南米コロンビア北部のサンタ・マル夕山群,およびその周辺において,ドクチョウ亜科Heliconiinae(タテハチョウ科)に属する15種を記録した.その大部分の種は熱帯降雨林とその周辺に生息しているが,中にはAgraulis vallillaeやDryadula phaetusaのように熱帯の乾燥した荒地や牧場などの陽地にみられるものや, Helicconius (Eueides) edias, H. (Heliconius) clysonimusおよび H. (H.) eleuchius のように,熱帯の低地にはみられず,海抜1000〜2000mの亜熱帯の地域にみられるものもある.またDione glyceraはさらに高地にすみ,海抜2000 m以上の温帯に多くみられ,その垂直分布の上限は海抜3000m以上に達している.H. (H.) ethillusには2つの型,melicertusとsemiflavidus がみられ,前者はこの山群の西北部から,後者はその東南部から発見された.H. (H.) melpomeneとH. (H.) eratoとのあいだには,ミューラーの擬態の関係がみられ,ともに黒地に赤紋をもった型が分布している.
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