小学校1・2・3年生(1,373人)を対象に、撥音・促音・拗音・拗長音の表記選択テストを行った。テスト低成績児童(総得点の約10パーセンタイル以下)は、約11~20パーセンタイルの児童と比べて、撥音や促音の未達成を多く示した。またROC 分析の結果、約10パーセンタイル以下の児童の成績は、「特殊表記の学習で配慮を行っている児童」の教員判断と一定程度対応した。低成績児童は、出現頻度の高い拗音・拗長音単語で高い正答率を示すが、低頻度単語では低い正答率を示した。これより、低成績児童は混成規則に基づく拗音・拗長音の習得が難しく、対連合的学習の経験に基づく習得を行ったことが推測できる。また、目的変数を各特殊表記の未達成児童としてオッズ比を算出した。1年生では音韻操作課題が、2・3年生ではひらがな単語を流暢に検索する課題と言語性短期記憶課題の低成績が背景要因となった。各学年で背景要因と学習方略に考慮した支援の必要性を指摘した。
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