日本緑化工学会誌
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40 巻, 3 号
3号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
特集
  • 金丸 拓央, 澤田 佳宏, 山本 聡, 藤原 道郎, 大藪 崇司, 梅原 徹
    原稿種別: 論文
    2015 年40 巻3 号 p. 437-445
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/04/19
    ジャーナル フリー
    オオフサモは主に関東以西の各地で水路の閉塞や在来種の圧迫などの問題を引き起こしており,特定外来生物に指定されている。近年,各地でオオフサモの駆除が行われているが,どの事例でも駆除後にオオフサモが再繁茂し,根絶できていない。本研究では,オオフサモの根絶手法を検討するため,オオフサモの生育状況調査,室内での遮光実験,野外での駆除試験をおこなった。生育状況調査の結果,オオフサモはため池全面を高被度で覆っていたが,定着しているのは水深の浅い水際部だけで,水深が 30 cmを超える場所には生えていなかった。室内での遮光実験の結果,長さ約 20 cmのオオフサモの苗は,遮光期間が長くなるにつれて主茎の上部から枯れ下がり,短くなっていった。遮光 158日目にはまだ生残個体があったが,遮光 197日目には生残個体は確認されなかった。野外での駆除試験の結果,底泥剥ぎ取りと遮光を併用した場合に限り,駆除後にオオフサモが再生しなかった。これは,大部分の根茎断片が底泥剥ぎ取りによって除去され,残された少数の断片が遮光によって枯死したためと考えられる。底泥剥ぎ取りと遮光を併用すれば,オオフサモを局所的には根絶させられる可能性がある。
  • 崎尾 均, 川西 基博, 比嘉 基紀, 崎尾 萌
    原稿種別: 論文
    2015 年40 巻3 号 p. 446-450
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/04/19
    ジャーナル フリー
    外来樹種ハリエンジュの除去方法を検討するために,巻き枯らし(環状剥皮) 処理を行い,9年間に渡って調査を行った。巻き枯らし後,地上部の幹や水平根から萌芽が発生したが,伐採と比較して根萌芽の発生量は少なかった。萌芽の除去の回数を検討した結果,1年間に 2回以上行えばハリエンジュを枯死させることができると考えられた。また,ハリエンジュは水平根によって個体間で接続している場合があるため,林分全体の個体に対して巻き枯らしを行うことで,効果的に枯死させることができると予想された。以上の結果から,巻き枯らしはハリエンジュの除去に有効な手段であることが示された。
  • 比嘉 基紀, 川西 基博, 米林 仲, 崎尾 均
    原稿種別: 論文
    2015 年40 巻3 号 p. 451-456
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/04/19
    ジャーナル フリー
    日本の主要河川では,侵略的外来種ハリエンジュの分布拡大が問題となっている。本研究では,埼玉県荒川河川敷のハリエンジュ若齢林の伐採跡地で刈り取り試験を行い,本種の刈り取りによる管理について検討した。2007年 1月に伐採跡地に刈り取り頻度 (年 1~3回) の異なる調査区を 10個設置した。5年間試験を行い,処理間で萌芽再生量の経年変化を比較した。年 1回処理区では開始翌年にすべての調査区で萌芽再生量が増大した。3年目以降は,萌芽再生量は減少傾向にあったが,初年度と大きな差は認められなかった。一方,年 2,3回処理区では,開始翌年から萌芽再生量の減少が認められたことから,刈り取りを継続することで萌芽再生量は抑制できると考えられる。萌芽再生量の減少率をもとに萌芽再生量が 0.1 kg/100 m2となるまでの年数を推定した結果,年 2回以上の刈り取り区では 6~8年間であった。しかし,調査地周辺は明るく開けており,刈り取りを停止すると萌芽が再生する可能性がある。このため,実際にハリエンジュを枯死させるためには作業をさらに数年程度継続する必要があると推察される。
  • 菊地 賢, 金指 あや子, 大曽根 陽子, 澤田 與之, 野村 勝重
    原稿種別: 短報
    2015 年40 巻3 号 p. 457-464
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/04/19
    ジャーナル フリー
    ハナノキは,東海丘陵地域に生育する落葉高木で,絶滅危惧II類に指定されている絶滅危惧種であるが,自生地域では街路樹としてよく植栽されている。こうした植栽木の中に北米原産の近縁種アメリカハナノキとみられる個体が混入し,一部で実生が定着している実態が明らかとなった。近縁外来種は,競争だけでなく,浸透性交雑や繁殖阻害のように生殖を介しても影響を与えるため,在来種の存続に深刻な影響を与える可能性がある。そこで外来種を同定するための簡便な種識別手法の開発を試みたところ,葉の形態的指標である LDIは,種間で有意差が見られたものの識別手法としては有効とはいえなかったが,葉緑体遺伝マーカーは種の識別に有用であった。さらに生理生態特性の解析から,アメリカハナノキは暗条件下でハナノキより高い光合成速度を示すこと,さらに,ハナノキとアメリカハナノキとが交雑可能であることが明らかとなり,アメリカハナノキの侵入可能性が示された。今後,アメリカハナノキの侵入拡大を未然に防除するために,早急に植栽混入の現状や流通経路を究明し,生物学的侵入リスクを生態・遺伝・生理等の面から評価する必要がある。
  • 崎尾 均
    原稿種別: 総説
    2015 年40 巻3 号 p. 465-471
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/04/19
    ジャーナル フリー
    ハリエンジュは日本に導入されてから,山地砂防,海岸林や鉱山煙害地の緑化を目的として植栽されてきた。近年,これらのハリエンジュは河川流域を中心に分布を広げ,河川生態系に大きな影響を与えている。ハリエンジュの分布拡大には生活史特性が大きく関わっている。種子には休眠種子と散布後すぐに発芽できる非休眠種子がある。上流域のハリエンジュから散布された種子は洪水によって中下流域に散布され,新たに出現した河川の砂礫地で発芽し定着する。一旦定着したハリエンジュの実生の生長速度は早く,数年で開花結実する。この速い生長速度は高い光合成能力に依存している。ハリエンジュの実生は急速に伸長した水平根から根萌芽を発生させ分布を拡大している。このように,日本に導入されたハリエンジュは,その特異的な生活史特性によって急速に河川流域に分布を拡大してきた。
  • 日置 佳之, 岩永 史子, 山本 福壽
    原稿種別: 総説
    2015 年40 巻3 号 p. 472-478
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/04/19
    ジャーナル フリー
    一般に侵略的外来木本種であるとされるイタチハギ (Amorpha fruticosa L.) ,ナンキンハゼ ( Triadica sebifera (L.) Small) の 2種について既往研究のレビューを行った。イタチハギは北米大陸北東部原産の落葉低木で,法面緑化に使用されたものが半永続的群落を形成して,そこから河川沿いに逸出し,北海道から沖縄に至る全国の河川で分布を拡げていた。また,法面で実施された皆伐・薬剤塗布による駆除実験は,1年目は効果があったように見えたものの,その後,群落が回復したため,駆除には継続的な刈取り等が必要と考えられた。本種に Pheloungのモデルが適用された結果は「導入不可」,また John and Lindaのモデルが適用された結果は「高い侵略性がある」という評価であった。ナンキンハゼは中国南部原産の鳥散布型の小高木で,18世紀に観賞用,あるいは油脂の生産用として日本に導入された。近年,ナンキンハゼは河川敷,開放空間,あるいは森林内のギャップに分布域を広げている。例えば,ニホンジカ密度が極度に高い奈良市の春日山原始林や兵庫県の淡路島では,ニホンジカの不嗜好性植物である本樹種が急速に分布域を広げている。現在,全国的にナラ枯れが広がり,跡地の植生回復が課題となっているが,暖温帯のニホンジカ密度が高い地域ではこれらの相互効果によるナンキンハゼの森林への急速な侵入が危惧される。
  • 岩永 史子, 崎尾 均, 山本 福壽
    原稿種別: 総説
    2015 年40 巻3 号 p. 479-484
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/04/19
    ジャーナル フリー
    ナンキンハゼ (Triadica sebifera (L.) Small) は中国中南部原産の落葉高木で,アメリカ東南部の湿地林・低地林で分布域拡大が著しい。本種の導入は 1900年代初期に始まり,蝋や脂質の生産や用材としての利用を目的として行われた。アメリカ東南部低地域は 18世紀後半からの人為的な環境改変や経済活動の影響を受けて,森林面積の減少や劣化が顕著である。近年のナンキンハゼを中心とした外来種の分布拡大が,土壌改変や在来植物の生育阻害をもたらし,在来生態系と景観の保全を妨げる要因になるとして管理の対象となっている。ナンキンハゼは生育適地が幅広く,高い繁殖力と旺盛な成長により単一群落を形成する。除草剤や,伐採による管理が困難なことから,侵入初期に駆除することが重要とされる。主要な分布制限要因は低温とされるが,将来的な気候変動の影響を受けて,ナンキンハゼの分布域が拡大することが危惧されている。本総説では,アメリカ東南部で行われている外来種管理について,ナンキンハゼの生育特性の概説と併せて紹介する。また,東南部低地林におけるナンキンハゼの分布域拡大に寄与する生態的特性や,低湿地特有の環境要因とナンキンハゼのストレス耐性特性について,センダンとの比較を通じて紹介する。
特集
技術報告
  • 堀田 佳那, 石井 弘明, 黒田 慶子
    原稿種別: 技術報告
    2015 年40 巻3 号 p. 505-507
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/04/19
    ジャーナル フリー
    アーバンフォレストリーは,都市緑地および周辺の天然林を連続した生態系として持続的に管理する都市型森林管理である。本稿では, 2013~14年に行われたアーバンフォレストリーに関する 2つの国際学会に共通するテーマである都市緑地における生物多様性について,欧米の動向を紹介する。都市緑地において多様な樹種を植栽することは,生物多様性の創出だけでなく,伝染病や害虫被害のリスクを分散・低下させ,都市林の安定的な維持管理につながる。植栽樹種を選定する際は,種の由来(外来種・在来種) だけでなく,多様性や病害虫への抵抗性,持続可能性などといった,実用性で判断するのが現実的である。日本においても,都市緑地とかつての里山を含む都市近郊林を有機的に統合し,持続的に管理していくことによって,天然林や植栽林など,様々な由来の緑地を含む日本型アーバンフォレストが創生され,豊かな地域生態系が実現すると考えられる。
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