブリオの発症菌量が明らかではないこと, およびイワガキ中のtdh陽性腸炎ビブリオの菌数を測定しえなかったことから, 今回の調査でtdh陽性腸炎ビブリオが検出されたイワガキのすべてが下痢症の原因食品となりうるかどうかは不明であり, 今後の研究が必要である.
    4.イワガキが販売される時期は1年で最も気温が高く, 室温ではイワガキ中のtdh陽性腸炎ビブリオが短時間で増殖するものと推察される.したがって, イワガキを販売する際, tdh陽性腸炎ビブリオの増殖を防止するために低温下での管理を徹底することが感染予防のうえで重要と考えられる.
    本研究により特定の地域において散発下痢症の発生と関連するtdh陽性腸炎ビブリオの感染源, および汚染ルートの一端を具体的データとして初めて示すことができた.国内の他地域においても同様な検討を積み重ねることにより, これまで具体的データが得られなかったtdh陽性腸炎ビブリオの感染疫学の解明につながるものと考えられる.
  • 金 賢雄, 木村 聡一郎, 大野 信子, 岡留 美穂, 高橋 治男, 天知 誠吾, 篠山 浩文, 藤井 貴明
    2005 年 22 巻 1 号 p. 10-16
    発行日: 2005/04/30
    公開日: 2010/07/12
    ジャーナル フリー
    リンゴ青カビ病菌enicillium expansum O-385-10のグルコースを利用しての生育は著しく不良であった.この培養において, 本菌はグルコースオキシダーゼおよびカタラーゼを生産し, 培養液中にグルコン酸を蓄積した.そのため培地pHの低下に伴う生育不良が生じたものと考えられた.炭酸カルシウム添加により培地pHを中和した本菌の培養から, グルコースオキシダーゼおよびカタラーゼを電気泳動的に単一なまでに精製した.精製したグルコースオキシダーゼは分子量約130kDaのホモダイマー酵素で, カタラーゼは分子量約300kDaのホモテトラマー酵素であることがわかった.これらの酵素は, pH3においてもそれぞれ約80%と50%の活性を示していた.また, カタラーゼの活性は1mMのCa2+とBa2+イオンにより著しく賦活化された.これらの精製した酵素をリンゴ果実試料と同時にインキュベートすると, 果実が著しく褐変化された.
  • 酒井 史彦, 青山 顕司, 篠澤 映子, 山縣 尚, 丸山 務, 五十君 静信, 柳平 修一
    2005 年 22 巻 1 号 p. 17-23
    発行日: 2005/04/30
    公開日: 2010/07/12
    ジャーナル フリー
    ナチュラルチーズからのListeria monocytogenes (リステリア) 検出法について, 公定法 (衛乳169号) と増菌後にVIDAS LMO2を用いて検出する迅速測定法 (ELFA法) を比較検討した.
    供試した33検体のナチュラルチーズは, 両検査法でリステリア陰性であることを確認した.それぞれのチーズにリステリアを接種し (1cfu/g), 両検査法に供した.その結果, 検出率が100%に満たなかったチーズは, 公定法で13検体, ELFA法では6検体であった.全検体を通した検出率は公定法では83%, ELFA法では89%であり, 後者の方が高い傾向にあった.ブルーチーズや一部のカマンベールチーズにおいては, ELFA法での検出率が, 公定法よりも著しく低い結果となった.この原因は, 増菌培養でリステリアが十分増殖しなかったためであった.以上の実験結果より, ELFA法は, 一部特定のチーズを除いて公定法と同等か, あるいはそれ以上の検出率を有しており, ナチュラルチーズからL. monocytogenesの迅速測定法として, 十分に利用できるものと判断された.
  • 藤川 浩, 和宇慶 朝昭, 諸角 聖
    2005 年 22 巻 1 号 p. 24-28
    発行日: 2005/04/30
    公開日: 2010/07/12
    ジャーナル フリー
  • 松岡 隆介
    2005 年 22 巻 1 号 p. 29-37
    発行日: 2005/04/30
    公開日: 2011/02/25
    ジャーナル フリー
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