三角形メンバシップ関数の一般形である台形型メンバシップ関数を採用したファジィ推論(台形型ファジィ推論)の汎用精度は高い.また,ファジィ推論を用いた学習型ファジィクラスタリングは,学習によりクラス識別領域を調整できるので,データ投入ごとに認識精度を高めることができる.学習では,前件部のメンバシップ関数と後件部のシングルトン実数値を調整する.しかし,ファジィ推論を実際の問題に適用する際に,例えば,メンバシップ関数とシングルトンの学習係数をどのように決定して,初期値をどのように設定するか,また,前件部と後件部のどちらを先に学習すべきかなど,ファジィルールの設計についてはあまり議論されているとはいえない.本論文では,ファジィルールのパラメータ調整を単なるチューニング問題として捉えるのではなく,ファジィルールの設計問題として捉え,前件部のメンバシップ関数と後件部のシングルトンの学習係数,それらの初期値の設定方法,後件部と前件部の学習順序について議論する.まず,台形型ファジィ推論を定義し,ファジィルールの調整のための最急降下法の定式化を行う.次に,6種類の初期配置法を提案し,また,5種類の学習順序についても議論する.最後に,数値例を用いた誤差の評価により,これらのハイパーパラメータの設計法について議論する.
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