最適伐採戦略の探索は伐採計画の立案の基礎となる重要な技術である。特にその信頼性には, 大域的最適解に収束することが最も重要である。そこで, 動的計画法, ランダム探索法, 全探索法の三つの探索法について, 探索された最適解を比較し, 有効性について検討した。対象林分は長野県カラマツ, 林分成長モデルは林分密度管理図とした。収益モデルは収穫量を材積歩留まりで算出するが, 立木価格はDBHにより変化するものとした。探索の評価基準は収穫原木の現在価値 (NPV) とした。動的計画法およびランダム探索法の伐採本数は5本/haごと, 全探索法は伐採率を5%ごとに設定した。伐採林齢は計画期間に応じて5年ごととした。以上のモデルについて探索した結果, 最適解のNPVは全探索法が最も大きく, ランダム探索法, 動的計画法と続いた。立木価格がDBHに対し増減する場合, 動的計画法の最適解によるNPVの年次変化は, 他の二つと異なった。一林分状態の評価回数は動的計画法が最も少なく, 次いでランダム探索法であり, 全探索法は非常に多かった。以上より, 解の信頼性と計算回数を考えると, 今回の収益モデルではランダム探索法が良好な結果を示した。
抄録全体を表示