日本及び台湾のヤママユガ科の4新亜種 Antheraea yamamai yoshimotoi INOUEヤママユ 原名亜種より小型,外縁はいっそうなめらかで,前翅頂はそれほど出張らない.一般に色彩が暗く,横脉紋は小さく,特にその中心の透明部はきわめて小さいか,又は痕跡的,前翅の中室内にある暗色帯は,一直線又はそれに近く,原名亜種のように内方に弓状をなすことがない. 分布:奄美大島・沖縄本島. Antheraea yamamai superba INOUEヤママユ 既知の亜種よりはるかに大型で,前翅頂は鋭く出張る,翅の色彩は原名亜種より鮮明.裏面の斑紋はきわめて濃厚で,特に外縁部のくさび型の紋列がよく発達している.分布:台湾(中部山地) Rhodinia jankowskii hokkaidoensis INOUEクロウスタビガ 色彩はアムール地方の原名亜種より明るく,横横脉上の透明紋がきわめて小さい. 分布:北海道.釧路国標茶の標本のみによって記載したので,はたしてこの亜種が全道にわたって分布しているかどうかは,今後比較する必要がある. Rhodinia jankowskii hattoriae INOUEクロウスタビガ 上記の亜種よりはるかに原名亜種に似ているが,大型であること(北海道亜種とほぼ同じ大きさ),前翅の外横線の外側に沿う暗色部の幅がいっそう広く,後翅の外縁部が一様に暗色で,亜外縁部の暗色と黄色部の境界が不明瞭なので区別される.分布:本州・四国.本文に記録した標本のうち,奄美大島でとれたヤママユの新亜種は,日米科学協力研究計画の一環として実施された琉球列島の昆虫相調査隊によって,1963年7月に採集されものである.標本の提供を受けた方々に厚く御礼申上げる.
抄録全体を表示