知能と情報
Online ISSN : 1881-7203
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ISSN-L : 1347-7986
35 巻, 2 号
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目次
巻 頭 言
特集: 「データサイエンスと知識創発」
報 告
書 評
用語解説
会告
学会から
編集後記
特集論文:データサイエンスと知識創発
原著論文
  • 安尾 萌, 河野 雪乃, 山西 良典, 松下 光範
    原稿種別: 原著論文
    2023 年 35 巻 2 号 p. 645-654
    発行日: 2023/05/15
    公開日: 2023/05/15
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,化粧のプロセスを紹介する動画における特定の工程を検索可能にすることである.近年,化粧方法を紹介する動画が化粧を行う際の参考情報として利用されている.現在の化粧動画の検索は,通常の動画検索と同様に動画単位での情報収集が主であり,化粧動画の特定の工程を対象とした検索はできない.この課題を解決するには,化粧に関する専門用語を考慮した語彙セットを構築し,化粧特有の文脈を考慮した検索結果を獲得可能にする必要がある.本稿では化粧品のレビュー文と化粧動画の発話文を併用した化粧語彙セットを構築し,各情報源における化粧語彙セットの特性を分析した.その結果,同一のラベルが付与されたセンテンスであっても,商品レビューからは化粧品の持ち運びに関する内容が抽出される一方,化粧方法を紹介する動画からは化粧品の使用による変化の情報が抽出されるなど,データソース間で取得可能な情報が異なることが確認された.

  • 新福 一貴, 笹嶋 宗彦
    原稿種別: 原著論文
    2023 年 35 巻 2 号 p. 655-667
    発行日: 2023/05/15
    公開日: 2023/05/15
    ジャーナル フリー

    顧客満足度とは企業が提供するサービスや商品に対する顧客の満足度を表す指標であり,顧客満足度を向上させることは企業にとって最も重要な課題の1つである.しかし,最も投資対効果の高い顧客満足度向上方法を発見することは容易ではない.なぜなら,サービスや商品は,それ自体の品質や価格だけではなく,提供のされ方や提供される店の雰囲気,利用した時に得られる満足感など,多くの軸から評価されるものであり,どの評価軸における課題を解決することが顧客満足度向上につながるのかを見極めることは,一般に困難である.評価軸には,「この企業に対する満足度」のような企業に対する総合的な満足度を問う質問項目に対する回答である総合満足度と,総合満足度を判断する根拠となる,個々の質問項目への回答である個別項目満足度が含まれる.これらから課題の選択を支援するための可視化手法については従来から研究が行われており,総合満足度とそれに対する個別項目の重要度を相関関係より算出し,可視化するCS(Customer Satisfaction)ポートフォリオ分析やIPA(Importance-Performance Analysis)と呼ばれる方法がある.しかし,既存研究は,判断の際に重要である,競合企業との関係性についての可視化が不十分である.そこで本論文では,カフェ,ドラッグストア,保険販売業,など自社企業が所属する業種に含まれる,複数企業を対象に行った個別項目と総合満足度のアンケートを入力として,自社企業に対する顧客満足度が,業種の中でどのような位置にあるかを可視化するツールCSIMGを提案する.CSIMGは,従来研究が可視化してきた,自社サービスや商品の総合満足度と個別項目の関係だけではなく,各個別項目の評価値が,同業種の他社と合わせてどの程度ばらついているか,言い換えれば,改善の余地があるか否かを可視化することで,経営者が,どの項目に優先して投資すべきか判断することを支援する.4つの業界アンケートを対象に,CSIMGの出力と,人間の経営アドバイスの専門家である中小企業診断士の判断とを比較した結果,アンケート回答者である一般消費者が,サービスや商品を自分で複数社利用し比較できるような業種については,CSIMGが,人間の専門家と近い評価結果を出力できる可能性があることを示すことができた.

ショートノート
  • 高間 康史, 加藤 大登, 柴田 祐樹
    原稿種別: ショートノート
    2023 年 35 巻 2 号 p. 668-672
    発行日: 2023/05/15
    公開日: 2023/05/15
    ジャーナル フリー

    本論文では,関連文探索に基づく情報収集支援のアプローチを提案する.単語検索に基づく情報収集では,検索結果上位のみを確認したり,適切なクエリを思いつかなかったりすることが発生し,収集情報に偏りが生じる可能性がある.この問題に対し,提案アプローチでは,検索結果から関連単語を自動抽出し,これを用いて生成した要約をユーザに提示する.プロトタイプインタフェースを構築して一般的な単語検索に基づく情報収集との比較実験を行った結果,単語検索では情報探索範囲の偏りが見られるが,関連文探索ではその偏りを軽減する可能性が示されたことを報告する.

一般論文
ショートノート
  • 小林 陸門, アイエドゥン エマヌエル, 徳丸 正孝
    原稿種別: ショートノート
    2023 年 35 巻 2 号 p. 673-677
    発行日: 2023/05/15
    公開日: 2023/05/15
    ジャーナル フリー

    本研究では,運動の継続意欲を促すリズム補正システムを提案する.近年,介護予防のアプローチとして,音楽を用いた運動が注目されている.しかし,音楽のリズムに乗って運動することが困難な高齢者は,音楽のリズムと自身の動作にズレが大きく生じてしまうことで運動を楽しく行うことができず,運動の継続意欲が低下してしまうことが考えられる.そこで,ユーザのそれぞれの特性に合わせてリズムのズレを補正するシステムを構築し,システムの有効性を検証した.実験結果から,本システムがユーザに「リズムに乗れている」という感覚を与え,運動の継続意欲を向上させる可能性があることが確認できた.

  • 工藤 卓, 越智 健太
    原稿種別: ショートノート
    2023 年 35 巻 2 号 p. 678-682
    発行日: 2023/05/15
    公開日: 2023/05/15
    ジャーナル フリー

    過誤記憶とは「起こってもいないことを覚えていたり,起こったこととは全く違うことを覚えていたりする」現象である.本研究では,記憶に関わる情報を共有する他者との関係性が過誤記憶の生成に与える影響を解析した.実験参加者はDRMパラダイムに基づいて選定された単語を記憶し,その単語について,オンライン会議システムを介して音声合成ソフトによるエージェントと情報の共有を行なった.実験の結果,明示した信頼度と実験参加者が体感した信頼度が一致した場合に過誤記憶の生成率が上昇し,女性エージェントよりも男性エージェントとの会話において過誤記憶の生成率が高い傾向が示唆された.また,実験参加者がエージェントに礼を行なうことで過誤記憶の生成率が上昇した.また,人ではなくエージェントと情報共有することは過誤記憶の生成には抑制的に働く可能性が示唆された.

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