日本食品微生物学会雑誌
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21 巻, 1 号
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  • 小熊 恵二
    2004 年 21 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 2004/04/15
    公開日: 2010/07/12
    ジャーナル フリー
  • 見えてきたヒト腸内細菌叢の全貌
    辮野 義己, 林 秀謙, 坂本 光央
    2004 年 21 巻 1 号 p. 8-13
    発行日: 2004/04/15
    公開日: 2010/07/12
    ジャーナル フリー
  • 工藤 由起子, 渡井 正俊, 丹野 憲二, 砂田 亜津子, 斉藤 典子, 熊谷 進, 小沼 博隆
    2004 年 21 巻 1 号 p. 14-22
    発行日: 2004/04/15
    公開日: 2010/07/12
    ジャーナル フリー
    カイワレ大根, クレスおよびアルファルファの種子を腸管出血性大腸菌O157 (以下O157) またはサルモネラで汚染した後に4℃で8ヵ月間保存した.種子10g当たり104cfuで汚染した場合, サルモネラは全種類の種子において, O157はクレスにおいて8ヵ月間汚染が維持された.これらの種子が発芽したときの可食部からは高菌数の汚染菌が検出された.また, 種子10g当たり102cfuで汚染した場合, O157は保存の間にカイワレ大根およびアルファルファにおいて著しく菌数が減少しほとんど検出限界以下に至ったが, 発芽時には菌が増殖し可食部から菌が検出された.サルモネラは8ヵ月まで保存種子から検出され, 発芽時には可食部から高菌数の汚染菌が検出された.これらのことから, O157およびサルモネラは汚染種子において長期間生存することが可能であり, その種子からの発芽野菜は汚染されていることが示された.さらに, O157およびサルモネラは種子の浸漬水中において増殖した.電子顕微鏡下での観察によって短時間の浸漬によって種子表面の物質が除去されていることが認められ, この物質は主に糖質であることが分析によって判明した.これらのことから, 種子の発芽における菌の増殖には種子の表面の糖質が関与していることが示された.
  • 宮原 美知子, 後藤 公吉, 斉藤 章暢, 金子 誠二, 増田 高志, 長谷川 順子, 仁科 徳啓, 小沼 博隆
    2004 年 21 巻 1 号 p. 23-29
    発行日: 2004/04/15
    公開日: 2011/02/25
    ジャーナル フリー
    最近野菜に関わる2次汚染による食中毒事件発生が多い.この発生防止策を考えるための知見を得る目的で, 腸管出血性大腸菌O157 (O157) と2種サルモネラ [Salmonella Infantis (SI) とSalmonella Enteritidis (SE)] の増殖挙動について接種実験による検討を行った.1.滅菌精製水 (DW), 生理食塩液 (PS) とトリプトソイ培養液 (TSB) 中における25, 30と35℃ の各保存温度と保存時間2, 4, 6と8時間での接種後保存実験: 3種菌ともDWやPS中に保存しても, 急激な菌数減少は起こさず, 25~35℃, 8時間保存でもほぼ接種菌数を維持していた.TSB培養液中30℃ 以上8時間の保存では約101~104倍の菌数増殖があった.2.野菜滲出液中でのO157とSIの接種後保存実験: 8種類の野菜―ホウレン草, レタス, キュウリ, 大根, キャベツ, セロリ, カブおよびネギの滲出液での増殖性を検討した結果, O157はネギで減少し, キャベツで増殖抑制傾向を示した.それ以外の野菜では盛んに増殖し, TSBでの保存と同等の増殖性を示した.SIでは, セロリ, カブ, ネギで減少し, キャベツで増殖抑制傾向を示し, 他の野菜4種は盛んな増殖を示した.3.野菜ゆで汁での2種サルモネラの接種後保存実験: SEとSIでは菌の増殖挙動に差異が見られた.ホウレン草, チンゲン菜とキャベツのゆで汁への接種実験では, SEですべての野菜で増殖し, SIはホウレン草では増殖したが, チンゲン菜とキャベツでは増殖抑制傾向が見られた.
  • 八柳 潤, 齊藤 志保子, 宮島 嘉道, 原田 誠三郎, 鈴木 紀行, 大友 良光, 熊谷 学, 齋藤 幸一, 佐藤 卓, 菅原 喜弘, 小 ...
    2004 年 21 巻 1 号 p. 30-37
    発行日: 2004/04/15
    公開日: 2011/02/25
    ジャーナル フリー
    東北地方における腸炎ビブリオ散発下痢症患者の発生状況, 各県沿岸の海水・海泥におけるTDHおよびTRH産生性腸炎ビブリオの分布, 患者と環境分離株の分子疫学的性状の比較・検討を行い, 以下の成績を得た.
    1. 青森県, 秋田県, 山形県では散発下痢症患者の発生は7月25日から8月21日に集中する傾向が見られ, 岩手県と福島県においても散発下痢症患者の発生は8月に集中していた.
    2. 青森県, 秋田県, 宮城県において, 7月中旬に海水温が急激に上昇し, その約2週間後に散発下痢症患者発生数が増加するという傾向が見られ, 海水温が本菌散発下痢症患者発生の指標となりうる可能性が示された.また, いずれの県においても腸炎ビブリオO3: K6散発下痢症患者初発生後, 5週間以内に集団食中毒が発生したことから, 海水温の変動と散発下痢症患者発生が腸炎ビブリオ集団食中毒発生の指標となる可能性が示された.
    3. 腸炎ビブリオ散発下痢症患者分離菌株計l, 265株のうち, O3: K6が86.8%を占め, O4: K68が3.2%, O1: K56が1.4%, その他の血清型はいずれも1%未満であった.
    4. 宮城県で海泥1検体から血清型O3: KUTtrh陽性, 福島県で海泥1検体から血清型O3: K6tdh陽性とO3: K7tdh陽性が分離され, 東北地方の沿岸海泥にtdh, trh陽性腸炎ビブリオが分布していることが証明された.
    5. 腸炎ビブリオO3: K6tdh陽性菌はいずれも非常に類似したPFGEパターンを示したが, 約300kbのバンドの有無によりA型とB型に分けることができた.さらに, 各型の中で見られたその他のバンドに違いから, A類似型, B類似型に区分した.
    6. 青森県, 福島県, 秋田県, 山形県の散発下痢症患者由来株にはA型, またはA類似型に型別される株が多く, 岩手県ではB型, およびB類似型の株が多い傾向が見られ, PFGE型の分布に地域的特徴が見られた.
    7. 福島県で海泥から分離された血清型O3: K6tdh陽性株は福島県の散発下痢症, 集団食中毒事例分離株に多く見られるA型であった.
    以上の結果から, 今後, さらに環境におけるtdhあるいはtrh保有腸炎ビブリオの分布実態や消長を解明することが, tdhまたはtrh保有腸炎ビブリオによる食品汚染の発生機構など, 腸炎ビブリオ感染疫学を解明する上で重要と考えられた.
  • 山口 進康, 笹田 誠, 那須 正夫
    2004 年 21 巻 1 号 p. 38-43
    発行日: 2004/04/15
    公開日: 2010/07/12
    ジャーナル フリー
    飲食品の衛生微生物管理においては, 有害な微生物の有無を迅速に確認すると同時に, その生死を的確に知ることが重要である.そこで, 飲用水の微生物管理を目的として, 蛍光抗体-CTC二重染色法による大腸菌O157の迅速・簡便な定量法を検討した.市販のナチュラルミネラルウォーターに大腸菌O157を添加し, FITC標識抗大腸菌O157抗体および呼吸している細胞の検出に用いられる蛍光染色剤CTCによる二重染色法により, その特異的な検出を行った.微生物計数には蛍光顕微鏡およびフローサイトメーターを用いた.呼吸している大腸菌O157は蛍光抗体由来の緑色蛍光とCTC由来の赤色蛍光を同時に発し, 他の属種の細菌や呼吸していない細菌と明確に区別することができた.フローサイトメトリーにより求めた大腸菌量は, 添加した大腸菌量と高い相関性を示した.本方法は染色から解析終了までに要する時間が2時間以内であり, 使用する蛍光抗体の種類を検出対象に応じて変えることによって, 他の細菌種の定量も可能である.したがって, 飲用水の微生物モニタリングに有用であると考えられた.
  • 増田 高志, 有田 世乃, 川森 文彦, 三輪 憲永, 川村 朝子, 寺井 克哉, 秋山 眞人, 仁科 徳啓
    2004 年 21 巻 1 号 p. 44-51
    発行日: 2004/04/15
    公開日: 2011/07/04
    ジャーナル フリー
    1. 静岡県における過去16年間 (1987~2002年) の患者総数は358名であり, 1997年が67名と最も多かった.O群型で分けるとO157による患者が250名と最も多く, 以下O26による患者が69名, O111による患者が20名の順であった.集団感染事例は3件あり, 2000年に発生した保育園におけるO26:H11・Stx1による患者数21名の事例が最大であった.また, 家族内感染事例が48件 (患者数128名) あった.
    2. ヒト由来STEC分離株はO157:H7・Stx1/2産生株が130株, O157:H7・Stx2産生株が80株, O26:H11・Stx1産生株が51株と主要な分離株で74.4%を占めた.
    3. O157で231株中71株, O26で66株中35株, O111で13株中7株, その他で7株中3株が12薬剤のいずれかに耐性を示した.これらは12の耐性パターンに分けられ, SM/TC2剤耐性が35株, ABPC/SM/TC3剤耐性が21株, SM単独耐性が20株の順で, 4薬剤以上に耐性を示した株が7株みられた.
    4. RDNC9株を除く222株のSTEC O157が27のファージ型に分けられ, 2型と32株が多かった.また, 年次別推移では1997年に32型が53.3%を占めたのに対して, 1997年以外は分離頻度の高いファージ型は異なったが2型, 14型は毎年分離された.同一の集団感染事例や家族内感染事例からのSTEC O157分離株はすべて同一のファージ型であり, ファージ型別は疫学解析の手段として十分活用できることが示された.
  • 岩井 和也, 岸本 憲明, 吉岡 佐知子, 藤田 藤樹夫
    2004 年 21 巻 1 号 p. 52-61
    発行日: 2004/04/15
    公開日: 2010/07/12
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    Asoergillus fumigatus No. 232の液体培養上清から, イオン交換クロマトグラフィー (SP-Sephadex G-50), ゲルろ過クロマトグラフィー (Sephadex G-100) によって, arabinogalactan3-β-D-galactanohydrolase (EC3 .2.1.90) を電気泳動的に均一になるまで精製した.本酵素の比活性は3.57unit/mg protein, 分子量は86kDaであった.また本酵素はpH4.6, 45℃ のとき最大活性を示し, pH4.0, 50℃ 以下で安定であった.酵素活性はHg2+イオンにより完全に阻害された・本酵素のミカエリス定数 (Km) は, コーヒー豆アラビノガラクタンが基質のとき0.89mg/ml, カラマツアラビノガラクタンが基質のとき4.74mg/mlで, 最大反応速度 (Vmax) は, コーヒー豆アラビノガラクタンが基質のとき3.16μmol/min/mg protein, カラマツアラビノガラクタンが基質のとき6.54μmol/min/mg proteinであった.
    本酵素は, β- (1→3) やα- (1→3) 結合を有する多糖類に対し分解活性を有し, コーヒー豆アラビノガラクタン, カラマツアラビノガラクタンを酵素反応の初期段階からアラビノース, ガラクトース, ガラクトースの2量体に分解したことから, 本酵素はexo型の分解様式をもっものと思われた.
  • 2000~2003年におけるサルモネラ属菌検出状況
    板垣 道代, 白木 豊, 山田 万希子, 所 光男, 河合 直樹, 長井 章, 水谷 芳昭, 末松 寛之, 森 勝一, 寺地 真弓, 松川 ...
    2004 年 21 巻 1 号 p. 62-68
    発行日: 2004/04/15
    公開日: 2010/07/12
    ジャーナル フリー
    筆者らは, diffuse outbreakを早期に探知し, 被害の拡大を防ぐことを目的に, 岐阜県下においてサルモネラ症発生動向調査システムを構築, 2000年4月から運用を開始し, 次のような成績を得た.
    3年間に集まった菌株のうち, 食中毒関連株を除いた763株について解析したところ, 最も多く検出された血清型は本邦では報告の少ないS.Saintpaul (173株) であった.Diffuse outbreakの発生を疑ったが汚染源は解明されず, また, 夏期を中心に3年間にわたり高頻度に検出されたことから, 以前から常在していたものが, 本調査により顕在化したと考えられた.
    S.Agonaは, 2000年度は検出数1株であったものが, 2001年度には中濃地域を中心に, 散発下痢症患者および健康保菌者から39株が分離され, 大幅に増加した.分離株のPFGEにおいて, 2001年度の分離株の約80%が同一パターンを示し, diffuse outbreakがあった可能性が示唆された.患者は小児中心であり, その傾向は他の血清型においても認められた.
  • 篠田 純男
    2004 年 21 巻 1 号 p. 69-73
    発行日: 2004/04/15
    公開日: 2010/07/12
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