日本森林学会誌
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  • 土井 裕介, 石井 亘, 尾形 信行, 相子 伸之
    2024 年 106 巻 5 号 p. 117-127
    発行日: 2024/05/01
    公開日: 2024/05/16
    ジャーナル オープンアクセス

    林相の違いが強度間伐後の土壌の表面侵食に及ぼす影響を明らかにするため,スギ林,ヒノキ林,広葉樹林において本数間伐率約50%の間伐区と無間伐区を設置し,処理後3年間にわたり表面侵食の指標である細土移動レートと林床被覆率を測定した。スギ林は,豪雨やイノシシによる掘り返しによるリターの流出に伴い細土移動レートが一時的に上昇したものの,両区ともに林床被覆率は60%以上と高く,細土移動レートは低い値で推移した。ヒノキ林は間伐直後に間伐区の細土移動レートが高まる傾向が見られたものの,下層植生被覆率が高まるにつれて,両区の差は小さくなる傾向を示した。広葉樹林は両区ともに間伐後1年目に林床被覆率が60%以上と高く,細土移動レートは低かったものの,間伐後2年目以降イノシシによる表土攪乱の頻度が他の林相よりも高まり,細土移動レートは1オーダー上昇した。以上からスギ林と広葉樹林は林床被覆率が高いことで表面侵食に対する耐性が高く,野生動物の影響が無い場合はその特性が強度間伐後も維持されると考えられた。一方でヒノキ林は,強度間伐後に林床被覆率が回復するまでの間は,表面侵食量が増大する恐れが高いことが示唆された。

  • 情野 敦, 小野 裕
    2024 年 106 巻 5 号 p. 128-139
    発行日: 2024/05/01
    公開日: 2024/05/16
    ジャーナル オープンアクセス

    洪水・土砂災害の発生リスクの評価のためには,森林土壌内の水分動態を斜面単位で推定することが重要である。本研究では,森林の特性に即した水分量分布や変動の再現を目的とし,比較的容易に取得可能なデータを用いてタンクモデルに基づいた構造の土壌水分変動モデルを作成し,精度の検証を行った。モデルは地上部を表す樹冠遮断モデルと地下部を表す直列タンクモデルで構成され,森林斜面中腹の深さ10,30,50,100cmの土壌水分量の変動をモデル化することを目指した。その際,土壌の孔隙組成や樹木根系による水分吸収が水移動に及ぼす影響をモデルに組み込んだ。はじめに2021年のデータに対し,モデル定数を同定した。このモデルに対して,モデル定数は変えずに2020年の降水量を入力値として与え,その結果からモデルの再現性を検討した。その結果,モデルとしての精度の高さが確認された。また,モデルによる樹冠遮断率と蒸発散量の計算結果を検討したところ,蒸発散量の季節変化を考慮する必要があるものの,深度別の土壌水分変動を概ね再現しており,本モデルは予測モデルとしての有用性が高いことが示唆された。

  • ―真鶴半島の針広混交林「お林」の事例―
    正木 隆, 佐藤 保, 八木橋 勉, 櫃間 岳, 設樂 拓人
    2024 年 106 巻 5 号 p. 140-144
    発行日: 2024/05/01
    公開日: 2024/05/16
    ジャーナル オープンアクセス
    J-STAGE Data

    神奈川県真鶴半島の老齢針広混交林「お林」で,幹の胸高直径(DBH)約60~200cmのクロマツ,クスノキ,スダジイを対象に樹冠幅と樹冠偏心距離を計測した。樹種ごとの樹冠幅の最大値はクロマツの1,570cmからクスノキの3,200cmにおよび,樹冠偏心距離はクロマツの550cmからクスノキの1,050cmに及んだ。樹冠幅は,クロマツとクスノキではDBHとともに増加する傾向を示した。樹冠偏心距離は,クロマツではDBHとともに減少する傾向を示し,広葉樹2種では逆に微増する傾向を示した。広葉樹2種では樹冠幅はDBH成長量と正の相関を示し,樹冠幅は老齢・大径の広葉樹の活力を指標すると考えられた。緩傾斜の本調査地では,斜度と広葉樹の樹冠偏心距離の相関は不明瞭であった。老齢・大径の広葉樹林の復元を目標に若齢林を適切に管理するには,樹冠幅や樹冠の可塑性の情報をさらに収集する必要があることを指摘した。

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