特殊教育学研究
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35 巻, 1 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 上久保 恵美子, 比企 静雄, 福田 友美子
    原稿種別: 本文
    1997 年 35 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 1997/06/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    聴覚障害者による各種の言語媒体の相手に応じた使い分けについて、現在の日本社会での使用状況を分析した。この研究で用いた調査資料は、東京と近県の重度聴覚障害者に、1991年に質問紙を郵送して、20〜70歳の男女約1,700人から回答を得たものである。そのうちの、口話・手話・筆談の有効性についての諸項目の応答を、男女の応答の差異と、項目の相互の関係に注目して分析した。その結果、家族、聴覚障害の友人、健聴の友人、近所の人、会社の人などの言語使用の相手の部類に応じて、使用の割合やその有効な割合が異なること、手話は健聴者に対してあまり使われていないこと、口話の使用の割合はとくに女性でかなり多いが、有効な割合はあまり多くないこと、男性では筆談の使用の割合が多いことなどが明らかになった。
  • 山本 淳一
    原稿種別: 本文
    1997 年 35 巻 1 号 p. 11-22
    発行日: 1997/06/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    2名の自閉症児について、機能的な報告言語行動が成立するための条件を検討した。対象児は、静止画、動画、実際の動作が提示される場所まで歩いてゆき、その刺激を見てから聞き手のところで、「〜が〜を〜している」という文章を用いて報告する報告言語行動連鎖が形成された。実験Iでは、そのような行動連鎖が確立し、他者動作の訓練のみによって、自己動作が用いられた場合においても適切な主語と助詞を含む文が成立し、それらが共通の刺激クラスとしてまとまることが示された。実験IIでは、報告言語行動に伝達の機能をもたせるため、行動連鎖の中に、聞き手の名前を「呼びかける」言語反応を組み込んだ。その結果、未知の聞き手に対しても自発的呼びかけが成立した。すなわち、聞き手の注意を向けてから言語報告を行う行動が確立した。実験IIIでは、実際の教室場面において、獲得された行動連鎖の般化が評定された。その結果、聞き手を特定する手がかり刺激を与える手続きを付加することで、適切な呼びかけ反応ならびに適切な報告言語行動が生起した。これらの結果は、叙述的機能をもつ報告言語行動の機能化と般化のためのプログラム構成という点から考察された。
  • 小林 秀之
    原稿種別: 本文
    1997 年 35 巻 1 号 p. 23-32
    発行日: 1997/06/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    中間透光体混濁と屈折異常の弱視シミュレーション、及び弱視被験者により、弱視児・者が支障なく課題遂行できる最小の線幅(有効線幅)と線種による有効線幅の違いを検討した。線幅は0.1mm〜1.5mm、線種は実線、破線、点線、鎖線の4種類を設定し、記号で結びつけられた線を追う認知課題を行った。実験の結果、有効線幅はランドルト環の切れ目幅(分)の1/15であり、中間透光体に混濁があるような場合は、屈折異常と比較して有効線幅は3倍程度太いこと、線の種類としては本研究で設定した実線部が1mmで、実線にはさまれた空間部分が1mmの点線は、他の線種と比較して有効線幅が太いことが明らかとなった。また、近距離視力(分)を予測変数(x)、線幅(分)を目的変数(y)として屈折異常の予測式、y=1.05+0.07xと、中間透光体混濁の予測式、y=0.52+0.23xが求められ、これらの予測式が弱視者にも妥当であることが確認された。
  • 高橋 智
    原稿種別: 本文
    1997 年 35 巻 1 号 p. 33-43
    発行日: 1997/06/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    「精神薄弱」概念の理論史研究の一環として、戦前を代表する呉秀三・三宅鑛一・杉田直樹らの精神病学書を素材に、19世紀末から昭和戦前期までの精神病学における「精神薄弱」概念の形成過程とその特質を検討した。その結果、(1)クレペリン精神病学体系はわが国の「精神薄弱」の成立に影響を与え、「白痴・痴愚・魯鈍」の三分類法の確立や「精神薄弱」の疾病から障害への転換の重要な契機になった。(2)「精神薄弱」の精神病学的診断や定義における知能測定法の適用の問題として、三宅鑛一の提起により、クレペリン精神病学体系による医学的診断を基礎に知能測定法はその補助手段として活用され、1930年代末にはクレペリン精神病学体系と知能測定法の併用方法が採用された。(3)「精神薄弱」児の生活年齢・経験のもつ発達的意味に光を当てた杉田直樹の知能と社会生活適応性の二次元による「精神薄弱」の概念規定は、戦前の到達点であり、戦後の「精神薄弱」概念にも影響を与えた。
  • 小野 昌彦
    原稿種別: 本文
    1997 年 35 巻 1 号 p. 45-55
    発行日: 1997/06/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
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