1974年に富士スバルライン(山梨県)で行われた,わが国初の厚層基材吹付工(植生基材吹付工)の試験施工地を紹介する。この試験施工は,東興建設株式会社(当時)がON吹付緑化工法の開発を目的に実施したもので,標高2,020 mの高標高地において外来牧草類と在来木本類の混播が行われた。これまで施工後の植生の経年変化に関する報告はなされておらず,残された写真を見ると,施工9年後時点で外来草本類が優占しており,その状態がしばらく持続したと思われる。その後は,約27年後時点で木本植物の混生が認められ,約48年後の追跡調査時には,開発の痕跡がわからないまで自然回復が進んでいることを確認した。
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