近年,ロボット関連の技術進展により,教育場面での使用を想定した教育支援ロボットの研究開発が行われている.従来研究では,未知の学習内容を学習する学習者に対して学習効果を検証している.本論文では,これまでに注目されてこなかった学習者と共に過去に一度学習した内容を再び学ぶ復習を行う教育支援ロボットについて検討する.本論文における復習とは,一度学んだ内容と全く同一の内容(問題)を学ぶものと定義する.教育学では,復習を学習内容の記憶定着の重要な要因の一つとして挙げている.既存の学習手法よりも学習効果の高い教育支援ロボットとの学びは,復習する学習者に対しても有効に働くと考える.特に,復習を行う学習者は学習内容を一度学習しているため,学習内容を教示するのではなく,ヒントを提供することが有効であると考える.そこで本論文では,学習者がロボットと共に一度学習した内容を復習した場合に,ロボットが学習者にヒントを提供することは,ロボットが介在しない学習システムが学習者にヒントを提供することに比べて有効であるかを検証する.具体的には,学習者とロボットの復習から時間が経過した後の記憶量を定量的に評価し,学習システムと比較することで,復習におけるロボットとの共同学習がもたらす効果を評価する.
抄録全体を表示