知能と情報
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32 巻, 4 号
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目次
巻 頭 言
特集 1: 「ラフ集合とデータマイニング~理論から応用まで~」
特集 1 解説
一般解説
特集 2: 「第 24 回曖昧な気持ちに挑むワークショップ選抜論文」
報 告
書 評
用語解説
会 告
学会から
編集後記
特集 1:ラフ集合とデータマイニング~理論から応用まで~
総説論文
  • 酒井 浩, 中田 典規, 和多田 淳三
    原稿種別: 総説論文
    2020 年 32 巻 4 号 p. 747-758
    発行日: 2020/08/15
    公開日: 2020/08/15
    ジャーナル フリー

    この論文では,表データにおける情報の不完全性と表データにおけるルール生成に注目し,今までに提案された重要な研究をラフ集合とデータマイニングの観点から解説する.また,著者らが提案している「ラフ集合非決定情報解析」と「NIS-アプリオリシステム」について述べ,不完全な情報表に基づくルール生成を概説する.ラフ集合非決定情報解析は可能世界意味論に基づくラフ集合を提案し,情報の不完全性を考慮したルール生成問題に一解法を与えている.この解法アルゴリズムはNIS-アプリオリアルゴリズムと名付けられ,NIS-アプリオリシステムとしてSQL言語により実装されている.NIS-アプリオリアルゴリズムをコアアルゴリズムにするラフ集合非決定情報解析の新たな可能性にも言及する.

原著論文
  • 工藤 康生, 高橋 智, 村井 哲也
    原稿種別: 原著論文
    2020 年 32 巻 4 号 p. 759-767
    発行日: 2020/08/15
    公開日: 2020/08/15
    ジャーナル フリー

    本論文では,高橋らによる大規模な決定表からの擬一般化動的縮約の抽出手法の改良を試みる.高橋らの手法は主に,擬一般化動的縮約の候補の抽出フェーズおよび抽出された候補の確認フェーズの2段階で構成されているが,確認フェーズで用いるパラメータεの適切な事前設定が必要であること,および擬一般化動的縮約となる条件を満たす可能性が低い候補であっても,確認作業を早期に打ち切ることが困難であることなどの課題があった.本論文ではこれらの課題を解決することを目的に,パラメータεの動的更新および二項検定を用いた確認作業の早期打ち切りを導入することで,擬一般化動的縮約の候補の確認作業を改良することを試みる.更に,抽出された擬一般化動的縮約について,表内に存在しないデータに対する頑健性を検証する.

  • 中山 陽太郎, 赤間 世紀, 村井 哲也
    原稿種別: 原著論文
    2020 年 32 巻 4 号 p. 768-777
    発行日: 2020/08/15
    公開日: 2020/08/15
    ジャーナル フリー

    LakemeyerとLevesqueによる認識状況計算 ES では,状況を可能世界とすることで,アクション(行為)を一種の様相として解釈できる.また,エージェントの知識の状態は,アクション後の世界に対する同値関係によって解釈されるため,粒状化に基づく知識表現が可能である.本稿では,アクションを様相として解釈し,状態としての可能世界の粒状化により,認識状況計算に対して粒状推論の適用を試みる.Muraiらにより提唱されたズーム推論を認識的アクションと見なし,状況の粒状化による抽象化と具象化のアクションとしてESに組み込む.またESのモデルとしてラフ集合とBelnapの4値論理に基づく意味解釈との関係を与え,可能世界と4値論理によるESのモデルを示す.

ショートノート
  • 槫松 理樹
    原稿種別: ショートノート
    2020 年 32 巻 4 号 p. 778-781
    発行日: 2020/08/15
    公開日: 2020/08/15
    ジャーナル フリー

    本論文では,可読性の高い文書分類モデルを構築するためにラフセット理論を用いる手法を提案する.本手法では,縮約によって絞り込んだ語句を用い,上近似集合,下近似集合それぞれから抽出した決定ルールと新規文書を照合する.その際,成立した上近似集合からの決定ルールおよび下近似集合からの決定ルールの評価値の最大値の和が最大となる分類を推定結果とする.評価値としては,正確度SI,被覆度CI,リフト値を用いる.専門家の協力のもと,特許公報を題材とした検証の結果,専門家が納得できる決定ルールの抽出に成功するとともに,単純な分類方法よりも高い分類精度を示すことができた.しかし,専門家が納得できたルールは抽出したルールの約25%にとどまり,精度,Kappa係数ともまだ改善の余地がある.また比較対象としたナイーブベイズ分類に対する優位性を示すには至らなかった.今後の課題としては,実験結果を分析し,アルゴリズムを改善することが挙げられる.

特集 2:第 24 回曖昧な気持ちに挑むワークショップ選抜論文
原著論文
  • 福田 亮治, 本田 あおい, 岡崎 悦明
    原稿種別: 原著論文
    2020 年 32 巻 4 号 p. 782-791
    発行日: 2020/08/15
    公開日: 2020/08/15
    ジャーナル フリー

    単調測度に対する非線形積分の中で,単関数による近似を用いたものを分割型積分と総称している.これらには,近似の上下の方向性,対応する集合族の共通部分の有無によりいくつかの種類がある.本稿では,これに係数の符号,和の有限性という視点を増やし,それらの積分を一様収束定理,単調増加/減少収束定理という立場から比較する.我々の対象とする積分では,これらの収束定理は一部のみ成り立つことが多い.どの様な性質がいかなる条件の下成り立つかを詳細に調べることで,非加法的な測度に関する分割型積分の特徴を明らかにしていきたい.

ショートノート
一般論文
原著論文
  • 石原 聖司, 五十嵐 治一
    原稿種別: 原著論文
    2020 年 32 巻 4 号 p. 801-810
    発行日: 2020/08/15
    公開日: 2020/08/15
    ジャーナル フリー

    ファジィ制御ルールによる行動決定のための方策の表現と方策勾配法による強化学習とを融合し,ファジィ制御ルールにおけるルール重みをエピソードあたりの報酬の期待値が極大となるように学習する方式が提案されている.この融合方式が自動車の速度制御の問題へ適用された研究例では,得られた結果の中に良好な解が見つかった一方,速度の望ましくない変動を生じる解も多く含まれていた.一般に,出力値に急な時間変化や振動をもたらす方策は望ましくなく,時間的に滑らかな出力値を与える方策が望ましい事例は多数考えられる.そこで本研究では,学習結果における出力値の急な変動を抑制するための改善策として,重心モデルによる非ファジィ化と時間に関する滑らか拘束項とを導入した目的関数を提案し,この融合方式に関してその場合の学習則を示す.さらに,報酬の与え方による出力値の変動に対する影響についても検討する.自動車の速度制御問題への適用実験の結果,提案した改善法について,出力値の望ましくない時間変動を抑制する効果があることを確認した.報酬関数については,設計の仕方によって学習の結果に悪影響が出る場合のあることを確認した.

  • Motohiro TAKAGI, Masafumi HAGIWARA
    原稿種別: 原著論文
    2020 年 32 巻 4 号 p. 811-820
    発行日: 2020/08/15
    公開日: 2020/08/15
    ジャーナル フリー

    Adversarial examples can be used to exploit vulnerabilities in neural networks and threaten their sensitive applications. Adversarial attacks are evolving daily, and are rapidly rendering defense methods that assume specific attacks obsolete. This paper proposes a new defense method that does not assume a specific adversarial attack, and shows that it can be used efficiently to protect a network from a variety of adversarial attacks. Adversarial perturbations are small values; consequently, an image quality recovery method is considered to be an effective way to remove adversarial perturbations because such a method often includes a smoothing effect. The proposed method, called the denoising-based perturbation removal network (DPRNet), aims to eliminate perturbations generated by an adversarial attack for image classification tasks. DPRNet is an encoder–decoder network that excludes adversarial images during training and can reconstruct a correct image from an adversarial image. To optimize DPRNet’s parameters for eliminating adversarial perturbations, we also propose a new perturbation removal loss (PRloss) metric, which consists of a reconstructed loss and a Kullback–Leibler divergence loss that expresses the class probability distribution difference between an original image and a reconstructed image. To remove adversarial perturbation, the proposed network is trained using various types of distorted images considering the proposed PRloss metric. Thus, DPRNet eliminates image perturbations, allowing the images to be classified easily. We evaluate the proposed method using the MNIST, CIFAR-10, SVHN, and Caltech 101 datasets and show that the proposed defense method invalidates 99.8%, 95.1%, 98.7%, and 96.0% of the adversarial images that are generated by several adversarial attacks in the MNIST, CIFAR-10, SVHN, and Caltech 101 datasets, respectively.

実践研究論文
  • 田中 成典, 山本 雄平, 姜 文渊, 中村 健二, 清尾 直輝, 田中 ちひろ
    原稿種別: 実践研究論文
    2020 年 32 巻 4 号 p. 821-830
    発行日: 2020/08/15
    公開日: 2020/08/15
    ジャーナル フリー

    スポーツにおけるICTの活用として,選手をトラッキングする画像処理の研究が行われている.しかし,アメリカンフットボールなどのフィールド上での選手のオクルージョンが頻発する競技では,選手位置が正確に取得できない.そのため,選手の移動軌跡が分断され,正確なトラッキングが難しいことが課題となっている.そこで,本研究では,複数地点から撮影した映像から得られた移動軌跡を用いて,それらを相互に補完することでオクルージョンに頑強な選手のトラッキング手法を提案する.これにより,GNSSセンサなどのデバイスを相手選手へ装着ができない課題を解決する.

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