日本緑化工学会誌
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18 巻, 3 号
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  • 土壌膨軟化が生育に及ぼす効果および光合成速度からみた活力評価
    増田 拓朗, 守屋 均, 村上 昌代
    1992 年 18 巻 3 号 p. 145-153
    発行日: 1993/02/01
    公開日: 2011/06/07
    ジャーナル フリー
    坂出緩衝緑地に植栽されているクスノキを対象に調査を行い, 既報において, 緻密な固結土層が根系発達を制限していること, 根系発達の貧弱な個体はとくに夏季の乾燥時に光合成速度および蒸散速度が著しく低下することを報告した。その後, これらの植栽木の根元周囲の土壌改良 (膨軟化) が行われたので追跡調査を行い, その効果を検討した.調査対象木は調査木-1と調査木-2の2個体である.
    前回の調査では, 両調査木の間の夏季の光合成速度に差がみられたが, 今回の調査では差がなくなっており, また両調査木とも前回よりも高い飽和光合成速度を示し, 土壌膨軟化の効果が現れていることが推察された.
    両調査木の前回および今回のデータとの比較のために測定した栗林公園および香川大学農学部構内の調査木のデータをもとに飽和光合成速度の季節変化を調べたところ, 7-10月の飽和光合成速度は10-15μmol/m2/sを示すが, 土壌固結による根系発達不良あるいは乾燥など何らかのストレスがかかっている場合にはこれよりも低い値を示すことが認められた
    気孔コンダクタンスと蒸散速度の関係および蒸散効率 (単位蒸散量あたりの光合成量) は季節とともに変化しており, 5-8月の乾燥は他の季節の乾燥に比べてクスノキの光合成活動にとくに大きな影響を与えることが示唆された.
  • 真鍋 徹, 山本 進一, 千葉 喬三
    1992 年 18 巻 3 号 p. 154-161
    発行日: 1993/02/01
    公開日: 2011/06/07
    ジャーナル フリー
    二次林におけるピサカキ種子の散布特性を把握するため, 岡山市のコナラ二次林に設定した10m×10mのプロットに, シードトラップを系統的に25個設置し.採集された種子には, 果皮に含まれて落下したタイプと, 鳥類により散布された (果皮に含まれず落下した) タイプが存在した。全落下種子の約75%は, 鳥類により散布されたものであった。鳥類により散布された種子は, 全トラップで検出された.一方, ピサカキの結実個体から離れていたが, 漿果を生産していた他樹種に近接していたトラップでは, 鳥類により散布された種子が多数採集されることがあった.したがって, ピサカキの種子散布パターンは, 植物群集の組成や構造および鳥類の採餌行動に影響されるものと思われた。
    上記の落下形態の相違による種子発芽の違いを検討するため, 果皮に含まれた種子と果皮から取り出した種子を用い, 発芽試験を行った.果皮がない場合, 37%の種子が発芽したが, 果皮がある場合, 発芽できた種子はほとんどなかった.したがって, 果皮に含まれて落下した種子は, 次年度の実生の加入には貢献できないものと考えられた。このように, 本コナラ二次林でのピサカキ個体群の維持には, 鳥類が重要な役割を果たしていることが判明した。
  • 森本 幸裕
    1992 年 18 巻 3 号 p. 162-167
    発行日: 1993/02/01
    公開日: 2011/02/09
    ジャーナル フリー
  • 幸喜 善福, 仲田 栄二
    1992 年 18 巻 3 号 p. 168-175
    発行日: 1993/02/01
    公開日: 2011/02/09
    ジャーナル フリー
  • 高谷 精二, 河口 智志
    1992 年 18 巻 3 号 p. 176-181
    発行日: 1993/02/01
    公開日: 2011/02/09
    ジャーナル フリー
    九州の東岸部, 宮崎県の宮崎市から延岡市までは, ほぼ直線状の海岸線が約70kmにわたってのびている.この海岸には, 江戸時代より植林された主にクロマツよりなる潮害防備保安林が存在する.宮崎市の一ツ葉海岸はその一部で保安林の面積は697haあり, 林帯の幅は一ツ葉地区では最大で約2kmである.
    一ツ葉有料道路はこの保安林の中につくられ, 国道10号線のバイパスとしての機能の他, 太平洋を一望できることから観光目的も期待された.このため道路は片側2車線で, 中央分離帯や歩道にはワシントニアパーム, シャリンバイなどが植栽され景観にも十分配慮されている.しかし道路の植栽木は, 供用開始後数年にして矮小化や枯死などの被害が目だちはじめた.当初これらの現象は道路が海岸部にあることから, 塩害と考えられていたが, 1984年著者らが行った調査の結果飛砂害であることがわかった.1986年には海側へ飛砂防止のためのクロマツが植栽されたが, 飛砂の被害はなくならず, 新しくつくられた林帯の前面には, 新たな砂丘が形成され飛砂源になっていることがわかった.
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