特殊教育学研究
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33 巻, 1 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 安藤 隆男, 山下 利之
    原稿種別: 本文
    1995 年33 巻1 号 p. 1-8
    発行日: 1995/06/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    運動障害を有する児童が学校での個々の教科をどのように感じているのか、そして教師が指導上どのように感じているのかを明らかにすることは、小学校における障害児の統合教育に関して実証的な知見となる。小学校に在籍する運動障害児が学校で学習している教科を、好きな順などの5つの基準にしたがって順位づけることが求められた。教師については、教科の指導の困難性を基準にして同様な手続きを採った。結果は、平均順位とばらつきを同時に提示する順位グラフによって視覚的に表示された。児童が低く評価し、教師が指導の困難性を指摘したのが、体育、図画工作など身体的な活動を伴う教科であった。また、教師の教科の捉え方が児童の教科の選択性に影響を及ぼしてくることが示唆された。
  • 太田 正己
    原稿種別: 本文
    1995 年33 巻1 号 p. 9-16
    発行日: 1995/06/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    本研究は、授業批評が重度重複障害児の授業の実践段階での改善にどのように影響するのかを明らかにし、かつどのような批評が有効であるのかを考察するために行われた。そのために、養護学校(精肢併合)小学部低学年の研究授業での、授業案、授業批評の記録、研究授業記録、研究授業後の授業記録を資料として、これらの関連性を分析することによって、授業の改善に対する授業批評の影響を明らかにした。その結果、授業者が改善を望みその必要性を認識している点だけでなく、授業者が気づいてない点についてもそれが授業意図や目標を達成するために必要であることを具体的、建設的な批評によって気づかせることで、実践レベルでの手だての改善がなされ、子どもの活動が変わっていくことが明らかになった。授業者の授業意図を実現するような方向での授業の事実を踏まえた具体的、建設的な批評は、「持て成し」批評であり、これが有効なものであった。
  • 磯貝 順子, 小池 敏英, 佐藤 進, 堅田 明義
    原稿種別: 本文
    1995 年33 巻1 号 p. 17-24
    発行日: 1995/06/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    療育者が重度精神遅滞児の行動を正しく判断し、的確な応答をすることは、教育する上で極めて重要である。しかし、重度児の伝達手段は表出言語以外であったり、社会的に確立されていない体系が用いられることもあり、理解しがたい。従って、これらの行動を意味あるものとして抽出し、伝達手段として活用するためには、療育者の役割に負うところが大きい。そこで我々は、療育者の要求行動に関する判断について研究することにした。調査Iでは療育者への調査、重度児の観察を行い、要求行動をより的確に判断するための条件として(1)対人指向性や方向定位性のある行動、(2)複数のてがかり行動の生起が必要である点を明らかにした。調査IIではビデオの被写体の行動に対して療育者と学生に判断を求め、その差異について検討した。両者の間に有意差は認められなかったが、療育者は要求行動として判断する傾向が強い点や情報量の増加が判断の精度を高める点が推察された。
  • 柘植 雅義, 小林 重雄
    原稿種別: 本文
    1995 年33 巻1 号 p. 25-33
    発行日: 1995/06/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    精神遅滞児の移動行動を形成することをねらいとした授業場面における数学的言語行動[MVB]の特徴を、障害児教育用の授業分析システムで解析した。方法は、教師か児童の数学的言語行動が第2項であるtriad:B1→[MVB]→B3から構成される行動推移行列(triad transition matrix)を"頻度(frequency)";"情報量(information)";"位相(topology)"の3測度で分析した。その結果、教師と2名の児童の算数用語全体や、「右」「左」;「ここ」「そこ」;「1階」「2階」「3階」「4階」毎の特徴が測度毎に明らかになった。特に「右」「左」では、教師と児童共に他の用語と比べて比較的多く使う、教師の方が同じ様なtriadの型で使う、1名の児童はバラエティーに富んだ使い方で、しかも教師の指示が前後に続いたり学習指導が前後に続いたりするtriadとして使うことが多い、などの特徴が明らかになった。これは、算数用語の使用頻度は同じでも使用法は教師と児童、児童と児童の間で異なると考えられる。
  • 北川 憲明, 七木田 敦, 今塩屋 隼男
    原稿種別: 本文
    1995 年33 巻1 号 p. 35-44
    発行日: 1995/06/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    本研究は、障害幼児をもつ母親239名を対象に、健常幼児をもつ母親171名との比較を通して、知覚されたサポートと実行されたサポートの効果を明らかにすることを目的とした。質問紙法による調査の結果は以下の通りである。知覚されたサポートの結果から、(1)夫婦親密性サポートは、母親の日常的なストレスに効果がある。(2)療育的なサポートは日々の育児から生ずる一時的なストレスの軽減に効果がある。(3)近隣的なサポートも母親の精神的健康を良好に保つ効果を持つ。(4)実行されたサポートの結果から、母親のストレスレベルが高いとき援助的な言動を多く受けることは、精神的健康を低下させる可能性がある。近隣が障害幼児を養育する上で助けになると知覚する母親がストレスに最もうまく対処し、精神的健康を良好に保っている。障害幼児をもつ母親のストレスとソーシャルサポートの関係は大変複雑であり、今後、種々の要因について考慮する必要性のあることが示唆された。
  • 小嶋 珠実
    原稿種別: 本文
    1995 年33 巻1 号 p. 45-50
    発行日: 1995/06/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
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