オブジェクト指向ソフトウェア開発において,クラス設計は最も重要な課題である。そのため,クラス設計に対して客観的な評価や予測を与えるためのソフトウェアメトリクスが研究されている。そういったメトリクスによる評価を受けて,設計者や開発者はクラスの設計に変更を加えることもある。しかしそれによって,逆に評価の低いクラスを作り出してしまう恐れもある。それゆえ,そのクラスにおいて重要な位置にある構成要素,すなわちクラスメンバ-メソッドや属性-を把握しておくことは有用であると考えられる。そのようなクラスメンバをクラス構造の複雑さという観点から検出するため,ファジィグラフの連結構造分析法を用いた手法が提案されているが,その有効性についてはこれまで議論されていなかった。本論文では,その手法の有効性を確認するため,多数のクラス設計に対して擬似的な変更を施し,それに伴う複雑さメトリクス値の変化を調べるという実験を行った。その結果,片連結ならびに強連結に関して強化点となっているようなクラスメンバについて,上述の分析法は有効であることが確認された。
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