規則性を見出しにくいデータを予測する方法に,カオス理論に基づく時系列データの短期予測がある.これは,従来ランダムに推移すると考えられていた時系列データをTakensの埋め込み定理を用いてアトラクタを多次元空間に再構成することにより,短期予測を可能としている.しかし,ランダムプロセスと異なる幾何学的性質を持つ時系列データでも,低次元のカオス性を示さない時系列データをカオスで予測することは困難である.そこで,本研究では,予測するデータに関連する別の時系列データを同時に埋め込むことにより,予測を行いたい時系列データのカオス性を抽出し,予測精度を向上させる.また,ユークリッド距離を考慮したカオス予測手法に対して,そのあいまいな情報を扱うためにファジィ理論を適用する.そして,これらの手法に対して東証日経平均株価を予測するシミュレーションを行い,その有効性を明らかにする.さらに,用いたファジィ理論における前件部メンバーシップ関数の生成のために組み合わせ最適化の手法の一種である遺伝的アルゴリズムを用い,より簡単に予測モデル構築をする.
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