Notocelia yakushimenesis sp. nov.ヤクシマヒメマキ(新称)前翅はうすい紫色を加味した淡灰褐色で,斑紋はむしろ不明瞭である.Valvaやsterigmaの形状に特徴がある,屋久島には広く分布するようで,6月から10月にかけてとれている.Epinotia tamaensis sp. nov.タマヒメハマキ(新称)小型で特徴のある表徴を有するので,識別は容易である.多摩丘陵で採集した雌雄の2個体にもとづき記載した.Zeirophera shimekii sp. nov.マエジロミドリモンヒメハマキ(新称)前縁に大きな白色紋を有し,緑色をおびた美しい蛾であり,識別は容易である.群馬県湯ノ平,熊ノ平,土合口,山梨県精進湖(富士山麓). Zeiraphera fulvomixtana sp. nov.ニセミドリヒメハマキ(新称)一見,ミドリヒメハマキZeiraphera virinea Falkovitshに似るが,より褐色を加味し,全体に緑色が弱いことや,交尾器の形態から区別出来る.群馬県土合口,東京都下高尾山,鹿児島県霧島山,屋久島からの標本で記載した.Didrimys takui sp. nov.アカマダラヒメハマキ(新称)前翅は灰色で,紫赤色の小点や細線を散在する.前縁にはややぼけた大きな黒褐色紋を有する.Gnathosの形状は特徴的である.屋久島では3月と10月に採集されている. Hedya gratiana sp. nov.カンコノスジヒメハマキ(新称)一見,アシブトヒメハマキPhaecadophora fimbriata Walsinghamに似ているが,全体に色彩はより淡い,また,雄の後脚脛節が太くならないことや,後翅後縁に長毛を欠くことでも異る.口之永良部島ではカンコノキの葉をつづる幼虫を採集した.屋久島にも分布する.Olethreutes maenamii sp. nov.チャモンヒメハマキ(新称)前翅は淡い黄土色で,前縁に大きな褐色紋を有し,紋の先端(中室上)に黒色点がある.本州では神奈川県の葉山から1個体が得られているだけで,伊豆七島,屋久島から多数採集されたが,特に伊豆七島ではかなり普通に得られている.たぶん,本州,四国,九州の太平洋岸にそっても発見の期待できる種である.Olethreutes bipunctana yama subsp. nov.シロマダラヒメハマキ本種は保育社の図鑑(1957, no. 353)でCelypha expeditanaとして図説された種であるので,和名はそのまま用いた.ヨーロッパ産のbipunctanaとは中帯,cornutiの数などに差異が認められるので,本邦産の個体を新しく亜種として扱った.北海道の大雪山からのみ得られている.
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