知能と情報
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21 巻, 1 号
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目次
巻頭言
特集:「知的センシングと知的制御」
解説
特集論文: 知的センシングと知的制御
原著論文
  • 大澤 博隆, 野田 誠人, 大村 廉, 今井 倫太
    2009 年 21 巻 1 号 p. 12-23
    発行日: 2009/02/15
    公開日: 2009/06/18
    ジャーナル フリー
    本研究では,物体に対し擬人的な入出力デバイスを取り付け,物体全体を擬人化し,物体に直接ふれ合いながら情報提示を行なう直接擬人化手法を提案する.このため我々は,対象となる物体に対し,後から検知領域の側面に取り付ける事で,物体の表面に仮想的な接触検知領域を実装する「指示区画検知センサ」を開発した.指示区画検知センサは検知領域の側面に取り付けて二次元平面を検知する事が可能であり,簡易に取り付け可能で,物体の要素を隠さず,人間の手の接触のみに反応した応答が可能となる.本研究では,指示区画検知センサの精度改善のため,ビタビアルゴリズムを用いたユーザの手の指示位置を推定する手法を考案した.これにより,センサから40cmの二次元検知領域内に侵入した人間の手を,平均して80%の精度で検知する事が可能となった.さらに,開発した指示区画検知センサを他の擬人化パーツと連携させ,物体を擬人化した機能説明をおこなった.その結果,直接擬人化手法による情報提示が円滑に行なわれる事が確認できた.
  • 井上 源太, 安信 誠二
    2009 年 21 巻 1 号 p. 24-31
    発行日: 2009/02/15
    公開日: 2009/06/18
    ジャーナル フリー
    二輪車は多入力多出力(MIMO)制御対象であり,初心者にとって運転は難しい.それに対し,熟練ライダは経験に基づく適切な運転知識を持ち,上手く運転することができている.本研究の目的は,熟練ライダの運転知識に基づく知的運転支援を行うことにより,初心者でも熟練ライダと同等の上手い運転ができるようにすることである.知的多入力多出力制御(iMIMOc)方式を応用した知的二輪車運転支援システム(i2DSS:intelligent 2-wheeled vehicle Driving Support System)を用いて,二輪車運転支援を行う.熟練ライダの運転を目標設定と目標追従の2つに機能的に分離し,その中の目標設定の知識を組み込む i2DSS を用いて,適切な目標値をユーザに与える運転支援を行った.初心者を想定した仮想ライダによるシミュレーション実験により,i2DSS による運転支援が初心者向けの二輪車運転支援として有効であることを確認した.また,この運転支援を受けた初心者が,周囲の状況に対応しながら,速度を調整し二輪車を傾けるという熟練ライダと同等の上手い走行を行えることを確認した.
  • 澤勢 一史, 延原 肇
    2009 年 21 巻 1 号 p. 32-40
    発行日: 2009/02/15
    公開日: 2009/06/18
    ジャーナル フリー
    大量の画像情報を束構造として可視化することで,情報の大局の把握および未知の関係構造を発見するための,形式概念分析に基づく束構造可視化システムを提案する.このシステムでは,画像と対応する特徴を示す属性からなるコンテクスト表を作成し,属性の集合の包含関係を順序関係としたコンセプトラティスを得る.本研究では,コンテクスト表作成の際の属性選択の難しさに対応するため,直感的に理解しやすい7つの属性と,インタラクション機能を導入したシステムを提案し,ユーザが理解し易い束構造を得る. 提案システムをJAVAベースのプログラミング言語であるProcessingを用い,計算機(CPU=2.13GHz,MM=2GB)上に構築し,Corel Image Galleryより選定した1000枚の画像群を対象とした可視化実験を行う.5名の被験者によるアンケート調査および得られたコメントに基づき,提案システムによる束構造可視化の有用性を確認する.
  • 宮川 勲, 新井 啓之, 小池 秀樹
    2009 年 21 巻 1 号 p. 41-55
    発行日: 2009/02/15
    公開日: 2009/06/18
    ジャーナル フリー
    荷重値積算による人数推定は,処理コストが低くリアルタイムでの人数計測が可能であるため,画像中の人数を計測する方法として有用である.ただし,その荷重値はカメラパラメータに基づいて算出されるため,事前のカメラキャリブレーション作業が必要となっていた.本論文では,荷重値積算による人数推定の枠組みの中で,荷重値算出に必要なカメラパラメータを遺伝的アルゴリズムにより適応的に調整する方法を提案する.実験では,計算機シミュレーションを使って提案方法の性能を評価し,実画像実験では目視による人数との比較結果を示し,提案方法の有効性を確認する.
  • 織戸 英佑, 宇谷 明秀, 山本 尚生
    2009 年 21 巻 1 号 p. 56-68
    発行日: 2009/02/15
    公開日: 2009/06/18
    ジャーナル フリー
    自然環境観測,希少生物の生態観測,居住空間や工場などの監視や制御,災害時の避難誘導などのアプリケーションを実現(または支援)する手段として,無線センサネットワーク(Wireless Sensor Networks;WSN)への期待が高まっている.WSNでは,一般に電源容量などのリソースに制約のあるセンサノードを観測領域内に多数設置し,各ノードのセンシング情報をノード間の無線通信によってシンクノードまで転送することで,対象領域の状態観測を実現する.このような利用環境の下で,WSNの長期間運用を実現するためには,経路制御(及びデータ収集)の効率性だけでなく,各ノードの負荷分散性やネットワークの構成変化への適応性,さらにネットワーク規模の拡大への拡張性をも有する経路制御方式(またはデータ収集機構)が必要となる.本研究では,これらの要件を満たす方式として,アリの採餌行動に基づく経路制御方式(Ant-based Routing algorithms;AR)に着想を得た発展方式(Pheromone-Oriented Routing Protocol;PORP)を提案する.本論文では,シミュレーションによる評価検証実験を通してPORPの有効性を示すとともに,今後のさらなる発展性についても言及する.
実践研究論文
  • 谷 哲次, 竹内 健史
    2009 年 21 巻 1 号 p. 69-76
    発行日: 2009/02/15
    公開日: 2009/06/18
    ジャーナル フリー
    PID制御は適用が容易で,信頼性の高いフィードバック制御法として広く装置制御に用いられている.しかしながら,スタートアップ,シャットダウン時や原料切替え時などの動特性が大きく変化するようなプロセスに対しては,十分な制御性能が得られないことがある. このような場合,熟練ボードマンは経験に基づいた知識や判断により,PID制御だけでは十分な制御性能が得られない場合において,適切な介入を行うことにより制御性能を継続的に満足させることが可能である. エチレン装置ではデコーキング操作があり,このときプロセスが大きく変動するため,熟練ボードマンはPID制御に対して操作介入してプロセスを整定している.そこで,ボードマンの介入部分をインテリジェントをもつシーケンス制御(知的シーケンス制御)に置換え,知的シーケンス制御と PID制御の複合制御系を開発し,実装置で有効であることを実証した.
  • 谷 哲次, 長迫 透, 藤本 泰成, 山口 亨
    2009 年 21 巻 1 号 p. 77-89
    発行日: 2009/02/15
    公開日: 2009/06/18
    ジャーナル フリー
    多数の高圧設備を備える石油精製プラントにおいて,高圧ガスの流出事故は,2次災害の危険を招く恐れがある.そこで,早期にガス漏洩を検知する手段として,高価な超音波探傷機器を改良した高圧ガス漏洩検知が提案されている.しかし,近年のディジタル技術の発展と漏洩音の周波数帯域を測定できる集音器の組合せ,そして解析技術の研究開発により,比較的安価に,かつ精度良く漏洩を検知できる可能性がでてきた.ガスの漏洩事故が生じた場合,漏洩付近では,定常的な暗騒音に対してその漏洩音が支配的になることから,非日常的な音響状態になる.これまでの研究では,暗騒音データを自己回帰モデルのような数式で記述して逆フィルタを設計し測定した音響データとその逆フィルタ処理後のデータとを比較する手法が開発されている.しかしながら,音響データが非定常である場合は,数式モデルの適合が十分でない理由から漏洩の検知が困難となる.そこで,数式を用いない手法が必要と考えた.本論文では,市販のマイクロフォンを用い,非定常でかつ非線形な時系列データの解析に適したカオス理論を適用して漏洩検知を行う.はじめに模擬的に不燃性ガスを漏洩させ,測定した暗騒音と漏洩音が持つ決定論的性質について確認する.次に,異常診断に特化した評価手法としてカオス情報規範を提案する.そして,このカオス情報規範を導入した高圧ガス漏洩検知システムを開発し,出光興産(株)千葉製油所の改質ガソリン蒸留装置内で不燃性ガスを模擬的に漏洩させた漏洩検知の実証実験を行い,その有効性を検証する.
  • 小林 一行, 御園 祐介, 渡辺 嘉二郎, 大久保 友幸, 栗原 陽介
    2009 年 21 巻 1 号 p. 90-99
    発行日: 2009/02/15
    公開日: 2009/06/18
    ジャーナル フリー
    本論文では,Intelligent Ground Vehicle Competition(IGVC)のナビゲーション競技のルールに準拠したウェイポイントナビゲーションシステムの実装例について述べる.IGVCとは,1993年から米国で開催されている自律走行車大会であり,自律型移動ロボットの技術向上を目指した大会である.毎年開催され複数の大学が参加している.その競技の一つとしてナビゲーション競技が設けられている.ナビゲーション競技とは,GPSによる位置検出を想定しエリア内に存在する障害物を避けながら,あらかじめ指定された複数ウェイポイントを何点通過できるか速さと正確さを競う競技である.ウェイポイントナビゲーションは,(1)移動ロボット上からみたウェイポイントの位置または方位の把握による長期経路プランニング,(2)外界センシングと障害物回避のための短期経路プランニング,そして(3)これら情報に基づく自律制御からなる.本論文では,これら一連の解決方法に,センサとして GPSとレーザレーダそれにジャイロ,速度計を用い,総合的な状況判断に複素拡張カルマンフィルタをベースとした SLAMアルゴリズムにより高精度なナビゲーションを実現する.さらに,与えられたウェイポイントマップに従い走行しながら,自己軌跡マップ,ランドマークマップを同時に作成する方法を提案した.提案する方法を実証するため実機でリアルタイム制御を行い,その有効性を確認した.
ショートノート
解説
回想
報告
書評
用語解説
学生部会ΔNGLE
一般論文
原著論文
  • 土屋 健, 吉永 浩和, 小柳 恵一
    2009 年 21 巻 1 号 p. 129-142
    発行日: 2009/02/15
    公開日: 2009/06/18
    ジャーナル フリー
    本論文ではユビキタス環境に構築されたオーバレイネットワーク上のコンテンツ,サービスを対象とする意味情報を利用した分散検索手法であるインデックス独立分散管理手法を提案している.提案手法は論理空間から選定した各ピアが分担するオブジェクトのインデックスを生成,管理する非構造型のインデックス管理モデルと,P2P技術よるピア間の接続を採用した分散検索である.評価結果より,提案手法はP2P型オーバレイネットワークの分散性と,インデックス集中型の検索と同等の検索精度を両立した手法であることを明らかにしている.また,筆者らの先行研究と比較して,管理ピアのスケーラビリティに優れていることから負荷分散,耐故障性に優れると考察でき,柔軟性とスケーラビリティが要求されるユビキタスサービス環境の一検索手法としての利用を期待できる.
  • 米山 淳
    2009 年 21 巻 1 号 p. 143-150
    発行日: 2009/02/15
    公開日: 2009/06/18
    ジャーナル フリー
    高木・菅野ファジィシステムは,広いクラスの非線形システムを記述することができ,多くの分野で用いられている.近年,ファジィシステムにより記述された非線形むだ時間システムの解析や制御系設計が活発に行われている.これまでに,遅れ型むだ時間を含むファジィシステムに対し,多くの安定条件が求められているが,従来の安定条件は保守性が高い.また,中立型むだ時間と分布むだ時間を含むファジィシステムのロバスト安定性を扱ったものはほとんどない.安定化制御則の導出においても同様なことがいえる.そこで,本論文では,中立型むだ時間および分布むだ時間を含むファジィシステムのロバスト安定性と安定化制御則の設計法を考察する.ロバスト安定条件の導出においては,一般化リアプノフ関数とフリー重み行列法を用いる.これらの方法は,ロバスト安定条件の保守性を軽減し,広いクラスのシステムのロバスト安定性を保証する.こうして求めた安定条件を利用して,不確かなむだ時間ファジィシステムに対する安定化制御則の設計法の提案も行う.最後に,数値例により提案した手法の有効性を示す.
  • 垪和 直樹, 本多 克宏, 市橋 秀友, 野津 亮
    2009 年 21 巻 1 号 p. 151-159
    発行日: 2009/02/15
    公開日: 2009/06/18
    ジャーナル フリー
    Fuzzy c-Means(FCM)法の拡張である Fuzzy c-Medoids(FCMdd)法は,クラスターのプロトタイプを標本データのいずれかから選ぶ手法であり,関係データへの応用が容易である.本論文では,関係データからの局所的な線形構造の抽出を目的とし,FCMdd法の発展として直線状のプロトタイプを標本データ中の2点で張るアプローチを提案する.プロトタイプの推定は代表点の組み合わせを求める組み合わせ最適化問題となるが,代表点の探索をメンバシップの大きな標本データに制限することで,計算時間の軽減を図る.また,得られるクラスタリング結果は関係データの低次元視覚化とも捉えられるもので,多次元尺度構成法では直感的に構造が把握できないデータ集合に対しても,複数の1次元空間を構成して低次元に視覚化することで直観的な把握を可能としている.
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