特殊教育学研究
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56 巻 , 3 号
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原著
  • 石川 菜津美, 石塚 祐香, 山本 淳一
    原稿種別: 原著
    2018 年 56 巻 3 号 p. 125-134
    発行日: 2018/10/31
    公開日: 2019/12/04
    ジャーナル フリー

    本研究では、次年度就学する発達障害児2名に「授業参加」支援プログラムを実施し、その効果を検討した。「就学に向けた100項目チェックリスト」を用いたアセスメントの結果、両児ともに挙手や質問に答えるなどの授業参加行動は身に付いているものの、適切な行動の生起頻度が低く、授業に関係のない逸脱行動・発言がみられる場面が多かった。そこで、本プログラムでは見通しをもたせる状況設定に加え、先生役・サポート役の役割を明確化し、あらゆる授業参加行動・発言、特に姿勢を保持する行動に対して、具体的かつ即時的に強化を与えた。その結果、両参加児の授業関連行動・発言の生起率が増加し、授業逸脱行動・発言が減少した。また、大声を出す行動や離席は、介入後のセッションではほとんどみられなくなった。さらに、社会的妥当性の評価の結果、プログラム前後で参加児の授業態度に望ましい変容がみられたことが、第三者評価からも示された。

資料
  • 新海 晃, 澤 隆史
    原稿種別: 資料
    2018 年 56 巻 3 号 p. 135-145
    発行日: 2018/07/31
    公開日: 2019/12/04
    ジャーナル フリー

    本研究では、聾学校教員が重視する聴覚障害児の作文評価の観点について検討することを目的とした。全国の聾学校103校の教員に対して、聴覚障害児の作文評価に関する69項目について、5件法によりその重要度を評定させる質問紙調査を実施した。415名の回答から因子分析により作文評価の観点を抽出した結果、54項目からなる聾学校教員による7つのおもな評価の観点が示され、先行研究と比較し妥当性のあるものと考えられた。また、抽出された7つの評価観点の重要度を学部間および教員経験年数間で比較したところ、学部間で評価観点の重要度に差異のあること、評価観点の重要度は教員経験年数にかかわらず一貫していることが明らかとなった。これらの結果から、本研究で明らかとなった観点の作文評価における有用性が示唆された。今後は、今回抽出された7つの観点を用いた作文評価を行い、作文指導における7つの観点の有効性について検討する必要があると考える。

  • 和角 輝美子, 山本 利和, 濱田 由己
    原稿種別: 資料
    2018 年 56 巻 3 号 p. 147-156
    発行日: 2018/07/31
    公開日: 2019/12/04
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は、信頼性と妥当性を兼ね備えた「白杖歩行訓練における観点別評価尺度」の作成であった。研究1では堀内ら(2008)を参考に、白杖歩行訓練に必要な観点について質問表を作成し、得られた歩行訓練士101名のデータに対し因子分析を行い、3つの下位尺度(歩行環境を読み取る力、歩行能力を判断する力、指導方法を選択する力)をもつ30項目の尺度を作成した。尺度は高い信頼性を有していた。研究2では妥当性の検討のため、下位尺度得点と歩行訓練士としての活動年数との関連性を検討した。歩行訓練士としての活動年数と下位尺度の順位相関係数の値は、低から中程度であった。分散分析の結果、歩行能力を判断する力と指導方法を選択する力では、活動年数の有意な関連性が認められた。一方で、歩行環境を見る力では活動年数は関連しないことが明らかになった。これらの結果から、本尺度の信頼性と妥当性が議論された。

  • 佐々木 銀河, 田原 敬, 五味 洋一, 青木 真純, 宮内 久絵, 岡崎 慎治, 野呂 文行, 竹田 一則
    原稿種別: 資料
    2018 年 56 巻 3 号 p. 157-168
    発行日: 2018/07/31
    公開日: 2019/12/04
    ジャーナル フリー

    障害のある学生に対する合理的配慮は、固有かつ必要な教育の目的・内容・機能を損ねることなく提供されることが重要である。本研究では、オーストラリアの39大学のウェブサイトにおける固有の必要条件に関する記述を対象に、複数人によるインターネット検索と計量テキスト分析を実施した。複数人による検索の結果から、8割以上の大学が各大学の方針として、固有の必要条件と合理的な調整の提供について記述していることが示された。また、看護学などの対人援助系の教育組織において、詳細な規定の整備が進んでいたことも示された。計量テキスト分析の結果から、一部の教育組織において聴覚機能や運動機能は固有の必要条件に含まれていないことも示された。調査結果を踏まえ、日本の高等教育機関が障害のある学生に対する合理的配慮を提供する際に、オーストラリアで用いられる規定を参考に教育の目的・内容・機能を明確にすることが有益である可能性が示唆された。

実践研究
  • 森 一晃, 岡村 章司
    原稿種別: 実践研究
    2018 年 56 巻 3 号 p. 169-182
    発行日: 2018/07/31
    公開日: 2019/12/04
    ジャーナル フリー

    本研究では、特別な配慮が必要な児童を含む小学3年生の通常の学級の担任に対して、行動コンサルテーションを実施した。本学級では、対象児を中心に、複数の児童において私語が多くみられた。そこで、コンサルテーションでは、手続き作成シートをもとに、担任を含めた教師らとの協議を通して、対象児の私語の機能を同定し、教師の意見を積極的に取り入れながら機能に基づいたクラスワイドな支援の計画を立案した。授業の振り返りでは、授業の録画や児童の行動変化を示すグラフを用いて、担任の支援行動と児童の変容との関連をフィードバックした。その結果、対象児の行動変容が確認され、担任はクラスワイドな支援を一貫して実施し、計画した内容以外の関連した支援を実施するようになった。以上のことから、クラスワイドな支援の実施において、ツールをもとに教師が計画立案に参画する協議、授業に関するモニタリング、校内の教師を含めた他者からの肯定的なフィードバックは、教師の主体的な取り組みを促すと考えられた。

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