知能と情報
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31 巻 , 5 号
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目次
特集:「コミュニケーションロボット」
会告
特集論文:コミュニケーションロボット
原著論文
  • 鈴木 公啓, 山田 幸恵, 野村 竜也, 神田 崇行
    原稿種別: 原著論文
    2019 年 31 巻 5 号 p. 789-796
    発行日: 2019/10/15
    公開日: 2019/10/15
    ジャーナル フリー

    本研究は,多種多様な対人コミュニケーション場面において,ロボットがどの程度選好されるのか,ロボットの外観も条件に加えて検討をおこなった.また,そのロボット選好において,対人不安傾向が影響しているかについても検討をおこなった.成人男女742名を対象に検討をおこなった.その結果,コミュニケーション相手としてロボットを選択する者の割合は比較的大きく,人間に近いが金属・機械の見た目のロボットよりも人間と見た目がそっくりのロボットの方が選好される傾向が認められた.また,対人不安傾向が大きい者は,人よりもロボットを選好し,場面によっては同じロボットであっても人間に近いが金属・機械の見た目のロボットを選択していることが示された.ロボットを日常生活に導入していく際の促進要因または抑制要因の一端が明らかになったといえる.

  • 西念 星宝, 谷津 元樹, 原田 実
    原稿種別: 原著論文
    2019 年 31 巻 5 号 p. 797-807
    発行日: 2019/10/15
    公開日: 2019/10/15
    ジャーナル フリー

    照応詞と照応関係にある先行詞を同定することは,ロボット対話や質問応答などの自然言語処理の応用研究において,高精度を達成するために必要な要素技術とされている.そこで意味解析システムSAGEを用いて文を意味解析し,語間の意味的類似度を用いて指示代名詞の先行詞を高精度に同定する照応解析システムAnasysDを開発した.先行詞らしさを数値化するために,先行詞文節と照応詞の受け側文節との共起類似度素性や先行詞文節の上位概念分類と先行詞文節の深層格による2次元の事後確率など12種類の素性を設定した.NAISTテキストコーパスを用いてナイーブベイズ法で正解率の確率分布を学習し,先行詞らしさの確率が最も高い文節を先行詞文節とする.5分割交差検定で評価した結果,63.42%の精度を達成した.

  • ジメネス フェリックス, 加納 政芳, 早瀬 光浩, 田中 貴紘, 金森 等
    原稿種別: 原著論文
    2019 年 31 巻 5 号 p. 808-815
    発行日: 2019/10/15
    公開日: 2019/10/15
    ジャーナル フリー

    近年,ロボット関連の技術進展により,教育場面での使用を想定した教育支援ロボットの研究開発が行われている.従来研究では,未知の学習内容を学習する学習者に対して学習効果を検証している.本論文では,これまでに注目されてこなかった学習者と共に過去に一度学習した内容を再び学ぶ復習を行う教育支援ロボットについて検討する.本論文における復習とは,一度学んだ内容と全く同一の内容(問題)を学ぶものと定義する.教育学では,復習を学習内容の記憶定着の重要な要因の一つとして挙げている.既存の学習手法よりも学習効果の高い教育支援ロボットとの学びは,復習する学習者に対しても有効に働くと考える.特に,復習を行う学習者は学習内容を一度学習しているため,学習内容を教示するのではなく,ヒントを提供することが有効であると考える.そこで本論文では,学習者がロボットと共に一度学習した内容を復習した場合に,ロボットが学習者にヒントを提供することは,ロボットが介在しない学習システムが学習者にヒントを提供することに比べて有効であるかを検証する.具体的には,学習者とロボットの復習から時間が経過した後の記憶量を定量的に評価し,学習システムと比較することで,復習におけるロボットとの共同学習がもたらす効果を評価する.

  • 目良 和也, 青山 正人, 黒澤 義明, 竹澤 寿幸
    原稿種別: 原著論文
    2019 年 31 巻 5 号 p. 816-825
    発行日: 2019/10/15
    公開日: 2019/10/15
    ジャーナル フリー

    ヒューマンコンピュータインタラクションシステムがユーザの気持ちを考慮したりユーザの希望に沿った対応を行うためには,各ユーザがどのような事物を好きか嫌いかという嗜好情報が重要となる.しかし,一般的な嗜好情報データベースはあくまで普遍的な嗜好傾向を表しているにすぎず,個人差や経験による変化を考慮できない.しかし人間は会話を通じてリアルタイムに相手の嗜好情報を推定することができる.本研究では,【『Xに良い事があった』と喜んでいるならば,きっとXの事が好きなんだろう】のようなヒューリスティックに基づき,発話内容と口調から発話者の嗜好情報を推定する手法を提案する.本研究では情緒計算手法に基づいて発話内容の構文構造と話者感情の関係を表すことにより,上記のヒューリスティックを実現する.発話者の感情状態は,聞き手による感情推定結果を用いる.実験の結果,精度0.76,再現率0.88という結果が得られた.

  • 鳥居 拓馬, 日髙 昇平
    原稿種別: 原著論文
    2019 年 31 巻 5 号 p. 826-833
    発行日: 2019/10/15
    公開日: 2019/10/15
    ジャーナル フリー

    他者の行為を観察して自らの行為を学習するには他者の目的を推定する能力が求められる.ある心理実験では,ヒトの18か月児が大人の行為を観察し,その未知なる目的を推論できることを示した.本研究では,この心理実験に着想をえて,どうすれば未完遂の行為の観察からその本来の目的や計画を推定できるかを数値実験で検討する.具体的には,異なる目的(課題)に最適化された2種類の単振子が一見よく似た軌道(動作)を生成するような実験設計を行い,どんな特徴量を用いれば軌道を生成した未知なる制御器(意図)を識別できるかを検討した.本研究の分析では,力学系の不変量「フラクタル次元」は,観察対象に関する事前知識をほとんど要さずとも,意図の識別に十分な情報をもつことを示した.

  • 宮内 建弥, ジメネス フェリックス, 吉川 大弘, 古橋 武, 加納 政芳
    原稿種別: 原著論文
    2019 年 31 巻 5 号 p. 834-841
    発行日: 2019/10/15
    公開日: 2019/10/15
    ジャーナル フリー

    近年,学習を支援する場面で活躍する教育支援ロボットが注目されている.本研究では,教師のように学習者に教示を行う教育支援ロボット(教師型ロボット)に注目する.従来研究における教師型ロボットは,学習者に問題の解き方を教示することや,学習内容について説明することが主流の役割である.しかしながら,常にロボットが学習者に学習内容を教示するだけでは,学習者はロボットの学習支援に依存し,学習内容を学ばない可能性がある.この問題を防ぐために,本研究では認知的徒弟制理論に注目する.認知的徒弟制理論とは,学習者の成績や学習状況に合わせて,学習支援方法を変える教育理論である.教育学の従来研究では,通常の教示方法に比べて,認知的徒弟制理論に基づく学習支援方法は,学習者の学習効果を向上できると示されている.この理論に基づき,ロボットが学習者に問題の解き方を教示することで,学習者の学習効果を向上できると考える.そこで本論文では,認知的徒弟制理論に基づき,問題の解き方を教示するロボットと中学生が共に学ぶことで,ロボットが中学生に及ぼす学習効果について検討する.

  • 坂本 孝丈, 吉岡 源太, 竹内 勇剛
    原稿種別: 原著論文
    2019 年 31 巻 5 号 p. 842-851
    発行日: 2019/10/15
    公開日: 2019/10/15
    ジャーナル フリー

    本研究では,人のコミュニケーション開始時の内部状態と接近行動に注目し,提案モデルに基づく接近行動の軌道の分析を行った.実験は人と想定した相手(マネキン)に道を尋ねるシナリオで,参加者は教示により相手の内部状態を想定したうえで話しかけを行った.結果として,参加者の接近行動の軌道は直線ではなく,相手の正面方向を避けるように回り込みながら接近する軌道となることが示された.また,参加者が想定する相手の受容度に応じて話しかけのタイミングを調整していることが示唆された.人が正面方向を避けて相手に接近する行動は提案モデルにより近似的に生成可能であり,同時にその理由についてもモデルの内部状態から説明可能である.そのため,提案モデルの行動生成と内部状態の推定をロボットに実装することが,人–ロボットのコミュニケーション開始場面のインタラクションをデザインするうえで有用であるといえる.

  • 高橋 英之, 伊豆原 潤星, 改田 明子, 山口 直孝, 境 くりま, 小山 虎, 小川 浩平, 石黒 浩
    原稿種別: 原著論文
    2019 年 31 巻 5 号 p. 852-858
    発行日: 2019/10/15
    公開日: 2019/10/15
    ジャーナル フリー

    コミュニケーションを円滑に行う上で,相手に対する事前知識や信念を互い有し,それを振舞いや発言にトップダウンに利用することは重要である.その一方で,多くの人間とロボットのコミュニケーションにおいては,ロボットに関する事前知識や信念を人間側が持っていないことが多い.本論文では,事前知識や信念が人間とロボットのコミュニケーションに及ぼす影響を調べるために,著名な文豪である夏目漱石のアンドロイドを用いて,被験者が“夏目漱石”や“ロボット”,“人工知能”に対して有している事前知識や信念がどのように“漱石アンドロイドとのコミュニケーション”に対する印象に影響を与えるのかを調べた.その結果,“夏目漱石”に対する事前知識は緩く漱石アンドロイドとのコミュニケーションにおけるリアリティと関連する一方,それ以上に“人工知能”に対する畏怖の念が強く漱石アンドロイドのリアリティと関連していることが分かった.

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