二次林におけるピサカキ種子の散布特性を把握するため, 岡山市のコナラ二次林に設定した10m×10mのプロットに, シードトラップを系統的に25個設置し.採集された種子には, 果皮に含まれて落下したタイプと, 鳥類により散布された (果皮に含まれず落下した) タイプが存在した。全落下種子の約75%は, 鳥類により散布されたものであった。鳥類により散布された種子は, 全トラップで検出された.一方, ピサカキの結実個体から離れていたが, 漿果を生産していた他樹種に近接していたトラップでは, 鳥類により散布された種子が多数採集されることがあった.したがって, ピサカキの種子散布パターンは, 植物群集の組成や構造および鳥類の採餌行動に影響されるものと思われた。
上記の落下形態の相違による種子発芽の違いを検討するため, 果皮に含まれた種子と果皮から取り出した種子を用い, 発芽試験を行った.果皮がない場合, 37%の種子が発芽したが, 果皮がある場合, 発芽できた種子はほとんどなかった.したがって, 果皮に含まれて落下した種子は, 次年度の実生の加入には貢献できないものと考えられた。このように, 本コナラ二次林でのピサカキ個体群の維持には, 鳥類が重要な役割を果たしていることが判明した。
抄録全体を表示