昨今、わが国では病気の子どもの長期入院が激減し、入院期間の短期化と入院の頻回化傾向が顕著になっている。このことは、病弱・身体虚弱教育のあり方にも大きな影響を及ぼし、教育活動における通信情報技術(Information and Communication Technology)活用、そして医療や教育における関係者の情報共有が不可欠となっている。本稿では、日本の病弱・身体虚弱教育における教育情報の共有と活用について、ICT活用の視点から、関連する国の施策、1976年の養護学校義務制以降の研究、実践研究を概観した。さらに、教師自らが情報発信し、指導法・教材等の教育情報を一元化して蓄積し、共有するための病弱教育支援冊子の有効性について指摘した。今後は、入院児童生徒の前籍校との日常的な連携、病気を理由に長期欠席している児童生徒への教育支援など、ICTを活用した病弱・身体虚弱教育の充実に向けた研究が期待される。