特殊教育学研究
Online ISSN : 2186-5132
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53 巻, 1 号
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原著
実践研究
  • 岡村 章司
    2015 年 53 巻 1 号 p. 35-45
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/07/15
    ジャーナル フリー
    特別支援学校小学部に在籍する自閉症児1名の母親を対象に、担任教師が家庭における要求言語行動および身体を洗うスキルの獲得を目的とした支援を行った。母親の負担を配慮した手続きの作成を行い、母親による日々の記録をもとに、フィードバックを行った。併せて、連絡帳や面談では、取り組みに対する肯定的な評価を積極的に行った。家庭における指導課題の一部を学校でも同様に指導した。母親が取り組みたい課題を提案したときには、手続きや記録の方法を検討するよう促した。その結果、標的行動は達成し、母親から提案された複数の指導課題についても成果がみられた。母親は指導や記録を1年間継続的に実施し、それらを肯定的に評価していた。結果に基づき、本実践が対象児の行動変容および保護者の主体的な取り組みに及ぼした効果について、子ども、保護者、教師の強化関係を促す支援の有効性の観点から考察した。
  • 雨貝 太郎, 園山 繁樹
    2015 年 53 巻 1 号 p. 47-55
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/07/15
    ジャーナル フリー
    本研究は広汎性発達障害の診断を受けた11歳の男児1名を対象に、サイコロトークを実施し、いくつかの条件を設定し、発話促進の効果について検証した。初めに「聞く行動」について指導した後、「話す行動」を指導した。「話す行動」の指導においては、「終了モデルの提示」「話すテーマの事前提示」「考える時間の提供」「テーマの選択」「テーマの自由選択」という5つの条件の中で、話す時間と話す文章の量の変化を測定した。その結果、より長い文章を話させる課題を行う際は(1)会話の終わり方のモデルを示すこと、(2)前もって話す内容について考える時間を十分に与えること、(3)話す内容について選択肢を与えること、が効果的であった。また、より長い時間会話をさせる課題を行う際には(1)どのようなことについて話せばいいのか事前に伝えておくこと、(2)選択肢を与えずに自分の話したいことを自由に話させること、が効果的であった。
研究時評
  • 藤井 和子
    2015 年 53 巻 1 号 p. 57-66
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/07/15
    ジャーナル フリー
    通級による指導における特別の指導は、自立活動を原則としているため、学級担任教師の自立活動の指導への関与が求められる。本稿では、通級による指導が制度化された1993年4月、および通級による指導の対象となる障害が拡大された2006年4月を境に、3つの時期区分を設定し、自立活動の観点から研究の動向を概観した。その結果、いずれの時期においても、通級指導教室における指導の内容や方法を取り上げた研究は数多く行われていたが、自立活動の指導において重視される学級担任教師や関係者との連携に関する研究はごく限られていた。さらに、通級による指導が制度化された当初から、通級担当教師の専門性と研修の充実が求められていたものの、通級担当教師の研修を取り上げた研究も少なかった。今後は、学級担任教師や関係者と協働的に課題解決できる専門性の涵養を視点とした、現職教員研修に関する研究が求められる。
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